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次はきみが笑う番だ  作者: odd
2章 君との日々
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19 光と闇を君と見る

それから私達二人は黙って港の方へ歩いた。

この時の私は早くライの用事終わらせて帰りたかった。

なので早足で港に向かった。


「すっげー…。」

港に着いた時ライがそう呟いた。

確かに、すごかった。私達が住んでいる街の港とは大きさも人の多さも全く違っていた。

港にならぶ世界中の船は見ているだけで1日が終わりそうなほどの数だった。

見たことのない装飾や、見たことのない人種の人たち。

そこには、清濁あわせたこの世の全てがあるようだった。



ライと私は呆気にとられてその光景を見ていた。

このとき、この街に来たことを後悔していた私は初めてここに来て良かったって思った。治安が悪いこの街が、これだけ栄える理由もわかった。


「ほんと、すごいね。ライ、私いつかここを堂々と歩きたい。」

「うん、大きくなったらここから船に乗って色んなところ行こうよ。」

「そうだね、ライとなら楽しそう。」


ライと一緒に世界中の色々なところに行く自分を想像したら、それだけで胸が踊った。きっとライとならどこだって私は楽しめるはずだ。

機嫌を良くした私は、ライと港を探検することにした。


数え切れないほどのコンテナの中を二人で歩いていくと見覚えのあるコンテナが現れた。思い出したくもない記憶を呼び起こしてしまった私は咄嗟にその場で固まってしまった。


「エイ、どうしたの?」

「あれ…、昔私が入ってたやつ。」

「あのオレンジのやつのこと?入ってたって、どういうこと?」

「昔、売られてこの島に来るときにあのコンテナの中に入れられたの。それでトラックに乗せられて闇市へと運ばれたの。ライ、この先は行っちゃだめだよ。戻ろう。」

「わかった…。エイが言うなら僕は帰るよ。」

「ありがとう、ごめんね…。」


私達二人は待ち合わせのトロッコ列車の駅まで戻ろうとした。

だが、闇雲にコンテナ広場の中を進んできた私達は帰り道がわからなくなってしまっていた。

1時間ほどして、自分たちがどこにいるか分からなくなっていた私達は疲れ果てて座り込んでいた。


「エイ、僕たちもう帰れないのかな。」

「何言ってるの。絶対帰るんだから。とりあえず、海の方に行ってみようよ。視界が開けたら何かわかるかもしれないし。」


再び歩き出した私達は、目の前に現れた光景を見て愕然とした。

目の前には先ほど私が怯えていたあのオレンジのコンテナがあった。

しかも、そこには私達と年齢の変わらない子供達が大人の手によって運び込まれていた。

その光景を見て、私とライは思わず別のコンテナの影に隠れた。


「なぁ、あの子達おかしくない?なんで誰も抵抗してないんだよ。」

「多分、親に口減らしとして売られたからだよ。私の時もそうだったし。逃げ出したところで行く場所なんてないの。」

「じゃあ、助けられないってこと?」

「馬鹿なこと言わないで。見つかったら私達まで捕まって売られてしまうわ。」


人身売買はこの島リウォールでも違法となっている。

だが、地下社会では頻繁に行われているらしく人や物の行き来が盛んなこのスケープタウンでは人身売買は日常となっていた。



息を殺して、逃げるタイミングを伺っていたら背後から人影が現れた。

現れた男の容貌は不潔でふてぶてしく一目見て人身売買の業者の人間だとわかった。

「おい、お前ら何してる。」


私とライは必死で逃げ出した。

どこに行けばいいかなんて分からなかったけれど、ただひたすら走った。

今すぐこの場所から逃げ出すために、私達は必死でコンテナの中を走り抜けた。



だが、私達みたいな子供が大人の足に敵うはずなかった。

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