表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
次はきみが笑う番だ  作者: odd
3章 君を忘れる
31/38

31 何故心は痛むのか

基地に帰った頃には背中のリズは冷たくなっていた。

雨のせいなんかじゃなかった。



血まみれの私と冷たくなったリズを見てナポルスキーさんは苦い顔をしていた。

怒るわけでもなく、悲しむわけでもなく無表情でタバコを吸っていた。


「それで、成果はどうだったんだ。」

「ごめんなさい、配置くらいしかわかんなかったです。敵兵の数も、装備もわからなかったです。」

「そうか…、お前今日はもう休め。そしてその怪我治すまで戦うな。」


そう言ってナポルスキーさんは部屋から出ていった。

私は自分が少し怖くなった。

リズが死んだというのに、淡々と報告をしている自分が。

もっと悲しんで泣き叫ぶと思っていたのに。


報告して自分の部屋に戻ろうとしたところにカイトが血相を変えて走ってきた。


「おい、エイ。どういうことだよ、なんでリズが…なんで…」

「ごめん、私のせいだ。」

「何があったんだよ、嘘だよな。あいつが死ぬわけないよな。冗談だよな。」

「ごめん…」


何も言葉が出てこなかった。

目の前のカイトが泣いているのに私は涙一つも出てこなかった。

こんなに人って冷静でいられるものなのだろうか。


「ごめん、今日はもう休むね…じゃあ、また明日…」

「おい、待てよエイ!」


そう言って涙を流すカイトを背に私はベッドに戻った。



戦場で仲間を失うなんてことは日常茶飯事だった。

だから、きっと、何日かしたら忘れる。

今までもそうやって来たじゃないか。

だから、きっと少し休んだらまた戦える。

もしかしたら次に命を落とすのは自分かもしれないじゃないか。


そう自分に言い聞かせて、寝ようとしたが眠れなかった。



眠れない理由はわかっているくせに、わからない振りをしている自分がいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ