新たなる決意
でも…師匠以外の日本の魔法使い・魔女のレベルは、とても低いの…。攻撃型で言えば、DランクとかEランクぐらいしかいないわ。私は…治癒として…Bランク。
そこにね…。茜ちゃん…あなたが登場したのよ。
死と恐怖を司る魔法…「死霊の魔法書」を持つ茜ちゃんが…。
直接の攻撃力は師匠に劣るわ。でも使い方によっては…師匠と同じ世界を滅ぼす力を持っているの…。
師匠は…孤独だと思うわ。だから…茜ちゃんに師匠を助けて欲しいと思うの…。
それに茜ちゃんは、強くならなければならないわ。こんなに強力な魔法書を持っているの。常時、誘拐や暗殺の危機が身近にあると思って欲しいのよ。
衝撃的な話だった…。
「そ、そんなの…無理よ…。私にできるわけないわ…」
「私も…いつも一緒にいる。一人じゃないわ。できることから、少しずつ頑張って行きましょう?」
「お、お姉さん…」
私は泣いた。自分の運命に…。なんて運が悪いんだろう…。
もうお父さんやお母さん、弟に会えない気がした…。
「少し、時間をください。ちょっと…一人になりたいです」
フェリーの甲板で、海風を受けながら…お姉さんに言われたことを考える…。
一番最初に思いついたのは、お師匠様のことだ。小6で世界のバランスを変えてしまうほどの力を持ってしまった…。でもお師匠様は…一人で…自分で…答えを出したのかな?
多分、いや、きっとそうなんだろう…。
私に…答えを出せるのかな?
「ゆっくりで、いいさ。それまでは、私が守ってやる」
何の気配もなく、お師匠様が隣りに立っていた…。やっぱりすごい人なんだ。
「美羽はな。泣き虫で弱虫で才能が無くて…でも、Bランクまで努力したんだぞ。お前の師匠を見習って、少しずつ努力すればいいさ」
お師匠様が、他人を褒めたのは、これが最初で最後の記憶になるのだった。
島が見えてきた。私は誓う、強くなる、心も体もっ!!
そして、普通に生活できるようになってやるんだっ!!
意気込む私を見て、お師匠様もお姉さんも、ニッコリと笑ってくれた…。
えっ!? 馬鹿にされたんじゃ…ないよね?




