33 暗闇で戦うということ
いつだって戦争っていうのは残酷だ。
忘れると思っていた傷跡は全然わすれられない。
痛みはましになっても、いつまでの痛いままだ。
それでも、生きなきゃいけないからと思って私は戦ってきた。
なぜ生きたいかなんて理由は忘れていて、必死に学んで、訓練を積んで強くなろうとした。
何も考えない、それが一番楽だと思ったからだ。
そうすることでナポルスキーさんの鬼のような指導にもついていけたし、
共に戦いたいと思える仲間もできた。
私がこの戦場にきて2年が経とうとしていた。
戦場で戦う術も生きる術も知識も身につけた。
「おはよう、エイ。朝飯食ったか?」
「まだ、今から行くとこ。」
「それなら早く行こうぜ、早くしねーとなくなるぜ。」
「大丈夫だよ、誰もカイトのご飯を奪うようなことしないよ。」
「なんだよ、どういう意味だよ。」
「そのままの意味だよ、カイトのご飯が足りないなんてなったら後でどうなることやら。」
「何笑ってんだよ、早くいくぞ。」
カイトは相変わらず、時が経っても同じ調子だった。
出会った頃よりも少し背が高くなっていた。
「そういや、そろそろ佳境に入りそうだな。」
「そうだね、ついに私たちだけじゃなくて各地で反乱が勃発してるらしいよ。海外でも政府を避難する声が大きいしね。」
「俺たちにとっちゃ吉報だけどな。」
「まあ、そうなんだけどね。油断したら一気にやられるよ。相手もこの戦況じゃ捨て身で来るだろうしね。」
「さすが、ナポルスキーさんの秘蔵っ子は違うな。」
「そんな大層なものじゃないよ。この前も死にかけたしね。」
「あれ、本当にやばかったからな。お前マジで気をつけろよな。」
「はいはい、じゃあそんな私が怪我しないように守ってくださいよ。」
「お前なー、まじで気をつけろよ。」
そんなことを言いながら私とカイトは作戦会議に出るために本部にあるテントに向かっていた。
ここ1年で私たちの扱いは変わった、戦果を残せたっていうのもあるかもしれないけれど、リズが死んだあと必死で生きるために学ぶ私たちをナポルスキーさんが取り立ててくれたのが一番の理由だ。
私たちは戦場に出るが最前線に立つことは少なくなった。
使い捨ての駒じゃなくなった安心感はあったが、自分の目の前で誰かが使い捨てにされるのを見るのはやはり気分の良いものじゃなかった。
同じ立場カイトがいてくれるから、私は心を殺さずに済んでいるけれど彼だって明日生きているって保証はない。
そんな暗闇の中で一生生き続けるのかって思ったら、泣きそうになった。そんな不安を押し殺すように隠れて昔リズが吸っていたタバコを吸った。




