17 強がりの嘘
季節は巡って、私がこの島で過ごす三度目の春がやって来ようとしていた。
この時も私達は5人でいることが多かった。この頃私達は街の子供達のバスケットボール大会に5人で出て、本気で優勝賞品のマッシュのお菓子券1年分を狙いに行っていた。
そんなある日のこと、ロイドが練習の息抜きにスケープタウンに行こうと言い出した。
ライもアスカもエリックも面白がって賛成したけれど、私は反対した。
スケープタウンといえば島でも治安の悪い所で、私がジェイさんに買われた場所だ。
街を取り締まる警察もあまりこの街には手を出さない。
昔の思い出がまだ心の隅にある私は、彼らの誘いに気軽に乗ることはできなかった。
そんな顔をしていたらいつも優しいエリックが心配して声をかけてくれた。
「エイ、やっぱり心配?」
「うーん。心配っていうよりあまりあの場所には近づきたくないんだよね。」
「まぁ、エイからしてみればそうかもしれないね。でも、この島にずっといるならいつかは行くことにはなるんじゃない?スケープタウンには大きなカジノとかもあるし、僕らが大きくなる頃には行くようになるだろうし。」
「そうだけどさ…、別に今行かなくても…」
それでも、首を縦に振らない私を見てロイドはイライラしたみたいで
「じゃあ、いいよ。俺ら4人で行ってくるからエイはここにいなよ。」
彼は私を突き放したようにそう言った。
それに怒ったアスカとエリックが
「ロイド、その言い方はないんじゃない?エイだって本当は私達と一緒に行きたいのよ。」
「そうだよ、ロイド。エイ一人だけ置いていったらかわいそうだろ?」
二人にかばわれ、いたたまれなくなった私はこれ以上この状況を長引かせなくなかった。
「わかった。アスカ、エリックありがとう。私行くよ。スケープタウン。」
震える声を悟られないように精一杯の笑顔で皆に言った。
ジェイさんに拾われて二度とこの場所には来ないと決めた。もう一度行くのが怖くないと言えば嘘になる。でも、それ以上にエリックに言われた通りいつかは越えなきゃいけない壁だっていうのは分かっていた。だから私は必死で自分に嘘をついた。
どうやら、私の下手くそな嘘には気づかれなかったようでロイドは満足気に頷いた。
アスカもエリックも私の顔見て安心したようで、楽しそうにロイドとはしゃいでいた。そんな様子を見て私の中で少しだけ不安が生まれた。
「エイ、本当に大丈夫?」
ライだった。彼はこの時私の震えに気づいていたのだろうか。
「大丈夫だよ、ライも行ってみたいんでしょ?スケープタウン。」
「どんな場所なのかは気になるけど、エイが行かないなら僕も行くのやめようと思ってたんだよ。」
「大丈夫。ジェイさんだってよく出入りしてるみたいだし、私もいつか行ってみたかったんだよ。」
不安を精一杯の笑顔で隠した。この時、ライに私の嘘は見抜かれていたのかもしれない。
何故この時自分に正直でいられなかったのだろうか。




