殉職
気が付くと、お師匠様に抱きかかえられていた…。体が鉛のように重たく…声も出せない…。
「遅いぞ、美羽。全員を治療しろっ!!」
未だ黒煙が消えない屋上で、私を抱えたまま、向かいのビルを睨むお師匠様…。
ジュッ…。ジュッ…。ジュッ…。
お師匠様の近くで何かが燃えきるような音がする…。
「ふんっ、私にそんな物が通じるとでも? 長官、あのビルは例の?」
「そうですね…。考えてみれば…あのビルがあり…この事件ですか?」
そのときお師匠様の右手にドクドクと魔力が波打つように集まるを感じたのですっ!!
「消えろっ!」
そう呟くと、目の前にあったビルは…真下からガスバーナーに焼き付けられるかのごとく…数秒で消し飛んでしまったのです…。
「金剛寺さん、いくら何でも…やりすぎでは…」
「長官、今回の事件で…私が何らかの罪に問われるならば…わかってますよね?」
ニヤリと笑い、お師匠様は、美羽に向かい「おい、美羽…治療はどうした?」と尋ねた。
「それが…重症までのSPは全員直しましたが…既に死んでいるSPが3名いました…」
「そうか、私たちが地下のラボにいたからな…。知らせが来るまで時間がかかった…それだけだ…」
「おい、起きろ、茜……なんだ…起きているのか…あぁ…魔力欠乏症か…」
胸ダイレクトで魔力を強引に注入される…。
「はぁ…はぁ…。助かりました…。でも…亡くなったSPって…」
お姉さんは視線を逸して言った。
「相田 静雄、小野 大樹、飯田 光司の三名です」
ゔわわぁぁぁん…と泣き叫ぶ声が、ビルの屋上に響いた。
「美羽、煩い、黙らせろ」とお師匠様が言うと強制睡眠の魔法をお姉さんにかけられてしまった。
***** ***** ***** ***** *****
事務所のソファーで寝かせられていたのか、起きるとSPの七海さんとエレンさんがいた。相田さんと 大樹さんの代わりだよね…。
「七海さんとエレンさん…ごめんなさい…私…二人を守れなかった…」
「茜ちゃん、失礼します」とエレンさんが言うと同時に、ほっぺたを叩かれた。
「あなたを守るのがSPです。守られるためじゃない。少し魔法が仕えるからって、子供のくせに調子に乗らないでっ!!」
わざと叱ってくれた、エレンさんの優しさが…余計…痛かった…。




