魔力を溜めて
黒い表紙にドクロさんの絵の魔法の本をテーブルの上に置く。
表紙をめくると、目次だった。血が滴り落ちるようなフォントだ。でも全く読めない。
お姉さんは覚悟を決めたように、ゆっくりと説明する。
「まずは、魔力を溜めないとね。初めてだから、その衣装のまま、今日は寝ちゃいましょう。本をお腹の上に乗せて寝るのよ」
えっ!? 夕飯抜きですかっ!? なぜか悲しそうなお姉さんに、そんなことは言えない。
「は、はい…。おやすみなさい…」
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夜中、目が覚める…。魔法の本と、自分が繋がっている感覚がある。
なんて言えば良いのだろうか? 空を飛べそうな、何でもできそうな、”力”を感じるの。
ベッドから起き上がると、SPの純くんと目が合う。もう一人のSP 芽衣さんは床で仮眠中だ。
「魔力が溜まり始めたようだが、まだ眠っていろ。俺は魔法使いじゃないが、本を手に入れたばかりの魔法使いの魔力は、一日や二日で溜まりきらないと聞いている」
「はい」
素直に横になり、目を閉じる。体中に力が溢れてくる。感じるのっ!! 気持ちいいぐらい魔力が流れているのが…。
このまま寝たら、いい夢みれそうね。
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ここは墓地、死体が…ゾンビが這い出てくる…。骸骨がケタケタと笑い、巨大な蝙蝠が飛ぶ。
死と恐怖を司る魔法…それが「死霊の魔法書」だ。
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「茜ちゃん、大丈夫? 茜ちゃん…」
お姉さんに起こされる。
「すごく、うなされていたわよ」
心配そうな顔で、お姉さんは私の汗を拭いてくれた。
「もう、寝相が悪いから、布がバラバラ、SPさん達も目のやり場に困ってるから、早く服を着ちゃいましょうね」
はうっ!! もはや全裸と変わらない…。
顔真っ赤で、急いで服を着るのだが、絶対に私の裸、見たよね?
SPの純くんを、キッと睨むと、見てない見てないと、両手でゼスチャーする。
でも、なんだか怖い夢見たような気がするな。