料理チート~頑張ったら負け。不味いと言われたら勝ち確定と転移者が言うのだけども、とりあえずやってみたら義父と義姉を見返した件
「ま、不味い!作り直せ。何だ。女店主か、全く・・・ワシを誰と思っている。男爵であるぞ!」
「は、はい・・」
やりきった。不味いと言われた・・・・
「グスン、グスン」
目が曇る。嬉し涙だ。
私は料理を下げ。厨房に戻る。
作り直しはしない。そのまま盛り付けを綺麗にして持って行く。
「大変失礼しました。作り直しましたわ」
「うむ。これだ。これで良い。まあまあ食えるではないか」
料理は見た目も重要だ。このレストランでワザと普通に盛り付けをしている。
私は師匠の元に報告に行く。
師匠は異世界から来られた転移者だ。淡い茶髪にブラウンの瞳、とても綺麗だけど仕草が可愛い方だ。
「メルル先生!やり遂げました。不味いと言われました」
「おめでとうのん♩これで普通になれたのん♩」
これで私は普通に・・・【って、違うじゃないですか?何だか説明出来ませんがものすごく違うと思います!】
いや、異世界人だから何か特別な知識があると盲信していたが、これで本当に良かったのだろうか?
改めて過去を回想した・・・・
☆☆☆半年前
「シェリー、追放する」
私はこの街で一番のレストランのオーナーの娘だった。
昼は定食、夜はディナー、堅実な経営だったわ。
だけど、お母様が亡くなってから状況は一変した。
「お義父様、何故・・・」
「決まっている。お前の母は少しばかりレストラン経営が上手かったから結婚してやったのだ。これからはミリーが経営を引き受ける」
「シェリー・・ごめんなさい。私、貴族学園で最新の経営を学んだのよ。貴女のお母様の家族のような接客は古いのよ」
「そ・・・そんな」
お母様は後妻だったわ。あまりに義父の杜撰なレストラン経営をお母様が建て直したわ。
なのに・・・
「下町の、ほら、潰れかけの支店はお前にやる」
「はい・・・」
私はお母様が整理しようとした支店のレストランのオーナー兼シェフになったわ。
ウエイトレスは通いで来てもらうことにした。
しばらく頑張っていたが、お客様が少なくなった。
義姉のミリーがレストランの商会長になり。婚約者が資金を出したと噂に聞いたわ。
大攻勢をかけ。評判のようだ。
視察に行ったら。
「行列ができている・・・」
行列に並んでいる者達は私のお母様のレストランの噂を口にする。
「今までのレストランは煮る焼くだけだが、ここは一新したようだな」
「ああ、調理方法が様々だ」
「珍しい素材ばかりだ。しかも安い」
私はいたたまれなくなり列から離れた。
もう、勝負は決したわ。
レストランを廃業するしかないのかしら・・
閑散としたレストランに戻る・・・と。
「お客様は1人ね・・・」
「ええ、そうです」
「のん♩のん♩」
お客様は何やら鼻唄をさえずり上機嫌だ。それがメルル様だった。
「ママンのフランス料理に似ているのん♩」
「お客様、ふらんすとは・・・」
興味を持った。話しかける。
「芽留留は異世界から来たのん♩」
「何ですって?」
話を聞いたら、異世界人のようだ。数々の珍しい知識を持ち込むと評判だわ。
「どうか、ご教示お願いします」
「のん。働くのん♩」
メルル様に異世界の料理を習おうとしたが・・・
「昼はポトフとパンのん♩夜は魚か肉を一品つけるのん♩」
「分かりました」
「盛り付けは綺麗にする必要はないのん」
「はい、なおざりですね」
客はボチボチ戻って来た。
評価はまあまあだ。
しかし・・・
「一度、落ちた評判なのに・・・ここまで持ち直したわ。すごいのかしら・・・」
「普通になったのん♩これで不味いと言われたら上出来なのん♩」
「はい、頑張ります」
「頑張ったら負けなのん♩」
そして、遂に今日、男爵に不味いと言われた・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「はあ、はあ、メルル様、説明をして下さい。どうして不味いと言われたら勝ちなのですか?」
「芽留留についてくるのん♩」
「はい・・・」
そして、義姉のレストランに行く・・・・
「あれ・・・レストラン・・行列がないわ・・・」
「のん♩飽きられたのん♩」
人の欲望は際限ないのん♩
珍しい物、新しい物、安く速く提供を求めるのん♩芽留留のいた世界でも同じだのん♩
タピオカが流行ったら次はサゴ、香港、韓国のスイーツなんてマスコミが煽っているのん♩
「競争に勝てなければ競争から降りれば良いのん♩」
「でも、不味いと言われたら・・・」
「お客様は誰に対して不味いといったのん♩?」
「それは・・・私?いえ、お客様は私とは言わなかったわね」
「そうなのん♩没個性なのん。個性を捨てると生き残れるのん♩」
「それは・・・分かりませんわ」
「チェーン店なのん♩チェーン店の料理にシェフを期待するのは間違いだのん♩」
それからお義姉様のレストランは・・・
「最近の料理、イマイチだな」
「ああ、値段も高くなった」
「新作がでないぞ」
貴族階級相手なのか。それとも庶民相手の値段なのかあいまいだった。
高級路線に走ったり。庶民向けにしたりしたが迷走している。
その間、私は順調に支店数を増やして・・・・遂に。
☆☆☆
「シェリー、追放は間違いだった。レストラン経営任せてもいいぞ」
「そうよ。私の下で働かせてあげる」
義父と義姉のレストランは破産した。
「クランツ様とミリー様、経営権は買い取りましたわ。二人は解雇ですわ」
「そ、そんな。義父と呼ばないか?」
「あり得ないわ!」
「そちらから絶縁したのではなくて、ダビン、二人を追い出して」
「はい、シェリー様」
二人の住んでいた屋敷は・・・どうしようかしら。
とりあえず。メルル様を迎えてみた。
「今度はカレーライスを作るのん♩」
「それは、チート料理ですか?」
「ただのカレーなのん♩評価は食べる人のものなのん♩芽留留が食べたいだけなのん♩」
いろいろな異世界料理を作られている。
「芽留留は森なのん♩そこから材料を見つけて加工をするのはシェリーの自由なのん♩」
「はい」
これからは私の考えで経営をしろと言うのね。
メルル様はまだ隣にいる。
最後までお読み頂き有難うございました。




