メンター登場
「で、あるからして、君たちには立派な魔法使い、魔女になってもらいたい」
国家機密に指定される建物の内部で、内閣総理大臣から直々に頼まれてしまった…。
挨拶だけを済ませて、とっとと退出する総理大臣。あの人何て名前だっけな?
チラリとみれば、高校生から小学生までの男女7人。
話しかけることもできずに、全員が隠しもしないで緊張と絶望の表情だ。
「それでは、新人の皆さんには、先輩である魔法使い・魔女メンターに従い、知識と経験を積んでもらいたい」
司会進行のハゲおやじがメンターと呼ばれる先輩方を紹介しているが、まったく頭に入らない。
「一条さん、一条 茜さん…」
しまった。何度も呼ばれていたみたい…。
「は、はいっ!!」
声の主がメンターさん、なのだろうか? 若いお姉さんだ。
「一条 茜さんでいいのよね?」
「はい。よろしくお願いします」
「ふふ。元気が良いわね。私は、斎藤 美羽、高校1年生。詳しくはマンションに着いてからね。さぁ、行きましょう」
お姉さんの後にヒョイヒョイとついていく。すると黒ずくめの怖そうなお兄さんたちがついてくる。
「お、お姉さん。斎藤さん。何か、変な人たちがついてくるよ?」
「ふふ。彼らはボディーガードよ。安心して」
黒い高さそうなピカピカの車に乗る。家には軽自動車しかないから、緊張した。
自分の乗った車の前後に、また別の黒い車が挟むようにして、3台の車が都会の道を走る。
「人がいっぱいいるね。都会はすごいな…」
「ふふっ。茜さんは何処出身なの?」
「あっ、わ、私は○○県です」
「そうなのね。私は△△県よ。お隣同士ね」
「は、はい」
あまり会話も弾まないまま、タワーマンションなる建物の地下駐車場で車が止まった。
「えっ!? ここ、お姉さんの?」
「うん、ここは東京にいるときに専用だけどね。茜ちゃんと住む部屋だよ?」
「えっ!? わ、わたしと??」