超上級国民
校長室で、てんこ盛りのおべっかオンパレード…。
「是非、一条さんが率先して、本校の価値をアピールして…」
「校長先生、そろそろ…授業に行きたいのですが…」
行き遅れババアのとし子先生は、校長先生の味方をするべきか、私の味方をするべきか…口をパクパクと何か言いたげな表情です。
「もうそんな時間かね。では、続きは後にしようか」
椅子にかけておいたドクロの杖を手に取ると、加齢臭のする部屋をささっと退散した。
今日のSPは、相田さんと純くんだ。二人に囲まれて、懐かしの教室へ急ぐ。
先生の後に続いて教室に入ると、「おぉぉぉっ!!」「わははははっ!!」「すげーっ!魔女だ!」「可愛い」などと言いたい放題、言われてたい放題です。
「皆さん、静かに。今日から一条さんと一緒に学べることになりました。では、一条さん、挨拶を」
教壇に立ちクラスを見渡す。席替えをしたらしく、七海の席が変わっていた。
「一応、簡単な修行を終えて、今日からまた学校へ戻ることになりました。よろしくお願いします」
魔女っ子三角帽子を脱ぎ、ペコリとお辞儀をする。コンナもんでいいよね?
「うわっ、魔女くせぇ〜」 いじめっ子の光輝が、ウケを狙って騒ぎ出した。
廊下で警備中の純くんが、突然、教室に入り込み、光輝を殴りつけた。
えっ!? な、何で? キャーッ!! 教室は一瞬にしてパニックになる。
「お前ごとき下民が、超上級国民の一条さんに向かって、なんたる不敬っ!!」
純くんの怒りは収まらず、倒れた光輝を髪の毛を掴むと無理やり立たせる。
「あ、相田さん、止めてっ!!」
私は廊下の相田さんに助けを求めた。
「森本は職務を全うしているでけです。一条さんの護衛として体も心も守っているでけです」
一切こちらと目を合わせず、廊下の正面を向いて、はっきりと言い切った。
「そ、そんな…。光輝、死んじゃうよ…」
涙目になり、教室に戻ると、純くんは容赦なく殴り続けていた。
「”戒めの鎖”っ!!」
ドクロの杖が鈍く光ると、鎖が純くんの体を縛り上げる。
「もうやめてください。もう平気です…」
クラスの顔が、目が、SPへの恐怖と、魔法への驚きで、凍りついていた…。
お姉さんが…言っていたことって…こんなことなのかな?




