14 不器用なやさしさ
季節は巡って、再びこの島で過ごす夏がやってきた。
私たちはというと相変わらず5人で馬鹿なことを毎日やっていた。
この島にやってきて、2年が経とうとしていた。
学年が上がるごとに勉強は難しくなるし、やらなきゃいけない家の手伝いは増えるし大変だけど私は毎日充実した生活を送ることができていた。
それは私を拾ってくれたジェイさんのおかげだし、私を本当の娘のように可愛がってくれるマリアさんやセン、街の人々、そして私の大好きな友人たちのおかげだった。
朝起きて学校に行って放課後は皆で集まってどこかへ遊びに行く。それが私の幸せだった。
そんな夏の日にジェイさんの工房のドアが開いた。
「こんにちはー、エイいる?」
ライがいつものように私を迎えにきたと思ったけど、違った。
入口にはロイドが立っていた。
「ロイドがうちに来るなんて、珍しいね。何かあったの?」
「なんだよ、来ちゃ悪いのかよ。俺だってたまには遊びにくるよ。この工房かっこいいし。」
「そうなんだ。ライはよく遊びに来るんだけど、ロイドが来たのは初めてだったからびっくりしちゃった。」
「え、ライってよくここに来るのか?」
「そうだよ、家近いし私もライの家にはよく行くよ。」
私とライがよく互いの家を行き来していることを知ったロイドはあからさまに不機嫌そうになった。
「へー、俺の家には飯食いにしか来ねえのにライの家には行くんだな。」
「だから、家が近いからだって。ロイドの家ここから遠いじゃん。」
「いや、遠いつったてたかが歩いて10分くらいの距離だろ?来れるじゃねーか。」
「そりゃそうだけど…。ていうかなんでそんなに怒ってるの?」
「怒ってねーし。お前がライのとこばっかり行くから…」
「そりゃそうだよ、ロイドだって何かあったときは一番近いエリックの家よく行くでしょ?それと同じだよ。」
「そうなのか?じゃあ、特別な理由はないんだな?」
「まぁ、特には…」
センに会いたいから行くなんて言ったらロイドに冷やかされかねないと思った私は咄嗟に押し黙った。だけど、そんな様子に気づくことなくロイドは続けた。
「じゃあ、明日からオレの家来いよ。母さんにもサンドウィッチ作っとくよう頼んどくから。」
「本当に?やった。じゃあ、明日ライと一緒に行くね。」
「いや、なんでそこにライが出てくるんだよ。」
「だってライも誘わなきゃかわいそうじゃん。ライもおばさんのサンドウィッチ好きだし。」
「あんまり作りすぎると母さん大変だろ?だから一番食い意地張ってるお前を誘ってるんだけど。」
「食い意地って失礼ね。わかった、ありがとう。じゃあ、明日学校が終わったら行くね。」
「おう、絶対一人で来いよな。」
そう言い残してロイドは去っていった。
ロイドは昔サンドウィッチの件でケンカした時から、やたらと私に突っかかってくるようになった。
初めはそれが疎ましかったけど、なんだかんだで私が教科書を忘れたりして困ったときは助けてくれる。
今思うと、色々な過去を持つ私を元気づけようとしてくれてたんだなっていう彼なりの不器用な彼なりの優しさだったことが分かる。
ロイドを見送ったあと本当はライの家に本を返しに行くはずだったんだけど、明日学校で返すことにした。




