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本当の僕を君だけが知っている  作者: 咲白 正則
10/11

第10話  これからは

 10話です。これからも楽しく書いていくのでよろしくお願いします。

 「カイム、起きてー!!」


 俺はトールのでかい声によって夢の世界から連れ戻される。クソー、いい夢見てたのに!だがそれを口にはしない。なぜなら、ちょっといかがわしいことだからな。


 「うーん、なんだよ。どうした?敵でも来たのか?それならモシュネーに頼めば……」

 「全然違う。モシュネーが、モシュネーの胸がめっちゃデカかったの!」


 どういう意味か理解が出来ない。トールはなぜそんなに切羽詰まっているのか。なぜそれを俺に言うのかをだ。


 「それがどうかしたのか?」

 「なに言ってんのよ!前よりモシュネーの胸が!」

 「やめてください、お嬢様ー!」


 そんなトールと俺の意味がわからない会話にモシュネーが慌てて割って入ってくる。


 「カイム、貴様はきくな、いいな。耳を潰せ!」

 「無理だよ!どうやったらそういうことになるんだよ!」


 どうして女は胸の大きさにこだわるのだろうか。俺は別に女を胸で決めようとかいう概念はないんだけどな。


 「別に俺、そういうのどうでもいいから」

 「え……ちっちゃい胸には興味ないってこと……」


 トールは泣きそうになりながらきいてくる。


 「別にちっちゃい胸が嫌いなわけじゃ……どっちかというとちっちゃい方が好きだ」

 「やった……う、うん。別に嬉しくなんてないけど、……ありがとう……」

 「カイム、貴様ー!表に出ろ、剣の稽古をつけてやる」

 「なんで怒ってんだよ!てか絶対にボコるきだろ」


 どうしてモシュネーはそんなに起こってんだろうか?やっぱり女は意味不明だ。


     □□□□□     


 俺らはこの森を抜ける準備をしている。

 モシュネー達はなぜ胸の話をしてきたのかというと、朝、水浴びをしているときにトールがモシュネーの胸をもんだところから始まったそうだ。その時、昨日の夜のこと、王都にいかないことも伝えてくれたらしい。


 「で、カイム。これからどこに向かうの?」

 「そうだなー、モシュネー。ここからどこにいけるんだ?」


 モシュネーは準備を済ませて洞窟から出ようと歩き出す、俺とトールも準備を済ませてモシュネーの後ろについていく。


 「そうだな、王都以外となると、少し遠いがゼルの村が一番近いな」

 「そこってどの位かかるんだ?」

 「2日くらいだと思う。だが、あそこの村は……」


 なんだろうその悪そうな感じは……。ききたくないがきかないとな。


 「その村には何かあるのか?」

 「あのね、カイム。ゼルの村っていうのは、……亜人の村なの」

 「亜人ってもしかして獣人とかのことか?」

 「うん。よくしってるね」


 そりゃ当然だ。だって獣耳だぜ、テンション上がるぜ。だけど亜人ってだけでそんなに嫌がるものか?


 「もしかして亜人ってこと以外にも行きたくない理由があるのか」

 「あのな、カイム。その村っていうのは、……人間嫌いの種族なんだ」

 「それって、その村で人間が何かをしたのか?」

 「その話は森を移動しながらにしよう」


     □□□□□     


 俺らは洞窟から出て火の処理をしてゼルの村へと出発する。歩きながら今さっきの話をきく。


 「で、人間とのイザコザって何なんだ?」

 「それはな、昔、ゼルの村にもたくさんの人間と獣人が共に暮らしていた。その村では異種族での恋愛・婚姻は禁じられていた。だが、その禁じを破ったものがいた。周りからは反対されていたのだがそれをも押し切り、村の端でひっそりとふたりで暮らしていた。そしてそのふたりにひとりの男の子の子供ができました。その子は父の獣の見た目を受け継ぎ、母の人間らしい顔立ちを受け継いだ。その子供はすくすくと成長し、8歳の誕生日を迎えた。そのとき異変が起きた。その子供は両親を殺害したのだ」

 「なんでだ?どうしてそんなことが……」

 「黙って聞いてろ。その子供はゼルの村の人も虐殺し、この森を越えて、王都に襲来した。王都でもたくさんの人を虐殺した。それを止めるべく沢山の騎士を王が派遣し子供を倒したのだ」


 どうしてなんだ、どうして子供は暴れ始めたのか。……

多分突然変異かなんかだろう。だけど、騎士を沢山って、そんなに強いのか?


 「それから、ゼルの村は人間を嫌い始めたのだ。……どうだ、わかったか?」

 「なんとなく、な。そんな悲しい話だとわな」


 ありきたりだが、やっぱりこういうのが一番泣けるな。いや……


 「ちょっと待てよ、そんな村入れねーじゃないか」

 「それは大丈夫だ。一様村外れに人間がやっている宿屋が、あるから大丈夫だ」

 「それなら大丈夫じゃないか、そんなに嫌がることは」


 そんな俺とモシュネーの会話にトールが割って入ってくる。


 「だけど、そこに行く途中に亜人の村を通らないと行けないんだよ」


 それはやばいな。なんか雰囲気が重くなる。どうにかして雰囲気を変えなければ。


 「そういえば、モシュネーの胸ってどんくらいなんだ?」


 クソ、これしか思い浮かばなかった。これを言ったんだ、雰囲気が変わってくれないと俺の死が無駄になる。だけどそんな心配は無駄だったようだ。


 「貴様ー!殺される準備はできているようだな」

 「そんなわけじゃ、うわーー!」


 そんな俺の言い訳を聞かずに襲い掛かってくる。そして……


 「何?カイムそれは私へのあてつけなの、そうなんだよね!」

 「だから違うんだあぁぁぁぁーー!」


 俺の死は無駄にならなくて済んで良かったー。だけど


 「死ねー、カイム!」


 と、ふたり同時に襲い掛かってくる。俺は逃げる必死に足を走らせる。トールは楽勝だが、モシュネーにすぐ追いつかれた。


 「捕まえた!よし、これからどうなるかわかってるだろうな!」


 トールが俺らに追いついく。


 「わかってるよね」


 これはヤバイ、ヤバイ!

 怖いふたりの目が近づいてくる。

 キャアァァァァーーー!犯されるーーー!

 俺は死を見た。これが生き地獄なんだと初めて知った。(知りたくなかったけどな)

 

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