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次はきみが笑う番だ  作者: odd
3章 君を忘れる
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30 どうか共に戦おう

それからも私たちは戦い続けた。

何のために戦ってるのかなんて、忘れるくらい夢中になって。



だけれど、私達は所詮子供でどうあがいたって大人に勝てないときもある。



その日はリズと偵察に出かけた。

偵察なんて何度も行ってきたし、訓練でも散々ナポルスキーさんにしごかれているから油断しきっていたのかもしれない。

そんな私たちの油断が、この日に限って仇となってしまった。




「なんか雨が降りそうだね。」

「そうだな、降る前にちゃちゃっと終わらすか。」

「そうだね、火薬とか使えなくなっちゃうもんね。」



そう言って私たちはタイミングをあまり図らず敵の陣地へと入り込んでしまった。


「おい、お前ら何してる。」


知らない大人の人だ。

おそらく国軍の兵士だろう。


「いや、僕たち孤児で…食べ物を探していたらここに迷い込んでしまっていて…」

「そうなんです。どうか食べ物を恵んでくれませんか。」


「黙れ、こんな場所にいて良いと思っているのか。お前らちょっと来い。」


私たちは強制的に連行されそうになった。

やばいと思った私は、その兵士を撃った。


兵士が倒れた隙に私たちは走った。

銃声に気づいた仲間の敵兵達が私たちに向かって発砲してきた。

必死で瓦礫の影に隠れ、なんとか逃げ果せたが片腕が真っ赤に染まっていた。


あまりにも多くの血が流れているので驚いて声が出なかった。

出血の割には痛みがない、ということは私の血ではなかった。

隣を逃げていたリズの血だった。

おそらく、敵兵の銃弾を受けたのだろう。もしくは私を庇ったのだろうか。

それまでの私の経験上、これだけ血を流していたら助からない。

それくらいリズの血は流れていた。


「エイ、俺はもう動けない。だからお前だけ先に行け。」

「え…何言ってるの。お願いだから立ってよ。」

「お前馬鹿だろ。これだけ出血してたらもう走れねーよ。」

「嫌だ。お願い、立ってよ。一緒に帰ろう。」

「無理だ…早くいけ…」


私は持っていた武器を捨てて、喋るのも辛そうなリズを背負った。

訓練をしていたおかげで、なんとか自分よりも大きなリズの体を背負うことができた。


「リズ、もう少しだから…もう喋らなくていいから…お願いだから…」


泣きそうな声でリズに声をかけ続けた。

雨が降っていて足場が悪いなか私は歩き続けた。


「エイ…俺を置いていけ…」

「嫌だ、絶対連れて帰る」

「いいかげんにしろ…お前が…いないとカイトが悲しむ」

「リズがいなくなっても悲しむよ、お願いだから黙っててよ」

「本当に一度言ったら聞かないな…、でもそんなお前と一緒に戦えてよかったよ…」

「もういいから黙っててよ、お願いだから…」



そう言って私は必死で足を進めた。

背中に感じるリズの体温が冷えているのは雨のせいだと信じて。



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