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魔力を溜めて

黒い表紙にドクロさんの絵の魔法の本をテーブルの上に置く。


表紙をめくると、目次だった。血が滴り落ちるようなフォントだ。でも全く読めない。


お姉さんは覚悟を決めたように、ゆっくりと説明する。


「まずは、魔力を溜めないとね。初めてだから、その衣装のまま、今日は寝ちゃいましょう。本をお腹の上に乗せて寝るのよ」


えっ!? 夕飯抜きですかっ!? なぜか悲しそうなお姉さんに、そんなことは言えない。


「は、はい…。おやすみなさい…」


***** ***** ***** ***** ***** 


夜中、目が覚める…。魔法の本と、自分が繋がっている感覚がある。


なんて言えば良いのだろうか? 空を飛べそうな、何でもできそうな、”力”を感じるの。


ベッドから起き上がると、SPの純くんと目が合う。もう一人のSP 芽衣さんは床で仮眠中だ。


「魔力が溜まり始めたようだが、まだ眠っていろ。俺は魔法使いじゃないが、本を手に入れたばかりの魔法使いの魔力は、一日や二日で溜まりきらないと聞いている」


「はい」


素直に横になり、目を閉じる。体中に力が溢れてくる。感じるのっ!! 気持ちいいぐらい魔力が流れているのが…。


このまま寝たら、いい夢みれそうね。


***** ***** ***** ***** ***** 


ここは墓地、死体が…ゾンビが這い出てくる…。骸骨がケタケタと笑い、巨大な蝙蝠が飛ぶ。


死と恐怖を司る魔法…それが「死霊の魔法書」だ。


***** ***** ***** ***** ***** 


「茜ちゃん、大丈夫? 茜ちゃん…」


お姉さんに起こされる。


「すごく、うなされていたわよ」


心配そうな顔で、お姉さんは私の汗を拭いてくれた。


「もう、寝相が悪いから、布がバラバラ、SPさん達も目のやり場に困ってるから、早く服を着ちゃいましょうね」


はうっ!! もはや全裸と変わらない…。


顔真っ赤で、急いで服を着るのだが、絶対に私の裸、見たよね? 


SPの純くんを、キッと睨むと、見てない見てないと、両手でゼスチャーする。


でも、なんだか怖い夢見たような気がするな。

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― 新着の感想 ―
[一言] 怖そうな夢ですね……
2019/11/14 21:07 退会済み
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