7 君のために生きよう
あまりにも君が、鼻水をすすりながらみっともなく泣くから私は笑ってしまった。
この時初めて笑ったのかな。
そして、
「なんでそんなに泣いてるの?自分が怪我したわけでもないのに。」
なんて君に意地悪なことを言ってしまった。
そしたらジェイさんに頭を軽く叩かれて
「エイ、こいつはなお前のために血を抜いたんだよ。」
「私のために…?なんで…?」
「お前の血液型と一緒なのがこいつしか居なかったんでな、輸血を頼んだんだ。でもこいつ馬鹿だから自分の血を全部抜かれて死ぬんだってついさっきまで勘違いしてたんだよ。
そして、治療が終わってそうじゃなかったって気づいたら安心してこのザマだ。」
ジェイさんが笑いながら言ったら君は顔を真っ赤にして怒った。
「仕方ないじゃん!そんなのやったことなかったし、本当に死んじゃうじゃないかって思ってて本当に怖かったんだから!」
必死でジェイさんに言い訳をする君の様子を私は唖然としながら見つめた。
そして君に聞いた。
「ごめんなさい…。」
「いいよ、エイが助かって良かったよ。」
「ねぇ、一つだけ聞いていい?」
「なに?まだフラフラするの?」
「もう大丈夫。なんで自分が死ぬかも知れないのに私を助けようって思ったの?」
それを聞いた君はにこっと笑った。
「だって、エイは僕の友達だろ。」
君は当たり前のように、そんな質問する私を不思議そうに見てそう言った。
耳を疑った。言葉が出なかった。
そんな簡単に自分の命を出会ったばかりの私に差し出す君の神経が理解できなかった。
「友達」だなんて、そんな事言われてしまったら君を突き放すことができないし、君の言葉だけは信じるしかないじゃないか。
このとき私はどうあがいたって君には敵わないって認めた。
そしてこの時、私は君のために生きようと決めたんだ。
「ありがとう、ライ。」
そう言うと君は照れくさそうに俯いた。




