お師匠様のアドバイス
泣き止まない私に、お師匠様の堪忍袋の緒が切れ、こっ酷く叱られる。
基地には司令見習いのお姉さんがいて、殴られる寸前で助けに来てくれた。
「お姉さん、ありがとう…」お礼を言うとお姉ちゃんからは励ましの言葉を頂く。
「私も頑張るから、茜ちゃんも頑張るんだよ」
「よし、茶番は終わりだ。茜、こいつらに奴隷の魔法をかけろ」
斎藤 将くんと、相田 桜さんがいた。桜さんはお父さんの意思を引き継ぎ、私を助けたいと志願したらしく。斎藤くんは、魔法に自信があったけど、お師匠様と私の魔法を見て、もっと強くなりたいと志願したらしい。
奴隷の魔法は、井上 ひまわりさんと同じく、私を主として守り裏切らないことを制約とした。
「さて、出発だ。桜、絨毯を出せ」
全員が絨毯に乗り、雲の上の高さまで上ると、お師匠様がいろいろ説明してくれた。
「まず、こいつらに奴隷魔法をかけたのは、今後、こいつらと一緒に行動してもらうからだ。茜のことだ。こいつらが敵に捕まれば、命がけで助けるだろう。だから奴隷にした。こいつらには悪いが、敵に捕まれば死んでもらう。それは二人が納得したことだ」
斎藤 将くんと、相田 桜さんを見る。緊張したような恥ずかしがるような表情だった。
「今回行く場所。それは日本が世界から狙われている理由がある場所だ。まぁ、それは…自分たちで確認してくれ」
お師匠様にしては、歯切れの悪い説明だったが、きっと何かあるのだろうと納得する。
「飛んでる時間に、修行の方針を言っとくか。まず全体的な話だ。魔力の話をすると、私の魔力の器の大きさが10,000だとすると、茜が1,000、将が50、桜が70だ。お前らは自分の器の半分を満たしていない」
お師匠様の器の大きさに、空いた口が塞がらないのだけど、私も多い方なのかな?
「次に個別だ。茜、お前のずば抜けているところは、魔法書の解読力と発動の早さであり、駄目なところは、構築の精度の悪さだ。復活の魔法が発動するまでの遅さ、複数の召喚で予想以上に魔力を使い、先程の巨人も、ただのハリボテだ」
的確にダメ出しを食らっています…。
「将は、重力の魔法というチートな魔法を扱えるが、魔力の器が小さいのだ。大技を使うのではなく、小技で茜の支援をする戦闘スタイルを学ぶのだ。それと常に魔力回復の手段や方法を考えろ」
重力魔法…。なんかすごそうだよね。でも器が小さいのか…。器は生まれたときに決定されちゃうから、どんなに努力しても大きくならないんだよね?
「桜。お前は、飛空魔法を攻撃や防御に応用できないか創意工夫しろ。お前にはSP相田が教え込んだ観察力判断力がある。それを生かし茜を補佐しろ」
こんな世の中…殆どの人は平和だと思ってるけど、平和な世の中なら、私も…飛空魔法がいいな。
世界中を自由に旅するの。あぁ…素敵じゃない?
「最後に、お前らの師には、それぞれ課題を与えている。お前らがぼーっとしている間にも、どんどん優秀になっていくぞ。あいつらは、それだけの器を持っているからな」