決戦へ
「いでよ! 暗黒六芒星!! そして隠れている人間を滅ぼせ!!」茜の人類抹殺計画が最終局面を迎える。無人モードで超魔導級戦艦大和が向かうのは日本。それまで茜は、自室で休むことにした。
二十歳になったら…。そんな夢も、今は本当に夢になってしまった。自分の手で両親も殺したのだ。
カチャリとドアが開く。斎藤 美羽。お姉さんが入ってきた。
「まだ泣いているの? 仕方がない子ね」とお姉さんは微笑む。「日本に着くまで、あと17時間ぐらいかしら? それまでは…」
お姉さんとベッドに入る。今、地球上で、私に恨みを持っていないのは、最後の敵の一人である…お姉さんだけかも知れない。「お姉さん…温かい」誰かの温もりが欲しかったのです。誰でも良かった。
何ヶ月ぶりなのかな? ぐっすりと寝てしまった。
「おはよう、茜ちゃん。ちょっと寝過ぎかもね。あと2時間ぐらいで、日本に着くわよ?」
お姉さんが、食事を用意してくれた。食事をしながら、お姉さんは、自分の愚かさを話してくれたのです。「…そんな理由で、わたしは…あなたたちを殺そうとしたのよ…」
「でも、誰なんでしょうか? お姉さんに話しかけてくる謎の人は? 今でも呼び掛けたら返事してくれますか?」
お姉さんは、わたしに魔法の書、”真実の魔法書”を見せてくれた。「そんな必要はないわ。誰かもわかっているの」
「お姉さんは、私と戦いたいですか? その人が戦えと言ったのですか? 私は…私がこの後、することも、真実の魔法でわかってるのですか?」
「そうね。私が干渉してもしなくても、同じ結果になるわ。でも、わたしは、魔法使い・魔女を導くため、あなたを殺すことにしたの」
「お姉さん…」
「そんな顔しないで。私はあなたに勝ちたいの…だから、今、決めた。もし私が勝てば、世界を救わない。どう? 世界のため、人類を殺した茜ちゃん?」
「お姉さん、約束します。全力で戦います。でも私の力では、お姉さんに勝てません…。だけど、世界を救って下さい」
「ん〜。やっぱり駄目。私が勝ったら、何もしないわ。それで魔法使い・魔女も、この星も終わり。それでいいじゃない?」
東京湾、竹芝桟橋に着岸すると、艦橋へ二人で行く。もう会話はなかった。
「お師匠様…ありがとうございました」茜は、超魔導級戦艦大和の自爆スイッチを入れる。
”超魔導級戦艦大和 自爆シーケンスに移行しました。総員はただちに脱出して下さい…”
「お姉さん、こっちに…」
艦橋内に設置された特別なゲートを潜ると、竹芝桟橋へ短距離転移する。
「さてと、あっちに公園っぽいのがあるわ。あそこで最後の決戦ね」
お姉さんは、楽しそうにスキップしながら公園へ向かう。何がそんなに楽しいの? 多分、お姉さんは、何者かに操られているのかも知れない。でも? だから? そんなのどうでもいい。 お姉さんには、どうあがいても勝てないのだから…。
次回、最終話です。多分。書いている最中に何か面白ストーリーが閃いたら最終話回避。そうじゃなければ、ページ内に収まれ次第終わりとなります。




