こころのくすり
久しぶりの古民家。玄関を開けると、七海ちゃんと涼くんが出迎えてくれた。
靴を脱ぐ前に、二人を見て涙がボロボロ出てしまい、驚いた七海ちゃんは、ただぎゅっと泣き止むまで抱きしめてくれた。
「うん、もう…大丈夫」
私が…おっと前回の説明で抜けていましたね…。居間があります。居間になんとっ! 囲炉裏が作られていましたっ!! すごいっ!! その囲炉裏を囲むように座布団があり、そこにちょこんと座りました。
すると…SPさんが…ズラズラと…20名も入ってきて…七海ちゃんも涼くんも、またまた驚いています…。
茜専属のAランク護衛隊長・柴田 兵太さんは指示を出す。
「流石に中ばかりでは警備の意味がない。外の車両3台に3名ずつ乗り込み。1台目は玄関前、2台目は裏通りを。3台目は周囲をパトロールすること。残りの11名の配分は、二名が玄関を、二名が居間を、二名が寝室を、残りの五名はSP室で後退まで休憩だ。それと休暇中の10名との交代は俺が指示する」
「茜様、相田さんは?」
「えっと…。私がね。Aランクの保護対象になったから、Aランクの護衛が付くことになったの」
「へぇ〜。流石ですねっ!!」
相田さんが亡くなったことは言いたくなかった…。
「あと、Aランク護衛隊は男の人ばかりだから、エレンさんと七海さんに特別に来てもらえることになってるよ」
「嬉しい。また会えるんだね」七海ちゃんは安心したように喜んだ。
「あっ、茜様、このお茶をどうぞ。これ手摘み茶です。自然に拘ったお茶ですから、茜様によろこんでもらえると思います」
囲炉裏で沸かしたお湯を使いお茶を淹れてくれた。
ふぅ〜。ふぅ〜。ゴクリ…。あっ! 美味しいっ! それに魔力がたっぷり含まれてるっ!!
「これ本物だねっ! すごく美味しい」
涼くんは小さくガッツポーズする…。詳しく聞けば、涼くんの親戚が作っているお茶らしい。
「ふぅ〜。落ち着くな〜。そうだ、二人はお家に戻って、ゆっくり休んだ?」
「はい。もう一生会えないと思っていたらしく。ものすごく泣かれました」と涼くん。
「私の家も同じ。妹がべったりとくっついて離れないんだもん。可愛いけど…」
二人が実家で過ごした内容を聞いていたら、いつの間にか寝てしまった。
そうだ、ずっと緊張していたんだ。私…。
七海ちゃんと涼くんの温かい家庭の話は…聞いているだけで心地よかった。




