第一章 一話
1
悪魔ども の 進行 未だ 止まら ず
shaitami fo sasa malmal hanaru ne
我々 は 多く の 犠牲 を 払 って
hogehoge so tant fo ikni ga sau tti
この 悪魔 の 血 を 得 た
gigi shait fo ju fo hol jen
この 血 を 以て 我ら 彼奴ら に 報いん と す
gigi ju fo woruk hogehoge shaitami go falkor sa ze
いで よ 悪魔 の 血 を 引く もの よ!
aane ra shait fo ju fo kyut damp ra!
我ら の 無念 を 聞け!
hogehoge fo waim ga lili-ra!
生贄に家畜と子供を用いナイフから血が滴り落ちる祭壇にて
このような悲鳴に似た儀式が執り行われたのは初めてではない
一度目は困惑した表情を浮かべる赤毛の犬が、二度目は回転するカラクリが仕込まれた鋼鉄の箱が、
四度目は骨の詰まったツボが招かれた。
この試みはすでに一三回目、これ以上の失敗はもう許されない
やったか?!
samuragouti?!
トランス状態の呪術師達はストロボのような光を見た。
白煙が舞う先には果たして彼らの望むものがやっと到来したのだ。したはずなのだ。
「……ファッ!?!?」
「あ、あれ?なになに?えっ?」
「おれ部屋でネトゲしてた…筈だよな…?」
「え?ええぇぇぇぇぇ!!?」
おぉ! とうとう 成功 した ぞ!!
oh! norurati samu ragta ti!!
人型、 彼奴等 と 同じ 髪 と 肌 の 色!
gamuta shait ma ruri hel ma hihi fo kera!
多大 なる 犠牲 を 払った が、これ で 我等 は 彼奴等 と 同等 の 力 を 得られ た のだ!
tantma sal ikni fo sau ttu ke gira hu hogehoge so shaitami ma rurira fo ral fo jakut n da!
此度 召喚 せし は 彼の悪鬼ども の 眷族 である。
irma hakur ttu so shaitami fo degut damu
毒 を もって 毒 を 征す る、 この 者 が きっと 我等 に 勝利 を 齎し て くれる!!
jom fo woruk jom fo hai mu gigi gamut so mebu hogehoge nam daida fo paru-ra sabuto!!
鋼城 浩士は突如眼前に現れた現実にただただ困惑していた。
つい先程まではいつものように学校から帰宅し、日課であるオンラインゲームの
配布ポイントを消化する為にガチャを回していた。
レアが出たと同時のタイミングで視界がホワイトアウトしたかと思うと
次の瞬間には目の前に見慣れない侯景が拡がっていたのだ。
ただの県立高校に通う学徒に過ぎない浩士が
いきなりこの様な状況に置かれれば混乱しない訳がない。
「何だよこれ…」
「ここ何処だよ?あの人達誰だよ?この祭壇は何なんだよ!?」
「それにこの模様…」
浩士を中心にして地面には図形や象形文字を組合せたようなある種の幾何学模様が描かれていた。
「ゲームに出てくる魔法陣かよ!?」
「…あれ?もしや…おれ…」
「まさか!自分でも気付かないうちに…し…死んだ!?!?」
「それともまさか!おれ糖質になっちまったのか!?!?」
周りを見渡してみるとさっきまで儀式を行いトランス状態になっていた異邦人と思しき人達が肩で息をしていた。
漂う香の香りが妖しさを強調していた。
「(何にしてもあの人達しかいないし…)話しかけてみるか…。」
「あの〜…すいませ〜ん…」
おぉ! 救世主様 が 喋っ て 居られる ぞ!!
oh! odororosu ke orugarune habuno sake!!
皆の者! 刮目 する のだ!!
menemota! titie hube da!!
ささ、 お 続け ください 救世主様!
ha-ba sin naminami gubigubi odororosu!
「この人達ちょっと何言ってるかわかんないよぉ…」
異世界 語 故に 何と 申して おる か 解ら ないが きっと 有難い お 言葉 に 違い ない!
shaitam fo helio gora tinpo oeoeo pamu po hinno ne-ke tamt ririgus sin helio nam nesa ne!!
皆の者 清聴 する のだ!!
menemota lili pamu da!!
「こ、怖いおぉ…」
「(この人達何でこんな血走った目してんだよ?)」
「えっと、貴方達はどちら様でココは何処ですか?」
浩士はこの異常な事態に最早眼前の全てに疑問符が付いた状態である。
しかし絶望的なまでに狂った現実に、やっと出てきた質問はありきたりなものであった。
恐らくは彼等の中で最高権力者であろう老人が垂れた頭を上げた。
狼狽する浩士を見据えた老人は立ち上がり歩み寄った。
救世主様、此度 お 越し 頂きました のは 貴方様 が お 力 を お 貸し 頂き たき 故 に ございます。
odororosu irma sin kimuru shasharu- foso wowowo so sin ral fo sin hage hajai oomu ca nam jaegodas
我等 が 術式 に より 彼の軍勢の兵 より 入手した 血液 を 触媒 とし
hogehoge so malko fo gora shaitamugos gora jakut ti ju fo namara sahi
幾度も の 失敗の 末、 漸く 彼等と同じ種族 の 貴方様 を お 招きする に 至りまして ございます。
igemo fo karasawa ham iraco shaitam・gamut fo wowowo fo sin aane fo lowotaga jaegodas
彼の者達と同じ種族 の 貴方様 であれば、彼の者達 と 同様に 脅威となる でしょう。
shaita・gamut fo wowowo fogora shaitam ma rurira tibasigasaga nanj
彼の軍勢 が 現れて 十年…
shaitamugos ke dodoitu shuru ya...
我々 は 彼等 の 狂気 の 前に 一方的 に 蹂躙されてきました。
hogehoge so shaitami fo kitigai fo dakufo mulok fo kursatindow
この 十年 で 堕とされた 領土 は 最早 1つ の 国 とも なって おります。
gigi shuru ya fo fofororuga dout so gakc shu fo wlo luf deira jaegodas
彼等 の 蛮勇 の 前 に、失い 過ぎた 我等 には もう 後 が 無い の です。
shaitam fo jaut fo pok fo kakura tant hogehoge so ouraf qo so ne fo de
何卒! 何卒 我等 に その お 力 を お 貸し ください!!
dalka! dalka hogehoge fo gigi sin ral fo sin hage jaefort!!
長と思しき老人は長々と礼を尽くし説明した。
が…勿論浩士には何を言ってるのか解っていない。
更に言えば、俗に言う「ヲタク」に該当する浩士に空気を読む事など出来るわけがなかった。
「あ、アハハ…(何言ってるかぜーんぜんわからん。)」
老人は尚も追い討ちをかける。
何卒!何卒! お 願い致します!!
dalka!dalka! sin dagaraiterd!!
「(何だか知らんが返事しとかないと殺それそう…)」
「あ、はい」
気のない様子で首を縦にふる。
おお!! 引き受けてくれるのですね!!
oh!! wowowo sin hage gigi sin ral!!
皆の者よ!喜べ!! これ を もって 契約 が 成立した ぞよ!!
menemota! tahutara! gigi fo woruk garahate so jojurata da!!
…やった……長かった…
samugou...kou rata...
……これで…彼奴等に一矢報いることが出来るぞ…
gira shaitam fo kurstinzo....
ローブを被り伏していた術師達が顔を上げ、やがて歓声が上がった。
「え!?何!?ええ!?」
浩士はただただ困惑であった。
つきましては盟約の印に囁かながら贈りものをさせて頂きたいと思います。
saraba agist fo sholbo zijen fo harubu hajai ma shudo.
おい…
hao
はっ!既に支度は整っております。直ちに!
ra! galk biju so matero naj. soguna!
ローブの一人が部屋の扉を開けた。
薄暗かった室内に光が差し込む。
室内の光量に目が慣れていた浩士は思わず目を細める。
巫女達よ、此処へ
shohura gira
長が合図すると数名の若い女が部屋へ入ってきた。
かと思うと浩士を取り囲んだ。
救世主様、この者達は此度の為に身を清め供養も済ませております。
odororosu gira gamtra so irma fo tira fo na fo pirwe polk fo metero jaegodas
その身の全ては貴方様の物としてお納めください。
gigi na fo bert so wowowo fo jen rat sin guretamata
浩士は突然のことに絶句する。
現地語の為何を言っているかは解らないが、今眼前を若い娘達に囲まれている。
浩士は女性経験はおろか交際すらしたことがない。
若い年頃の女の香りに脳髄が痺れるのを感じていた。
「あぁ…(いい匂いがするおぉ…あ、この子カワイイ!」
あまりに非日常的な事態に浩士は半ば思考停止に近い状態に陥っていた。
女性慣れしていない浩士にはこの娘達の登場が混乱の決定打となったのだ。
お気に召して頂けましたかな?
sin hgoltana hanjai?
この後に宴の用意もございます。
gigi hira fo matri fo biju fo jaegodas
おい娘達よ、救世主様を御案内致せ。
hao nerne ra odororosu fo sin qingira nanj
するとつい先刻浩士が目を止めた少女に腕を引かれ、惚けたまま追従した。
扉を潜ると先の部屋よりも広く明るい広間となっていた。
恐らくは天窓から自然光を取り込んでいるのか、加えて室内に光源を設置している。
しかしその光源は不可思議な物で、浩士の見慣れた電灯の類や旧時代の蝋燭とも違うものであった。
硝子製のランプの様な形状の器具の内部には
揺らめく炎ではなく、拳大の発光する球体が浮いていた。
石造りの室内は浩士が見慣れた現代文明のものとは掛け離れたものだった。
北欧の中世であろうか、ケルト紋様にも似た渦巻き意匠の内装は
恐らくは現代人の思い描くファンタジー世界のそれであった。
「(うーん、何だか解らん外国語にこの場所…)」
「(おれの頭もいよいよか?)」
さ、救世主様こちらへ!
haba odroros gira fo
長の指した席へと少女に促され着席する。
外観から察するに主賓の席と見て間違いなさそうだ。
すると浩士の前に給仕によって数々の料理が運ばれてきた。
若い浩士はよく知りはしないが、高級レストランで振舞われる様なそれであろうか。
しかし洋食と思しき料理の中には見たことのない類の郷土料理のようなものも散見した。
救世主様、私達の村名産の果実酒でございます。是非…
odrorosu hogera mvir fo volkar. siur
浩士が眼前の料理に目を奪われていると、脇から先程の少女が酌を促した。
当然浩士は異世界語を理解していない。
様子を察して目の前の杯を取り、注がれる液体を眺めるのが関の山であった。
ささ、どうぞ御賞味ください。我等が盟約の盃でございます。
ha-ba sin jubot gubigubi. hogehoge so anne glerana.
皆が浩士に注目している。
「飲めってことか?(てかこれ何?」
視線に耐えかねた浩士は意を決してグラスのそれを一気に飲み干した。
「…!?…これ酒か!?…キッツい…」
「ワイン?!・・・シェリーか何かか!?」
学徒である浩士はアルコールには慣れておらず、喉の焼ける感覚に、酒の臭気にむせかえった。
「(…この子の前でカッコ悪いとこ見せちゃったかな?)」
などと場違いなことを考えていた。
おぉ!救世主様!!お若いのに威勢がよろしいですな!!
oh odororosu ! sin gred fo kimara solgora !
やはり彼の者達同様に豪の者でございますなぁ!!
浩士はその血統に感謝すべきであった。
酒の強さとは生来の体質であり、飲めない者ならば卒倒したであろう度数の酒であったのだから。
すると脇から先程の少女が大皿の料理を小皿に取り分けてくれた。
貴方様をおもてなし致しますため粋を凝らした料理でございます。是非御賞味ください。
wowowo fo loewet malaetare gol illo fo vakert dishuker do jaegodas. haba sin ehatve.
不慣れな酒に喉をやられた浩士は早く食べ物を喉に通したかった。
長の言葉は理解していないが、差し出された料理をすぐ様口へ運び飲み下した。
「…!?うんま!!」
「(こういうのエスニック料理てのかな?手こんでるなぁ)」
「そっちのも食べたい!」
浩士は振る舞われた料理を気に入ったようである。
お気に召して頂きましたようで何よりでございます。
宴が進み飲み下したアルコールがその効力を発揮し始めた頃。
浩士はすっかり出来上がっていた。
「いやぁ何か悪いね!!こんなにご馳走になって!」
「今日会ったばっかなのにこんなに良くしてもらって!!」
「おれなんて毎日毎日学校とかダルかったんだぜ?」
「世の中には解ってくれる人はちゃーんといるってことだねコリャ!!」
「あーあーあー!あれ?ところでアンタ達だれ?」
完全に酩酊している。
何処の世界だろうと酔っ払いの質が悪いのは共通認識だとはっきり解る事案であった。
「ところでさぁネーちゃん!!」
「さっきから見てばっかでさぁ!全然食べてないじゃん!?」
「よそってくれんのは嬉しいけどさぁ!」
「君も一緒に食おうよ!これとかメッチャ旨かったよ!!」
……いえ…私は…
「ハハハハ!!何言ってんのか全然わかんね!!」
「ハハハ……あ、あれ…?」
見れば皆の顔から笑みが消えていた。
沈黙が痛い。
「え?…あれ…?おれ何かまずいこと言った…かな…??」
救世主様はその娘がお気に召しましたかな?
沈黙を破り長が口を開いた。
その手の指す方を向き直ると酌をしていた少女がニコッと微笑んだ。
浩士は何だか恥ずかしい感覚に襲われ、照れを誤魔化すように料理をかき込んだ。
ほほっ、救世主様は豪快なお方ですなぁ
宴も終わる頃、初めての酒に完全に泥酔した浩士はテーブルに突っ伏していた。
おい、救世主様はお疲れのようだ。寝室に御案内致せ。
長が命じると若い男衆2人に肩を担がれ別室へ連れられた。
浩士はアルコールに酔い完全に前後不覚となっていた。
通された寝室のベットに突っ伏すと柔らかさが心地良かった。
それでは何かご入用のおりは気軽にお申し付けください。
何やら言い残し男衆は部屋を後にした。
「……(...しかし...、いったい何がどうしたんだ…?
...てか...、ヤヴァイ......、吐きそう...)」
そうして物思いに吹ける間もなく浩士は寝入っていった。