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本当の僕を君だけが知っている  作者: 咲白 正則
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第1話 私は君を見ている

「本当の僕を君だけが知っている」に興味を持っていただきありがとうございます。

趣味で書いたというだけなのでおかしいところが多々あるとおもいますので、遠慮なくご指摘ください。

 チリチリチリーン!チリチリチリーン!


 俺は目覚し時計の音で目を覚ます。

 クソ、誰だよこんなの考えた奴!と思いながらベルをとめる。

 今日は休日だからもうひと眠りしようと思ったが尿意に阻まれた。しょうがなく重い瞼を開くとそこに見えたのは…

          青空だった。


 「え、ここどこ?」


 ベットから飛び起き、あたりを見回すと草、木、川、石、自然だらけの中、石の上に石によく似た色の銀色の髪をした可愛い少女がこちらを見て笑って座っていた。

 歳は10くらいで白いワンピースを着ている。

 

 俺は何が起きているか分からず唖然としている中、少女は俺の方に歩いて向かってくる。

   

 「ようこそ、トラウムヴェルトへ、僕はモルペウス」


 何処だよ、そして誰だよ。

 何故、俺がここにいるのかを考えていると、少女は俺の目の前まで来ていた。

 棚引く長い髪から花のいい香りが俺の鼻孔を擽る。


 「僕の手によって君はこの世界に選ばれたんだ。感謝してよ」

 「いや、そう言われても俺には意味分がわからないんですけど」

 「まぁそうだよね。じゃあ君は僕に返しきれない仮があると思っててくれよ」

 「は、はあ?」

 

 こいつアホだなと俺は思った。


 「君ー、僕には思っている事が聴こえるんだよ」


 モルペウスはニヤリと微笑みながら言った。その微笑みには明るさが見えなかった。


 「すみません!」

 「まぁいいよ。それより何か僕に質問したい事はないかい?」


 質問したいことがありすぎてなにから質問したら良いのか分からない。ふとモルペウスの方を見てみると彼女はまた微笑みを浮かべていた。


 「ちょっとひとつ僕からいいかい?」

 「いいですよ」

 「君は誰だい?」

 「そう言えば名乗ってなかったですね。俺は…えっ!?俺は、俺は誰なんだよ!」


 俺が困惑している中、また彼女は微笑んでいる。この微笑みは面白がっている微笑みだ。


 「別にどうでもいいじゃないかい」

 「どうでもいくないです。名前がないと不便だし、記憶も無いんですよ」

 「名前も記憶もいらないよ。そっちの方が新鮮でいいじゃないかい。だから消してあげたよ」

 「貴女が消したのですか?」


 彼女はうんともすんとも言わずに黙って微笑んでいた。

そんな彼女に苛つきを感じる。


 「そんなに怒らないでくれよ。」

 「勝手に記憶を消されて怒らない人なんていませんよ。俺の記憶を返して下さい」

 「返さないよ。僕は君を救ったんだ。その分楽しませてもらわないといけないよ」


 俺が彼女に救われた?もしそうだったら俺に何があったんだ?


 「教えて下さい。俺の事を。些細な事でもいいんです。」


 彼女は顎に手を当て考えている。


 一分くらいたっだろうか。その時間は彼女にとっては些細なものだろうが、俺にはとても長く感じられた。


 「決めたよ。君には何も教えないけど、チャンスをあげるよ。僕は君がトラウムヴェルトで過ごす中で、時々君の前に現れる、その時僕は君に質問するから、それに答えることができたら君について話すよ」

 「その質問の内用は?」

 「それを教えたら楽しくないじゃないかい」


 モルペウスは楽しげに微笑む。それに俺も微笑みで返した。少し緊張が解けてきた様だ。

 すると、俺の中で何かが起きようとしている。これは…

           トイレだ。

 

 「あの、トイレって何処でしたらいいんですか?」


 モルペウスは憐憫のまなざしを送ってくる。


 「川でしてくればいいよ」

 「ありがとうございます」


 モルペウスの引いた目を背に川に向かって歩き出した。


 用を足し終えた俺は清々しい表情をしてモルペウスの前へと戻った。彼女はまだ少し引いている様だ。


 「そんな目で見ないで下さい」

 「そうさせたのは君じゃないかい」


 はー、とひとつ溜息をついていつものからかう様な微笑みをする。


 「で、君は決めたのかい?」

 「何をですか」

 「決まっているじゃないかい。これからの事だよ」


 そういえば考えていなかったな、と思い彼女の方を見ると、何かを企む様な微笑みをしている。


 「じゃあ、あの馬車に乗っていけばいいよ」


 そう言われ、彼女が指を指している方向を見ると何輛かの馬車が見えた。


 「あれは君がいるべき場所へ誘ってくれるよ」

 「俺がいるべき場所…」


 それは少し気になる。だが彼女の言う通りにしていいのだろうかと悩んでしまう。


 「悩む事は無いよ。なんせこの草原を抜ける方法はあの馬車しかないんだよ」

 「わかりました。じゃあ、あの馬車は何処に行くのですか」

 「そんなの教えたら面白くないよ。それは行ってからのお楽しみだよ」


 やっぱりそう来るかー。彼女は俺がどうしようとどうなろうとどうでもいいんだ。彼女は楽しみたいだけだから。


 「君はよくわかっているよー」

 「全然です。俺が知っていることは貴女がモルペウスという名で可愛い外見をしていながら腹黒い、という事だけです」

 「フフフ、ハハハハッ。やっぱり君は良い。だけどこんなことしてていいのかい?馬車行っちゃうよ?」


 俺は馬車が何処にあるか探し、その方角へ走り出そうとしたらモルペウスに呼び止められた。


 「最後にひとついいかい」

 「いいですけど短くお願いします」

 「じゃあ、僕は君をいつでも見ているよ。僕をいっぱい楽しませてくれよ」


 はい、と俺は返事をし、行きよいよく草原を駆け抜けていく。その途中後ろを振り返ると彼女の姿は見つから無かった。

読んで頂きありがとうございました。

感想、ご指摘など気軽に書いていただけれたらと思います。

3日に1話の頻度で頑張って行こうと思いますので今後ともよろしくお願いします。

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