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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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HCM

作者: うっしー
掲載日:2026/06/01

HCM


プロローグ


2XXX年、世界各地で摂氏50度を記録し、人類は住む場所を失いつつあった。猛烈な暑さで食物は育たず、熱中症患者も続出した。焼け付くような大地がゆらめく中、ある一つの〝機械〟を探検家が発見する。その時にはまだ誰一人、この〝機械〟が世界を変えるとは思ってもみなかった。


第一話 発見


【登場人物紹介】


ディアボルス:ネオン帝国の探検家で、ライトの友人。


ライト:ネオン帝国の考古学者で、ゼインと同級生。


ストライヴ氏:ネオン帝国の第98代副大統領で、ルーマン王国出身。


「こ、これは...」 ディアボルスは声を上げた。その目に映っていたのは、巨大な壁。大きく、HCM(History Change Machine)というアルファベットが刻まれている。ライトが言った。 「このあたりは、はるか昔に文明が栄えていたはずだ。持ち帰って調べてみよう。」


〜研究室〜 「あった! やはりこの文明は、HCMという巨大な軍艦を作っていた!」 ライトは文献を見ながら大きな声で叫んだ。ディアボルスが尋ねる。 「でも、俺たちが見たのは機械だぞ?」 「あれは、HCMを守っているメタル・モールムという壁だ。どうやら、この文献に載っている場所に鍵があるようだ。」 ディアボルスが文献に載っている軍艦の図を見て言う。 「これって...『ライト号』に似てないか?」 「ライト号」、それはディアボルスとライトが子供の頃に作った船の模型だった。


〜20年前〜 「見ろよ、ディアボルス。この船の模型、ライト号って名前らしいぞ!」 「ライトと同じ船の名前があるなんて、すごいな。でもこの船、帆がないぞ?」 「それが、組み立ててる途中になくしたんだよな。どうしようかな?」


〜数カ月後〜 「これより、地球温暖化対策会議を始めます。」 会場に議長の声が響き渡る。ここはルーマン王国。地球温暖化を解決するために各国のリーダーが集まったのだ。そこには、ディアボルスとライトの姿もあった。 「続いては、探検家のディアボルス氏と考古学者のライト氏による講演です。」 ディアボルスとライトは深々と頭を下げ、ディアボルスが話し始める。 「我々は、ネオン湾でHCMという装置を発見しました。実はネオン湾の周辺には昔、ネオン文明という文明があり、文献を調べると、HCMという『歴史を変える装置』を作ったという記述を見つけました。さらにそこには、一度しか使うことができないという記述もありました。地球温暖化は元々、二酸化炭素を出す化石燃料を原料とする産業革命が起こったことから始まったと考えられています。そのため、HCMを使い、この産業革命を、今注目されている二酸化炭素を出さない再生可能エネルギーを原料とする産業革命に変えられれば、地球温暖化を抑えることができると思います。」


ディアボルスは自信のある顔で話し終えた。しかし、返ってきたのは拍手ではなく批判だった。 「そんなものはでたらめだろ!」「そもそも、もう使われているかもしれないだろ!」 ディアボルスとライトは困り果てた顔をしていた。そこへ、ネオン帝国の副大統領であるストライヴ氏が歩いてきた。 「わが国にそのような機械があったのは驚きだ。ぜひとも、もっと詳しく知りたい。さらに、ネオン帝国はこのHCMを使った地球温暖化対策に全面的に協力することを決めた!」 その瞬間、会場は静まり返った。結局、この計画に協力してくれたのはネオン帝国だけであり、計画は極秘に進められたのである。


第二話 作戦実行


【登場人物紹介】


アニマ:ネオン海軍を率いる大佐で、ストライヴ氏の命令で作戦に参加した。


会議から一ヶ月。ついに作戦は実行された。ネオン湾周辺には、多くの軍艦が並んでいた。 〜軍艦の中〜 「ついにこのときがきた。みんな、ここまでよくついてきてくれた。」 ディアボルスがささやく。アニマが言う。 「それにしても、でかい壁だな。これをどうやって突破するんだ?」 軍船の目の前には、HCMを囲む巨大なメタル・モールム(金属の壁)がそびえ立っていた。 「それなら心配ご無用。ライトが古代の文献からメタル・モールムを開ける鍵の場所を見つけ、今ここにある!」 ライトが顔を少ししかめた。ディアボルスは続ける。 「今までみんなありがとう。僕について来てくれて。」 みんなが顔を合わせて笑う中、ライトはポケットから拳銃を取り出した。


パンッ


と銃声が鳴り響いた。同時にディアボルスは倒れ込み、そして少し笑いながら息絶えた。ライトは泣き崩れたのだった。



第三話 シミウス


【登場人物紹介】


シミウス:ディアボルスの子どもで、中学1年生。


ネオン湾には、息が詰まるような空気が漂っていた。部屋に入ってきたのは、シミウスただ一人だった。 「父は、どこですか。」 静かな声でシミウスがたずねる。アニマは少しだけ目を伏せ、はっきりと言った。 「ディアボルスは……撃たれた。」 シミウスの心臓が強く打つ。 「敵に、ですか。」 「違う。撃ったのは、ライトだ。」 その名前を聞いた瞬間、時間が止まったように感じた。 「そんなはずない。父とライトは、親友だったんだ。」 「私も信じたくない。だが、事実だ。」 シミウスの胸に、悲しみと怒りが一気にあふれ出す。なぜライトが。なぜ父を。 答えはまだ闇の中だ。シミウスはゆっくり顔を上げた。 「俺が必ず父さんの夢を叶えてみせる。」 その瞳には、かすかな涙と、燃えるような決意が宿っていた。


第四話 マンミーナ


【登場人物紹介】


マンミーナ:シミウスの母で、ディアボルスとは5年前に出会っていた。


「母さん、父さんが...。」 シミウスはつぶやいた。ここは病院。ベッドには、弱った女性がいた。 「大丈夫だよ。お前は、必ず私が守る...。」 その声は、だんだんと小さくなっていった。ブザーの音が鳴り響いた。 「大丈夫ですか、マンミーナさん!」 看護師が駆けつける。医者が状態を確認し、マンミーナはすぐに手術室に運ばれた。 「母さん...。」 シミウスの小さな手を、アニマがぐっと握っていた。


〜しばらくして〜 「お母さんは...マンミーナさんは、精神的に追い詰められて、亡くなりました。おそらく、もともとの持病が、ディアボルスさんが亡くなったことを知って悪化したのだと思います。本当にすみません。」 医者は深々と頭を下げた。そして、シミウスの方を見て続けた。 「お父さんもお母さんも亡くなってつらいと思う。でもね、お母さんは最後に言っていた。『私は、人の笑顔が大好きだから、お願いだから笑顔になってくれ』って。多分、シミウスくんに言っていたんだと思う。」 シミウスは頭の中が真っ白になった。お父さんもお母さんもいなくなった今、自分はどうやって生きればいいのか。シミウスは、母の願いなど叶えられるはずがないと思っていた。


第五話 ライト


年月が過ぎた。シミウスは大人になった。 けれど、心の中の悲しみは消えていなかった。 「違う。撃ったのは、ライトだ。」 その言葉が、今も胸に刺さっている。 父さんは世界を救おうとしていた。そのためには、メタル・モールムの鍵が必要だった。そして鍵を持っているのはライト。 憎い。それでも会わなければならない。父さんの夢を引き継ぐためには...。シミウスは重い一歩を踏み出した。


シミウスはアニマとともに、ライトの元へ向かった。暗い部屋の奥にライトが座っていた。周りにはたくさんの船の模型があった。 「君が、シミウス君か。」 その声を聞いた瞬間、胸が強く痛む。 「どうして撃ったんだ。」 声が震える。 「俺はあんたを許さない。でも、父さんの願いを叶えたい。だから、鍵をくれ。」 静かな部屋に、緊張が広がる。ライトは何も言わず、ゆっくりと指紋認証システムに手を伸ばした。


第六話 真実


ライトの重々しい声が、部屋全体に響く。 「私は、ディアボルスという大切な友を失った...。しかも、自分の手で...。」 ライトは震えるような声で言った。シミウスは腹が立った。 「あんたが殺したんだろ! 母さんも、そのせいで死んだんだ。」 ライトは語り始めた。 「君には悪いことをした。しょうがなかったのだ。これは言い訳じゃない。真実だ。」 ライトはじっとシミウスを見た。シミウスはライトから顔を背けた。その目には、一つの模型が映った。 「この模型は、なぜ帆がないんだ?」 とっさの質問に、ライトは少し驚いたような仕草をしてから答えた。 「その船は、私が一番大切にしている模型だ。だが、組み立てている途中に帆の部品をなくしてしまった。それは、ディアボルスと一緒に大切にしていたものだったのに...。」


ライトは何か思い出すようにして、涙を浮かべながら続けた。 「君のお母さんのマンミーナは、不治の病にかかっていた。いつ死んでしまうか分からない、ディアボルスはいつも怯えていた。ある時、私はマンミーナのお見舞いに行った。」


〜10年前〜 「久しぶりだな、マンミーナ。体調はどうだ?」 マンミーナは少し悲しそうな顔をした。 「もうすぐよね…HCM。実は、あの人が私のためにHCMを使おうとしているの。あの人、私に『今から君を救ってくる。』って言ったの。」 なんだと…ディアボルスがそんなことをするはずが。私はマンミーナに本当かどうか確かめようとした。しかし、彼女は体調を崩し、確かめられなかった。そんな彼女の姿を見て、私は急に現実のことだと感じてしまった。そして、ディアボルスの家に向かった。 「そんなわけないだろ。僕の頼みの綱は君だけだ。僕を信じてくれ。」 「じゃあ、今までここにあった手術の資料はどこだ。HCMを使えば手術は必要ない。だから資料を捨てたんじゃないのか?」 ディアボルスは少し上を見てから話した。 「それはHCMの計画でそれどころじゃなくなってね。捨ててしまったよ。」


それから私は少しディアボルスのことを疑っていたが、ついにその日が来てしまった。そんな中、私の部屋にストライヴ副大統領が入ってきた。 「まさかと思うが、ディアボルスくんがHCMを自分の妻のために使おうとしているというのは本当か?」 私は驚いた。なぜそのことを知っているのか尋ねると、ストライヴ氏がディアボルスの家に行った時、マンミーナへの手紙を見つけ、そこにそのようなことが書いてあったそうなのだ。


私は何も言わず部屋を出た。もしものために私は銃を持っていた。ディアボルスの顔を見ながら、銃の入っているポケットに手を入れる。自分が見たわけではない。でももし本当なら……世界を救うことができない。どうする……。 ディアボルスは私に話しかけた。メタル・モールムの鍵のことだ。この鍵を使ってしまえば後戻りはできない。撃つなら今しかない。ディアボルスがささやく。 「今までみんなありがとう。僕についてきてくれて。」 もし間違っていたら、私は大切な友を失う。でも……ああ……。


そして、船内に銃声は響き渡った。


シミウスは驚愕した。そしてまた、あの模型が目に入る。ライトは本当に父のことを大切に思っている。この模型は父さんの形見だ。彼は世界と、親友である父さんを天秤にかけた時、世界を選んだ。シミウスは、今まで憎んでいた自分が少し馬鹿らしく思えてきた。ライト号を見て父の顔を思い出す。頭の中が真っ白になっていった。父の声がする。なんて言っているか分からないけれど、父が笑顔を浮かべていることは分かった。 シミウスは涙をこらえながら、父にささやく。 「そんなことがあったんだね、父さん。」 その瞬間、シミウスの目には何か光るものがあった。いつの間にか、シミウスの口からは言葉があふれていた。 「ライトさん……。僕と一緒に世界を救いませんか?」


第七話 葛藤


「シミウス、お前は本気か?」 ライトはびっくりした顔でシミウスを見た。アニマも驚く。 「シミウス、いくらなんでもそれは...。どんな理由があろうとも、君の父さんを殺したやつだぞ!」 「わかっている、アニマ。たしかに君の言う通り、鍵だけもらって僕たちだけでHCMに行ってもいい。でもな、父さんはきっと、ライトさんが地球を救うことを望んでいるはずだ。」 部屋が静まり返る。ライトが言った。 「残念だが私は、HCMが大嫌いだ。あんなものがあったから私は……ディアボルスを殺さなければならなかった。」 「それは違う! あれがなければ、地球は終わる。ライトさん、あんたのおかげで今、僕たちはHCMを使うことができるんだよ。」 ライトはシミウスの方を向いた。そして、何か光るものをまぶたに浮かべながらつぶやいた。 「君は……世界を救うよな?」 「ああ、過去の過ちは、二度と繰り返さない!」 暗い地部屋の中で、男たちの決意は固まった。


第八話 作戦決行


【登場人物紹介】


アルテア:ネオン帝国大統領・プレシデンス氏の秘書。


プレシデンス氏:ネオン帝国第98代大統領。


HCMの周りには、暗雲が立ち込めていた。ネオン帝国によって立ち入り禁止になっている因縁の地、ネオン湾。シミウス、アニマ、ライトの三人はわずかな手勢を連れて船に乗り込んだ。船は2隻用意され、もう1隻にはストライヴ氏とアルテアが乗っていた。 鍵によって閉ざされていたメタル・モールムが開く。そして、巨大な軍艦が現れた。 「これは、なんだ?」 シミウスが首を傾げる。ライトが答える。 「これがHCMだ。HCMを作った文明は、造船技術に優れていた。文献には、HCMはその技術を生かした最高傑作だと書かれていた。」


ライトを先頭にシミウス、アニマ、ストライヴ氏、アルテアと続く。そしてついにHCMの中に入った。 「すごい、これがHCMか。」 シミウスが呆気にとられていると、突然ストライヴ氏が叫んだ。 「アニマ、取り押さえろ!」 その途端、シミウスとライトはネオン海軍に取り押さえられた。 「どういうことだ、アニマ!」 ライトがたずねる。アニマが答える。 「すまない。大統領の次に副大統領の権限は高い。命令には従わなければならない。」 「ストライヴ、何をするつもりだ?」 シミウスがストライヴを睨みつけた。 「HCMの存在を知った時から利用できると思ってね。これを使えば、私が選挙で負けたという事実がなくなり、私は大統領になれるわけだ。さて、ライトくんがまさかディアボルスくんを撃つとは思わなかったので、一度は利用できなかった。ライトくんが逮捕されてからアニマに鍵を盗むように頼んだが、指紋認証システムで取れなかった。なので、ライトくんが出てくるまで待った。そして鍵を盗もうと思ったが、シミウス君たちが先に鍵を取ったので、それを利用したということだよ。」


ストライヴはHCMを操作する画面に近づく。 「驚いたな。こんなものを古代の文明が作れるとは。まあ長話をしても無駄だ。さっさとしようか。」 「やめろ! あんたは地球のことなんかどうでもいいのか!」 シミウスが叫ぶ。ストライヴは無視して画面に触れようとした。その時だ。アルテアが持っていたスマホから声が聞こえた。 「アニマ、今すぐ彼らを解放しろ! そしてストライヴを捕らえろ!」 「その声は、プレシデンス大統領!? 皆のもの、大統領の命令に従え!」


ストライヴは取り押さえられた。 「ふざけるな、アルテア! この策が成功したらお前を大統領の秘書にしてやる。だから頼む、助けてくれ!」 ストライヴがアルテアに向かって叫ぶ。アルテアは言い返した。 「残念ながら大統領の命令は絶対です。それに混乱しているのかもしれませんが、すでに私は大統領の秘書ですよ。」 こうしてストライヴは捕らえられ、シミウスたちはHCMを使って世界を救ったのである。


第九話 アルテア


月日は流れた。かつての熱波は嘘のように地球は涼しくなり、地球温暖化の脅威は過去のものになっていた。しかし、この平穏な日々をもたらした英雄たちの名が世間に知られることはない。この計画は、極秘に進められたのである。


〜大統領執務室〜 「なぜ、本当のことを社会に伝えないのですか?」 アルテアは質問した。プレシデンス氏が答える。 「彼らはきっと、名誉なんか望んじゃいない。通話を聞いている中で思った。大統領という名誉を手にしようと世界を捨てようとする奴とは違う。そんな感じがしたんだ。ところでアルテア、お前にライトへの伝言を頼みたい。」


第十話 未来へ


ディアボルスの墓には、ライトがいた。 「ごめんな……ディアボルス。私は聞き間違えたのかもしれない。マンミーナに対して君は『今から君を救ってくる。』と言ったそうだな。でもそれは、持病を治すという意味ではなく、マンミーナが大好きな『みんなの笑顔』を取り戻すという意味だったのかもしれない。本当にすまない。」 ライトは目から涙があふれそうになった。 「仮にそうだとしたら、ここで泣いたらだめですよ。母さんの大好きなみんなの笑顔がなくなってしまうでしょう。」 いつの間にか、そこにはシミウスがいた。そして、 「帆、ありましたよ。ずっと父さんの部屋を探してたら。」 シミウスは、ずっとつかないままだった帆を付けた。アルテアはしばらく二人の様子を見ていた。風がディアボルスの墓の前を、静かに通り抜ける。 「……大統領から、伝言があります。」 ライトはゆっくりとアルテアの方を見た。 「『君の名前は、ディアボルスの右腕という意味のライト(Right)じゃない。世界を救う一筋の光という意味のライト(Light)だ』とおっしゃっていました。」


シミウスは空を見上げた。雲の切れ目から、一筋の光が差し込んでいる。 「父さんもきっと同じこと、言ってますよ。」 シミウスとアルテアは、完成したライト号を見た。 「……だから前を向いてください。」 ライトはしばらく何も言わなかった。やがて小さく笑った。 「……ああ。」 また風が吹く。さっきより少し強い風だ。そしてその風は、ライト号の帆を揺らした。まるで、今にも未来へ飛び立つかのように。


エピローグ


HCM。それは世界を救った装置だった。そんな事実は歴史に刻まれる。ただ、歴史に刻まれなくとも、もっと大切なことがある。それは、本当に世界を救ったのは「一人一人の選択」だったということだ。



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急に撃たれてて草
正直言うと面白くはない。
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