三人暮らし その1
七海ちゃんが目覚めて、二人で話し合ったけど、七海ちゃんの事情とかよりも、一緒にいてくれるだけで嬉しかったし、それだけで満足だった。
お家に帰っても、自分だけ両親がいる環境に、なんだか違和感を感じて、三人で暮らせる古民家を借りたのです。部屋は3つ、土間にかまどがあり、お風呂も薪です…。SPさんの部屋、私たちの部屋、もう一つは物置にしました。
三人で夕飯を作ろうとしたら、七海ちゃんと涼くんに、絶対に駄目と怒られてしまい、一人魔法の勉強をするのでした…。
あれ? ちょっと気になったことがある。小声でSPの大樹さんを呼んだ。
「あの…もしかして…護衛対象に七海ちゃんと涼くん入ってない?」
「……はい。残念ながら…。いいですか、これだけは約束してください…」
「わかってます。あの二人を助けるために、自分を危険に晒すなでしょ?」
「……はい。わかって頂けてると信じていますよ」
これは早急に対策しなければならない…。護衛と言えば召喚系だけど、召喚しているだけで魔力が減っていく…。お守りとか作れるかな? こんなに真剣に魔法書を読むのは初めてだ。
カウンター系と支援系のお守りを見つけた。うわぁ…作るの大変そうだな…。とりあえず手に入らない材料を確保するため、SPの大樹さんに一覧を書いて渡した。
「茜様、ご夕食のお支度が整いました…」
「はい…」本当はもっと軽く”茜ちゃん”って呼んで欲しいな。でも身近な自分物だと、それだけで七海ちゃんに危険が降りかかる可能性が高まるんだよね…。
「金剛寺様から頂いたお米をかまどで炊きました。こちらの鯵も野菜も頂いたものです。すべて電気は利用せずに調理いたしました」と涼くんが説明してくれた。
「ありがとう。大変だったでしょ?」
「いえ、楽しかったです」と七海ちゃんが言う。ちょっとぉ〜。私も混ぜてよ…。
「美味しい…」なぜか涙が溢れてしまう。ありがとう…二人とも…私の我儘に付き合ってくれて…。
美味しい食事を終え、二人が片付けている間に、またまたお勉強です。
TVもスマホもない生活なので、就寝時間は早いのです。あっ! その前にお風呂ですね。
「茜様、お待ちくださいっ!!」
必死の形相で涼くんが近づいてきた。お風呂は…二人の仕事の範囲らしい。
「えっ!? 嫌よ…一人で入りたい…」
「茜様、お忘れですか?」と頬をぷっくりと膨らませて七海ちゃんが怒る。
「超上級国民としての振る舞いや意識をしっかりと身に付ける…ですよね…覚えています…」
「なら、我儘は言わないでください」
二人に魔女っ子の衣装を脱がされ…丸裸にされる…。
「駄目ですよ、どうどうとしてください」