サポートメンバー
教室に入ると、いつものように皆が迎えてくれて安心した。
話題の中心はサポートメンバーのことだった。やはり嫌悪感を示す人、憧れを持つ人、関心がない人、皆それぞれだった。でも…憧れを持つ人って、何か、知ってるのかしら? それともただの思い込み? それなら…そんな人をメンバーに入れたら…現実に幻滅して…やる気失くしそうようね…。
休み時間が終わり、授業中も、ずっとサポートメンバーのことで頭がいっぱいだ。
まずは…男子から決めようかな…。
うっ…全然、基準がわからないわっ!! 何を考慮して決めれば良いのかしら?
とりあえず…話したことが無い男子は駄目ね…いや、寧ろ話したことが無い方が…その子に何があっても…心が痛まない? 駄目よ…そんな酷いことを考えては駄目よ…。
やっぱり女子から決めよう。
七海ちゃん…。七海ちゃんとは友達でいたい。でも…七海ちゃんがサポートメンバーになりたいと思っていたら?? 私が絶対に選んでくれると思っていたら??
七海ちゃんにはちゃんと聞いてみよう…。
やはり一通り話のネタが尽きると、クラスメイトは皆スマホの世界に戻っていった…。
そう言えば、そうね…。私の周りでスマホは…禁止なのよね…。それも考慮しないと…。
昼休み、七海ちゃんがいつものように話しかけてきてくれたので、私は七海ちゃんと屋上へ行くことにした。
「七海ちゃん…大事なことだから…本音で教えて欲しいの…」
「なりたいわ」
「えっ!?」
「サポートメンバーでしょ? 私、茜ちゃんと一緒にいたいの…」
「で、でも…どんな…危険なことがあるか、嫌な仕事なのか、まったく、わからないのよ?」
「うん。何処にいても、どんな立場でも、良いこと、悪いこと、楽しいこと、辛いことは、きっとあるわ。そうでしょ? 魔女になって、超上級国民になっても、茜ちゃんは…あまり幸せそうじゃないわ」
その通りだよ…七海ちゃん…。私は…下級国民でも、普通が良いの…。でも七海ちゃんに聞いてよかった。ここまで直ぐになりたいと言ってくれるのに、選ばなかったら…きっと怒られてたかも…。
「私も…七海ちゃんと一緒が良い…」
「ありがとう…。茜ちゃん。男子は誰にするの?」
「それが…まったく…わからないの…」
二人で話し合った結果、勉強も、スポーツも、性格も、何もかも平均点な男子を選んだ。
それが長岡 涼くんだった。
長岡 涼くんと、月下 七海ちゃんの名前を書いて、校長先生に提出した。




