(Ⅰ)始動
まずは、この作品を取って頂き感謝します。今回は前作品からガラリと変えてファンタジーに戻りました!最後まで読んでいただければ二人の主人公の最終的に進んでいく道が見えるかと思いますが、私の執筆力はそれほど高くないと感じているので読んでいく内に疑問が湧くかと思いますが気に入ってくれたと嬉しいです。では、そんか試行錯誤が多少詰まった作品「紅き騎士のコンバット・エンド」をどうぞ!
僕の名前はエイジ・ブレイン。二年前は人殺しと学園の皆に蔑まれていたけど、生徒会長を精一杯勤めていく内に誰しもが尊敬される存在となった。
それもこれも、初めて出会って次第に惹かれたスノウや僕の唯一の剣となったクレインや頼れる仲間達のおかげだけどね。けれど同時にその人殺しと呼ばれる原因を作り上げたのはクイーンと呼ばれしレーナ。
そしてクイーンを戦力に取り込み王の首をひたすら狩るキングとの戦闘によって、僕はキングが首を狩る原因を作り上げた敵の正体を知る。
その名はイスカリア……彼は第一使徒と呼ばれる100年前に伝説の魔術騎士に封印された者だった。だけど……イスカリアは僕の身体に秘められしルナを狙う為に自宅へと入って、僕の不在時に母の身体を二つに分けて分離した方の身体をグチャグチャにしたらしい。
そして恐れおののく兄さんに王の首を全員狩って、献上すれば分離する前のオリジナルの母さんを渡すという悪辣非道な行動に出た。母を何としても取り戻す為に兄さんはイスカリアの言う通りにキングという名の仮面を使い、仲間をかき集めた上で情け無しの計画を実行する……その真意を知らなかった僕は最後に兄さんとの死闘を繰り広げ、兄さんと間接的に母を殺してしまった。今でも僕は機会を狙っている……家族の全てを奪ったイスカリアを。
「エイジ、具合でも悪いの?」
僕の顔色が悪いと心配してくれるのはスノウ。二年前に僕と恋人になってくれた可愛い女性だ。相変わらず雪のように腰まで届いている白い髪は城のバルコニーの微風によって綺麗にたなびいている。
「いや、大丈夫だよ。ちょっと物思いにふけっていただけだから」
心配そうに見つめてくるスノウに対して僕は安心させるように話を持っていくとスノウは安心した表情を浮かべた。僕が今、心の中で思って復讐の誓いは彼女に言わない方が良い……関係無い話になるけど、外から運んでくる風が気持ちいい。こういう時は気分を変えて遊びに行った方が良いかもしれない。
「そうだ、こんなに良い天気なんだし今から外に出ようよ。城の許可が出たらだけど」
「そうだね!外出許可を貰うから玄関先で待っていてくれる?」
「うん、待っているよ」
僕が外出の提案をするや否やすぐにスノウは外出許可を取る為にどこかの部屋へと足を進めていく。
今のスノウは姉であるマリア姫の側近のような立場として活動しているので、易々と外出は出来ない。
けれど、そんな窮屈な日々を過ごしていると思われるスノウは今日も笑顔。僕がスノウだったらきっと息が詰まっていると思う。
「お待たせ!外出許可は取れたから行こう!」
「よし」
玄関先に出る前に門番の兵士に許可が出たという話を通してから、街通りに出ると日曜日の影響もあって街は人に溢れていた。
中には道行くを人を集めて踊りやパフォーマンスを見せつけていたり、椅子に腰掛けて占いなどをしている者まで多種多様に行き交っている。
「よく許可が取れたね。どうやって取ったんだい?」
「今の時期は落ち着いているから、特にやる事も無い。それに最近の姉さんは優しいから外出が降りるのはそんなに難しい事じゃないんだよ」
マリア姫はスノウの実の姉でこのユニバース王国の統率をしている者である。
僕はクロノス聖団の仕事上で余り見掛けた事は無いが、最近は丸くなったようだ。
「エイジ、何か買う?私はお腹が減ったから気になった食べ物屋さんで食べていくつもりだけど」
そういえば、一歩一歩歩くだけで香ばしい肉の匂いや何とも言えない香りが鼻に与えてくる。スノウもお腹が減っているみたいだから、何か買っておこう。
「あっ、あれが良いね!」
串に刺されていて香ばしく焼き上がった魚を自分の財布から二本購入。その内一本をスノウに譲渡すると申し訳無さそうな表情で受け取ってから口に運んでいく。
「ごめんね。気を使わせちゃって」
「全然大丈夫。寧ろ気にしなくて良いから」
今日の休日は大変有意義だった。明日からはクロノス聖団の仕事で忙しくなるけど、もっと頑張ろう!
香ばしく焼けている魚をモグモグと口に運びながらも決意する。しかし、その平和は突如として終わりを告げた。ある場所の大きな爆発音で
「何が起きたの!?」
立ち込める煙幕を見る限りでは大分離れた位置にあるみたいだ。ここから歩いていけば数十分は掛かりそうな距離にあたるだろう。
僕はあの子を呼ぶ前に隣で心配そうに見つめているスノウに指示を送る事にした。
「スノウ、あの場所は僕が調べてみるから今から皆に安全な場所まで避難するように指示を出して欲しい。それが、この事態を悪化させない為の唯一の方法だから」
「エイジはどうするの?」
「爆発が起きた場所まで行ってみる。もしかしたら巻き込まれて怪我を負っている人が居るかもしれないから」
「そう……無茶はしないでね」
僕はスノウに軽く手を振ってから、爆発が起きた場所へと走っていく。確か爆発音が鳴り響いたのはメインの待ち通りと城から離れている離れの街方向の筈。
「はぁはぁ、随分走らされたけど……これは一体」
ユニバース王国から離れている街に到着して周辺を確認すると、何十人者人達が顔を地面に伏せて倒れ込んでいる。
一体何があったんだ?状況確認の為に一人の身体を調べるも綺麗な状態で地面に倒れている事が判明した。こうなると益々分からない……爆発が起きた場所も調べてみたが、一切無かった。
「どうなっているんだ。確かに僕は最初に爆発音を聞いた筈なのに」
ただ単なる幻聴。いや、僕を含めた住人も爆発音を聞いて驚いていた。それに爆発音とは関係無いが、何十人の人達が綺麗な状態で倒れているのもおかしい。
爆発音があったにも関わらず爆発すら無く数十人の人が倒れている謎現場に思考を巡らすと背後で倒れていた人がゆっくりと身体を起こしていく。
僕は無事で良かったと近づいていくと訳もなく片手で首を掴まされた。じりじりと握ってくる拳に絶え間ない痛みが押し寄せてくる。
「がはっ!」
よく見たら、この人の瞳はどこか遠い目をしていて闇に近いほどの真っ黒な瞳をしている。普通なら輝きがあるのに……まさか、意識を奪われているのか!?
「ぐはぁ!」
頑張って右足を腹に蹴ったりと抵抗を続けていくも、全く効力は驚く程に無かった。こうなると、本格的に抵抗をするしかない!
(クレイン、来い!)
心の祈りに応えるのにさほどの時間は無く、素早く僕の背後から周辺に炎を纏って現れると速やかに僕の首を片手で絞めてくる男を炎の魔法で片手を燃やした。
「大丈夫ですか、エイジ?」
首がジンジンと痛むけど、これくらいなら少し時が経てば治るはず……
「大丈夫だ。それよりも」
どうやら僕の首を絞めてた男が地面に倒れた事によって、続々と意識を無くして倒れていた者達が起き出したみたいだ。勿論、全員意識は無さそうに見える。
「意識を奪われています。恐らく何者かによるマインドコントロールの類いかと思います」
マインドコントロール……意識を乗っ取るいや意識を操作する魔法を一部の人間に使ったんだな。キングと一緒に計画に賛同していたビショップも意識系の魔法を使っていたし、ビショップに近い人間なのだろうか?
「エイジ、私を構えて下さい!」
クレインの叫び声に反応した僕は咄嗟に手を伸ばして手つなぎをする事でクレインという赤髪の小さな女の子は紅の剣へと変貌する。この剣は上手く調節すれば、摂氏並みの灼熱を浴びせる事が可能であり強大な武器となる。
更に今の僕はクレインと心を一つにして一体化するルーンが発動出来るので、今や僕とクレインは負け無しの実力を誇っている……と思いたい。
「エイジ抹消エイジ抹消エイジ抹消」
エイジ抹消……気味が悪い。真犯人はどうやら、僕狙い。だとすれば今回の事件は僕を倒すためだけに仕組まれたのか?でも、何でこんなにまどろっこしい事をしたんだろう。
もっと手っ取り早い方法があった筈なのに……
(来ます!)
襲い掛かってくる人達に僕はその場で跳躍。そして、囲んできた人達から離れて隙を取った所で丁寧に一人ずつ峰打ちで倒していく。今回僕に襲い掛かって来ている人達は一般市民……間違っても斬りつけられない。彼等に罪は無いのだから。
「くっ、それでも立ち上がるのか」
(峰打ちでは、終わらないようですね。エイジ、覚悟を決めて下さい)
中途半端なやり方では永久に戦いは終わらない。それに今にも襲い掛かってくる人達にもライフの限界が訪れる。覚悟を決めるしかない!
「ごめんなさい」
複数回、峰打ちをされ三度襲い掛かってくる人達に謝罪をしてから迫り来る人達を相手に次々と華麗に斬り伏せていく。
斬られた人達は血を吹き出して倒れるとピクリと動くことは無かった。
(一般市民だったので、それ程手間は掛かりませんでした)
「そうだね。だけど……」
意識を奪われた人達であろうが、最終的に躊躇無く斬った。今でも申し訳ない気持ちで一杯だ……
(避けて!)
クレインの突発的な発言に瞬時の判断で言葉通りに横へ避けると同時に紫色を帯びた縦の斬撃を放ってきた。もし、クレインの言葉に反応が一瞬でも遅れていたらあの斬撃で真っ二つにされていただろう。
「誰だ!出て来い!」
人の姿は居ない。だけど僕は大声で叫び倒していくも僕を殺そうとしてきた人は姿を現さなかった。
「逃げられたようです。エイジ、この倒れている人達を病院へ連れて行きましょう。まだ間に合います」
紅の剣から再び人の姿に戻ったクレインは僕に素早く助言する。
「あぁ、そうだね」
まだ意識が無い人達に声掛けをしながら病院に連絡して事情を伝えていく内に何とも言い難い気配があった。
「僕を見ているのか?」
だが、正確にはわからない。とにもかくにも今は人命の救助を最優先にしていこう。話はそれからだ……
「イスカリアの奴、随分とエイジ・ブレインを高く見ているみたいだが……大した事は無かったな。まぁ、俺はお前がどうであろうが気にせずに暴れるぜ」