2 運命の日
ジェイさんに拾われた日、私の運命は変わった。
その日の朝はいつも通り蒸し暑かった。
両親を失った私は、とある孤児院に引き取られた。だが、良いパトロンがつかず孤児院の経営が破綻寸前だった。
そこで、口減らしをすることになり、私はその対象になったというわけだ。自分が市に出されると聞いた時の私は世の中がどうでもよくなっていた。
両親を失って、藁をもつかむ思いで入り込んだ場所で除け者にされた。でも、私がいなくならなければ、きっと他の誰かがこうなるのだろう。
そう思うと、諦めの感情が体中からどわっと湧いてきた。
市に運ばれる車に乗り込もうとしたその時、私はジェイさんと初めて会った。栗色の髪の毛を伸ばして、髭を生やしているジェイさんはどこからどう見てもホワイトカラーの人間ではなかった。
商人を呼びとめて、その国にしては珍しい私の黒い髪が気に入ったといってジェイさんは私を買った。
あの時私はいつどうやって死んでしまおうかって本気で考えた。一生この人の奴隷みたいな生活をしなきゃいけないと思うと、この先の人生なんて簡単に捨ててしまう決心がついた。
だけど、ジェイさんが私を拾った理由は私が想像した理由と全く違った。私が護身用に孤児院から持ち出した銃。それがジェイさんの目的だった。
見つからないように持ってたつもりなのだけど、ばればれだったみたい。歩き方や、私の視線で何か武器を持ってるって分かって、売られる子供が大切そうに持つ武器ってどんなものなんだろうっていう単純な興味と可哀想な少女を助けてあげたい少しの正義感からジェイさんは私を引き取った。
憂鬱な気持ちでジェイさんの自宅兼工房に着いた私はひどく脅えて、出されたパンとスープにすら手をつけられなかった。
実はあの時はものすごくお腹が空いていて、食事を摂れるのは2日ぶりくらいだった。
持っていた銃を差し出したらジェイさんはそれを分解しはじめた。その様子を不思議そうに見ていると、いきなり工房のドアが開いた。
その時初めて私は君に出会った。




