懇親会
懇親会当日、憂鬱過ぎる私は、朝起きてから何十回目かわからないため息をつく。
「はぁ…。嫌だなぁ。行きたくないなぁ」
「どうしてですか? 茜様が嫌がる理由ってなんですか?」と訝しげな涼くん。
「ほら、小笠原諸島で同期と一緒って言ってたじゃない? 寂しくないよ?」と七海ちゃん。
「あのね…コミュ症まで行かないけど、人見知りなの…。立場上…上の人なら問題なく話せるけど…同期とか立場同じだと無理。それに小笠原の同期って恋人同士だし…」
「はぁ…それで、よくもまぁ、学校好きとか言いますよね?」と呆れる涼くん。
「だって、学校には、七海ちゃんがいるし。七海ちゃんが居てくれれば幸せ。あっ、今は涼くんも好きだよ」
「はいはい。ありがとうございます。そろそろ出発の時間ですよ?」
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懇親会の会場に入ると、当たり前だけど、同期がいた。どうやら私が最後の一人らしい。
名簿を見ると…。同い年は一人、後は年上だね。
西条 翼(16歳)
新宮 結菜(15歳)
金本 空(14歳)
斎藤 将(13歳)
井上 ひまわり(13歳)
相田 桜(12歳)
一条 茜(12歳)
「おい、お前。挨拶がない。挨拶は大事だぞ? 小学生でもわかるだろ?」
ほげっ? えっ? 私? 挨拶? いやぁ…。どうでもいいし…。
名簿から顔を上げると、恐らく一番年上の男子…これが西条か…面倒な奴だな…。それに金本くんと井上さんは…相変わらずイチャイチャしてるし、あのちっこいの…なぜか睨んでるし…。
「あっ、はじめまして、一条です。よろしくです」
「これだから、ガキは嫌いなんだよ。まぁ、俺を見習え、少しは、日本の役に立つ魔女になれるだろうよ?」
カチンっときたけど、スルースキル発動…。はぁ…馬鹿みたい。
来なければよかったよ。本当に…。しかも懇親会じゃなくて、メインは、各界の著名人や有識者、権力者たちへの顔見世がメインときた。これは最悪だよね。
懇親会の会場とは程遠い待合室の端っこの席に、ちょこんと座りキンキンに冷えたオレンジジュースを飲む。
席に座っていると、とりあえず一度は話しておくか程度に、次々と同期が話しかけて来た。当たり障りのない話をするだけで数分で会話が終わってしまう。
相田 桜か…彼女だけ話しかけてこなかったね。私と同じ人見知りなのかな?




