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次はきみが笑う番だ  作者: odd
3章 君を忘れる
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26 戦う理由

銃声が飛び交う中、私とカイトの班は建物のかげに隠れていた。

脳内に響くような爆音と共に合図が出されたので私達は駆け出した。



その日は特別作戦に参加することになっていた。

この頃は半年間生き延びた私達を上は評価してくれたらしく、

最前線での捨て駒としてじゃなくて一人の兵士として扱ってくれるようになった。


これもナポルスキーさんの思惑通りだと思うと少し怖いが、生き延びる可能性は少しでも上げたい。

これが戦場で戦っていた頃の私達の心境だ。



作戦は捕虜になった仲間を奪還するものだった。

私が連れてこられたこの国ではひどい政権が蔓延っているらしい。

それを倒すためのレジスタンスとして立ち上がったのが今私達がいる反乱軍だ。

人が足りないため、世界中から子供たちが集められているが軍そのものの目的は今の政権を奪い取ることらしい。


10年前に始まったこの内乱も、徐々に参加する人は増えていって今では数十万人規模のものになっている。



「おい、エイ!いたぞ。」

「ほんとに?!よかった。」

「じゃあ、俺が先に行くからお前は捕まってたルークと一緒に続いてくれ。」

「わかった。頼んだよ。」



ナポルスキーさんが予想した捕虜を収監している場所は見事に的中した。

敵の配置も出方も彼の言った通りなのだから、本当にすごい。

伊達に何年もこの場所で戦ってきたわけじゃない、この戦場で尊敬できる数少ない大人だった。



無事作戦を終えたあと、私とカイトと私達と同じ歳くらいの少年兵リズはナポルスキーさんのテントに呼ばれた。


「3人とも今日の作戦はご苦労だった。それでな、お前たちに聞いておきたいことがある。」


三人とも頭にはてなマークを浮かべて黙って続きを聞いた。


「俺たちが起こしているこの戦いも、大詰めになってきている。そこでだ、お前ら家に帰りたいか?」


言葉が出なかった。

確かに帰りたいことには間違いない。

でも、今帰ってしまっては失った仲間は何だったんだ。

恐怖と戦った心はどこに行ってしまうのだろうか。

今まで必死で積み上げたものを手放すのが惜しくなってしまった。



「俺は、まだいいよ。どうせなら最後まで見届ける。」

リズが言った。彼は私達よりも前からこの戦場に連れてこられた。

きっと私たちよりも多くの恐怖を味わってきたし、沢山の涙を流しただろう。

それでも、ここに残ると言ったのは戦う理由を見つけたからだろうか。


「俺もいいや。口減らしで家を出された俺には帰る場所もないし、そうなったらまた売られての繰り返しだろ?

だったら、ここで戦って自分の力で抜け出すよ。」



リズもカイトもこの場所にいる理由があるんだ。

じゃあ、私が「帰る」と即答できない理由。それはなんだろうか。

どうしたらいいか、わからなくてナポルスキーさんの顔を見上げた。

そうしたら、答えはそこにあった。



「ナポルスキーさん。私、あなたみたいになりたい。賢くて、強くて、みんなに信頼されるあなたみたいな人になりたい。

だから、もっと色々教えてよ。私勉強するからさ。がんばるから…」


震える声で言った。

するとナポルスキーさんは笑った。


「悪かった。本当はいますぐ帰せるわけじゃないんだ。お前たちの覚悟を知りたかっただけなんだ。

ここから先の戦いはひとつも手を抜けない。だからこそ、覚悟を持った人間に参加してほしかったんだ。

試すようなまねして悪かったな。」



それを聞いた私達は呆れるように笑いあった。




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