虚ろな日常
今の世の中は『能力こそが全て』。
全てに繋がるのが『能力』なのだ。
能力は人生にあってならないものとなっている。
そんな世の中が、俺を狂わせる。
俺には、この世の中が【異能力】を基準に廻っている事が分からない。分かりたくない。
比奈は俺と違いDRANK能力者だ。
だから、虐められる事も暫し。
苛められて帰る比奈を見る度に、俺は自分が嫌いになる。
そして、今日も…………
比奈は苛められて帰ってきた。
比奈『あっお兄……ただいま。』
奏汰『比奈…どうした?…怪我してるけど、、』
比奈『あっ……これ?これね……また、盛大に転けちゃって……笑えるでしょ?あはは、、』
比奈は、何時も、そう言うと…………、
苦笑いをして、俺を安心させようとする。
俺は比奈を守ってやりたい……なのに。
思えば思う程に気持ちは膨れ上がる。
だけど、俺はただ、見るだけしかできない。
だから、不甲斐ない兄で悪いと謝る事しかできない。
奏汰『ごめん……』
比奈『何で誤るの?』
俺は無言でただ、立ち尽くす。
比奈『変なお兄ちゃんだなぁ……。』
奏汰『比奈……』
比奈『お兄……比奈……弱くなんかないから。心配しないでよ。逆に比奈……お兄が心配だよ。』
比奈は、俺の心を見透かすように言った。
比奈『弱虫で寝坊助で、好き嫌い多くて……比奈……何時も大変なんだから少しは手伝ってよね!』
弱虫で悪かったな、寝坊助はあってるけど…後は余計だよ!っと心の中でツッコミを入れつつ俺は比奈の様子を伺いながら、返事をした。
奏汰『あっ……ぅ……うん。』
比奈は俺の返答を聞くと、微笑んだ。
そして、今日も頑張るぞっと意気込み腕まくりをした。
比奈『よし、じゃぁ……夕ご飯、作ろっかな♪今日もお母さんの代わりに沢山、美味しいご飯作るんだからね!』
こんなにも、良い妹を俺はこのまま、何もせずに居て良いのか……
俺は毎度、そう思う。
本当にこのままで、良いのだろうか、、、