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次はきみが笑う番だ  作者: odd
3章 君を忘れる
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27 忘れても君がいた

ナポルスキーさんに覚悟を問われてから3か月。

私達は違う作戦部隊に移されて、前よりもずっと厳しい訓練も受けた。


訓練の量も扱う武器の種類、遂行する任務の重要度とかも前に比べて格段に違っていた。

それでもなんとか私達が食らいついてついていったのは後戻りができないからだ。


強くなって前に進まなければ死んでしまう。

死んでしまっては、今までの覚悟も苦しみも何もかも無駄になってしまう。

進むか死ぬか、それが戦場での常識だったからだ。




「はあー、今日の訓練もきつかったな。」

「そうだね。カイト、肘のところケガしてる。」

「うわ、本当だ。後で医務室行っとくよ。」

「そんなこと言って忘れるでしょ?私もついていくから今行こうよ。」

「はいはい、わかったよ。行けばいいんだろ、行けば。」



訓練が終わったあと、そんな会話をしながら私とカイトは医務室に向かっていた。


「まったく、エイは心配性だよな。この前もリズが足ひねったときも医務室いけって言ってたよな。」

「まぁ足は大事だし、カイトもリズも死んで欲しくないからね。」

「それはいいけど自分の心配もしろよ。お前も先週骨折してただろ。」

「私はいいよ、大丈夫だから。」



私が笑いながら返事をするとカイトは驚いたような顔をして私を見た。


「エイ、いつかちゃんと聞きたかったんだけどさお前なんでここに来たの?」


カイトの質問の意味がわからなかった。


「なんでって、前にも言ったじゃん。捕まって売られたって。」

「じゃあ、なんで捕まったんだ?」

「それも前に言ったじゃない、治安の悪い場所で遊んでたら捕まったって。」

「本当にそうなのか?」

「本当にってなによ。そんなの嘘ついてどうするの。カイトは私が嘘ついてるっていうの?」

「そうじゃなくて、俺が聞きたいのはお前は自分からここに来ることを選んだんじゃないのかってこと。お前の言い方だと無理やり連れてこられたみたいな言い方だけど、それにしてはお前どこかおかしいんだよ。」

「そんなこと…」



言葉が出なかった。

確かに私はあの時逃げようと思ったら逃げれたかもしれない。だが、ライを確実に逃がすために自分が囮になることを自分勝手に選んだ。

ライがその先どんな気持ちになるかなんてことを考えずに。



「お前の話聞いてると、どこかで諦めてる節があるって感じるんだよ。ここに連れてこられたことも妙に納得してるし、お前みたいにこの戦場で生き残れて頭の切れる奴が簡単に捕まるのだっておかしいと思ってたんだよ。」

「そんなこと言ったって泣き喚いたって帰れるわけじゃないし、私まだ子供だから大人には勝てないよ。」



むきになってカイトに反論していたけど、私の中で答えは出ていた。



ナポルスキーさんみたいになりたいと言った時あたりから私はライ達がいるりウォールに帰りたいとは思わなくなっていた。

ライやジェイさん達が戦場で変わりきった私を受け入れてくれると思わなかったからだ。

そして、自分勝手に捕まってライを置いてきてしまった私をライは許さないと思ったからだ。



「なあ、お前なんでここに来たんだ?」



カイトに問い詰められた私は固まった。

そして、しばらくしてから



「わからない、もう帰る理由もない。だからもういい。」



そう言って私は走り去った。



私が戻ったら、きっとライは罪の意識を感じてしまうだろう。

それなら、私のことなんて忘れて自由に生きていって欲しい。

改めてそれがわかってよかった。



だから、私は生きるために戦う。

死ぬのが怖いから、君にもらった命を失わないために戦う。



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