つばさ
平仮名ばっかりで読みづれぇ。
ある日ぼくのせなかにつばさがはえた
ぼくはびっくりしてへやにあるかがみを
えい、えい、と首がもぎれるくらいふりむき ふりむき
ながめてみた つばさだ
ぼくはおとうさんとおかあさんにほうこくしなくてはと
おもうがふわふわういていてかいだんをおりるのに
あたまとあしの親ゆび 一指しゆび 中ゆび 薬ゆび 小ゆび
をぎゃくてんさせなければならなかった
「ねぇ つばさがはえたよ」
「あらよかったわね」
「すごいじゃないか」
よし がっこうまでとんでいこう
とちゅう好奇の視線を感じた
学校で
友達達は変な物を見るような目つきで
お前何おもちゃつけてるんだよといいながら
つばさを引っ張った
いたかった かなしかった つばさなんかはえなければよかったのに
するときのうまでつばさのはえていなかった学級委員長の女の子が
じょうはんしんはだかでぼくよりりっぱなくろいはねをはやしていた
「やめなさいよ」そういってぼくをかばってくれた
ぼくはかのじょをだきしめたくおもった
帰りふたりでぼくの家までとんでいっておたがいのつばさを
なであっこした そしてけっこんのやくそくをした
ねぇてんしのくちどめって知ってる?
前世のきおくを風韻するはなのしたのみぞ?
わたしそれがないの おしゃべりしちゃおうかな
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数年後ふたりはきょうかいでけっこんをした
こどもには羽がはえていなかった
ぼくたちは話した この子が大人になるときには
もっとたくさんのひとたちにつばさがはえるだろう
きっと、そうだったらいいね ふたりはキスをした