美羽の戦い
くっ…。一度ならず二度までも…茜ちゃんを助けられないの??
銃撃戦と防火壁の解除に、時間だけが過ぎていく…。私にも、師のような攻撃魔法があれば…。
傷つくSPたちを治療し、光の魔法で牽制することぐらいしかできない美羽は自分に苛立つ。
早く、茜ちゃんのいるブロックまで…たどり着かないと…。
「SPの皆さん、金剛寺様から連絡です」
現在、この基地にいる自衛隊員の半数がテロ行為に手を貸していること、外部から…海軍が敵として手を回していること、基地内の通信機器はほぼ破壊されていること、サプライズで師が来たことを敵は知らないこと、各界の著名人や有識者、権力者たちが人質から解放されたこと、魔法使い・魔女が持つ魔法書が目的ということ、その中でも一条 茜が最大の目的であること、脳内通信は傍受される可能性があること、敵にも魔法使い・魔女がいる可能性があること
「状況は厳しいですね」とSPたちが言った。
「兎に角、茜ちゃんの救出を優先しましょう」SPたちに指示を出す。
SPたちの劣勢には、武器の差と経験の差があり、それを埋めているのは美羽の魔法であるのは明らかであった。
「あの魔女を先に殺せっ!!」と敵が目標を変えてくる。
「美羽様を守れっ!!」
この死守が…膠着状態を生み、ますます…茜のいるであろうブロックまで辿り着けなくなる…。
そのとき…師から、脳内通信により、再度連絡が入る…。
”敵を地下に留めつつ、美羽、お前は、地上に来い”
またもや、一歩どころか、数歩も遅れていたのである…。
「このまま、半数で、敵を引き止めておいてください。残りの半数は、私と地上へ向かってください」
地上で何があったのだろうか? 茜ちゃんに脳内通信を送りたいが…もしも茜ちゃんが何処かに隠れているのなら、もしも敵が脳内通信を傍受できるなら、敵に居場所を知らせる手助けをしてしまう…。
今は、師の言う通りに地上に出ることを最優先とするべきだ。
地上への経路には、地下ほど敵はいなかった。どうやら敵が地上へ逃げる道を私たちが塞いでいたようだ…。
途中、懇親会の会場の横を通り過ぎるが、会場には誰もいなかった。あれだけの人数を何処へ匿っているのか? 流石は師と感心できるのも、地上まで、あと少しだからだ。少し余裕が生まれた。
地上に出ると、S・O・Sと上空に描かれた文字が消えかかっていた…。
師は? 何処? SPたちに囲まれながら師を探す。
SPの一人が、魔法の絨毯に乗って飛び立つ師を発見する。
その師が向かう先は…輸送機だ!! 輸送機が離陸態勢に入っていたのだ…。
ぐぬぬ…。またもや始まってしまった戦い。
その決着を今夜中に書きたかったのですが、明日も早いので、今日はここまで…。




