22 先が見えない闇のなかで
「おい、降りろ。」
船を降り、そこからトラックに乗せられて何時間も走り続けた。
一体自分がどこに来てしまっているのか、何をこれからさせられるのかわからないまま時間は過ぎていった。
降りた場所は何もない荒野にいくつものテントが張ってあった。どうやら、この場所にキャンプを張っているようだった。
それを見たときには、戦場だなんて実感はなかった。
トラックから降ろされて、私はあたりを見回した。
目の前を歩く兵士みたいな格好をした人は、とても虚ろな目をしていた。
自分もこうなってしまうのか。いや、こうなるまで生きていられるかな。そんな不安と絶望を抱えて私は戦地へ降り立った。
私と一緒にここへ連れてこられた子供は5人いた。
皆、髪の色や目の色が違った。
ぼけっと立っていると後ろから誰かに突き飛ばされた。
「いった…。何するの。」
「お前らがぼさっと立っているからだ。さっさとこっちへ来い。」
私達を突き飛ばしたのはまだ若い15歳くらいの若い兵士だった。きっとセンと同じくらいの年齢なんだろうなとか、もう戻れない日々を悔やんでいた。
気乗りはしなかったが、行くところもないのでその若い兵士に案内されて私達はテントの中に入った。
テントに入ると上官らしき人がいた。
「お前らが今回補充された、子供兵か。俺の名前はナポルスキーだ。5人とは少ないが、仕方ない。お前たちにやってもらうことはただ一つ。特攻だ。」
「ちょっと待てよ。それじゃあ、俺たちに死ねって言っているようなものじゃないか。」
私と一緒に売られてきた少年が言った。
彼も私と同じように捕まって売られたのか、それとも自ら家族の口減らしに協力したのか。
少年は言葉を言い終わる前に殴り飛ばされた。
「当たり前だ。お前らの命になんてなんの価値もない。だから売られたんだろう?悔しかったら生き抜いてみせろ。」
ナポルスキーという上官はそう私達に怒鳴った。あまりの迫力に、ようやく私は戦場に来たということを実感した。
そして上官は続けた。
「明日から1ヶ月は基本的な訓練だ。そのあとは最前線で戦うことになる。死にたくなけりゃ、明日から死ぬ気で訓練に取り組め。以上だ。」
そう言い残して上官は去っていった。
どうやら、私はとんでもないところに来てしまったみたいだった。
ここに来て上官の怒鳴り声を聞くまでは、もしかしたらライにもう一度会えるかも思っていたけれどその考えは捨てなきゃいけないみたいだった。
そうしないと、私は寂しさで立っていられる気がしなかった。




