中間管理職? 美羽(前編)
私は、斎藤 美羽、高校1年生です。
今日の午後の出来事でした。突然、茜ちゃんが運ばれてきました。
顔色が悪く、低体温なのに汗の量がすごい…。症状からして…。魔力ク欠乏症だとわかりました。
茜ちゃんは、私と同い年に魔法書を手に入れましたが、私のときよりも、ずっと…子供です。
精神的にですよ。思春期に入る前の子供ですね。感情のまま、泣いたり、笑ったり…。
私が、さっさと諦めてしまった学校生活を、あれほど頑張っていたのに。
ですから、きっと…。目覚めたら、学校生活も満足にできない自分を卑下して…泣くと思います…。
なんて、慰めてあげればよいのでしょうか? もう一度、頑張れと言っていいのでしょうか?
こんなに小さな体で、あんな…恐ろしい魔法書を手に入れてしまって…。
考えただけでも、可愛そうです。見ているこっちが辛いです…。
そして…。
後ろには、師匠であり、魔王が控えております…。私の師匠で、金剛寺 忍と言います。もう…名前からして怖いですよね…。
茜ちゃんが運び込まれてから…一言も発していません。それが途轍もなく恐ろしいのです…。逃げたいのです。
師匠は、傲慢で自己中で短気です。顔って、その人の性格が滲み出ると思いませんか?
師匠は、常に機嫌が悪いので、目がつり上がっています…。何度も言いますが、恐ろしいです…。
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茜ちゃんの意識が戻りました。
「茜…」と声をかけようとしたら、「どけっ!!」と師匠が私を突き飛ばします。
「お前が、茜か?」
茜ちゃんは、師匠に睨まれて…。捕食される小動物のように震えています…。
た、助けないとっ!!
「し、師匠、お待ちくださいっ!」
「黙れっ!! そこで正座していろっ!!」
体に刻み込まれた恐怖に抗えません…黙って座ります…。ごめん…茜ちゃん…駄目で無能な私を許してください…。師匠は一度怒りだすと、怒りに対して、怒り始めて…まさに核融合のように暴力を撒き散らします。
「おい、これ食え」
茜ちゃんに自分が食べていた…食べかけの焼き芋を渡します。茜ちゃんは、チラリとこちらを見ました…。勿論っ!! うんうん、それ食べてっ!! と気持ちを込めて何度も頭を上下しました…。
脳内通信? そんなの師匠に気付かれるに決まってるじゃないですかっ!! 殺す気ですかっ!?




