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次はきみが笑う番だ  作者: odd
3章 君を忘れる
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32 君がいなくたって大丈夫

あれから5日が経った。


私の怪我は治ったのに、まだ待機命令が出ている。

いっそのこと戦場に戻してくれればいいのに、そうすれば全て忘れられるのに。

そんな事を思いながら、私は訓練を再開しようとしていた。



あの日からカイトにも会っていない。

きっとカイトは私のこと憎んでるんじゃないだろうか。

そう思うと彼に会うのも億劫になった。

そんな鬱蒼とした気分を晴らそうと、私は射撃の訓練場に向かおうとした。




「エイ!」


遠くから呼ばれた気がした。

振り向くとカイトがいた。


会話をどう切り出せばいいのかわからなくなって、立ち尽くす私に向かってカイトは歩いてきた。


「もう怪我は治ったのか。」

「うん…」

「お前は大丈夫なのか。」

「うん…」

「リズが死んだのはお前のせいじゃない、だからしゃきっとしろ。」

「え…」

「お前だってリズだって俺だってここにいる以上、死ぬことを覚悟している。そうなってしまうのは誰のせいでもないんだよ。」

「そんなこと…」

「だって、俺たちだって殺したくて人を撃っているわけじゃないだろ。そう思わないと生きていけないんだよ。」

「言ってることわけわかんないよ…」

「俺だって訳がわかってないさ、でも誰かのせいって片付けられるほど軽い覚悟で戦ってないだろ。だから俺たちは生きなきゃいけないんだよ。リズがいたってことを忘れないために。あいつの覚悟と一緒に戦うために。」

「何言ってるかわかんない。」

「分かんなくていーよ。エイは絶対死なせないから」

「カイトがそう思ってたって、私だっていつ死ぬかわかんないじゃん。」

「うるさい、俺が死なせないって言ったら大丈夫なんだよ。」

「さっきから言ってることめちゃくちゃだよ。」

「うるせー、黙って俺を信じとけ。」



カイトといるといっつもこうだ。

言ってることはめちゃくちゃなんだけど、元気づけようとしてくれてることは分かる。

ここじゃ立ち止まってちゃいけない。進むか死ぬかの世界なんだから。

でもこうやって隣で小言を言ってくれる仲間が居るうちは、まだ戦える。生きることを諦めずにいられる。


「ありがと。でもね、約束して。」

「なんだよ約束って」

「カイトだけは死なないでね、私も死なないから。」

「おう、当たり前だ。」



この約束にきっと私は何度も救われるだろう。

ライとの思い出と同じように、この約束があるから強くあろうとするだろう。

大丈夫、ちゃんと私は自分の足で戦える。


そう信じて私は射撃場に向かった。


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