エリオvsシドフ
このエピソードは男の子同士でキスしたりと、センスティブな内容なので、無理な方は読まずにまわれー右です_:(´ཀ`」 ∠):
エリオがお腹が痛いと言い出した。
次の時間は面倒な先生だったから、医務室に付き添うことでサボりたいと思った。
でも三人で行くのは目立つ……と考えていると、エリオが震える声で訴えた。
「ステファン、一緒に来てくれないかな?」
もちろん面白くないのは外されたシドフだった。
「ずるい奴だな〜。パンジー先生の授業さぼるなんて〜」
シドフの言い方はおどけていたけど、もちろん悪意が込められていた。まるでおとぎ話に出てくる恋敵だな。
まぁ、おとぎ話なんか読まないけど。
「本当に前の時間から痛かったんだ」
懇願するエリオ。
「僕もぉ〜本当に前の時間から痛かったの〜」
エリオの台詞をおうむ返しをし、からかうシドフ。完全に仮病扱い。
エリオは冷めた顔で黙っている。怒っているのが伝わる。
「よし、三人で行こうぜ」俺は二人の肩を叩いた。
あぁ…………違う台詞を言えばよかった。怒らせてもいいから、シドフは置いていけばよかったんだ。それが彼のためだったのに。
俺は学級代表に許可をもらう……フリをした。
いつもはちゃんと伝えるけど、学級代表のジャンミンが忙しそうだったから。
(この些細なことが、後の出来事に影響を与えたかもしれなかった)
北の端にある医務室は薄暗くて、ひんやりとした消毒液のような空気がいつも漂っている。医務室の空気は嫌いじゃない。
「ありがとうステファン」
「いいんだよ。階段に気をつけて」
エリオの腰に腕を回す。
エリオはよろよろと階段を下り、反対にシドフは軽いステップで下りている。
医務室に着くと、使用名簿にエリオの名前を書く。医務室の先生は出張でいなかったからシドフははしゃいでいた。
ベッドに横になったエリオの顔はとても青白かった。仮病の可能性もあると思っていたが手の指も冷たいし、本当に具合は悪そうだった。
「ランチの食べ過ぎじゃね?」
シドフは窓の外を見て言った。
俺はエリオの頭を何度か愛おしそうにゆっくりなでた。それはエリオのためと言うよりも、シドフに見せつけるためだった。
見てる見てる。シドフはイライラしていた。エリオに毛布をかけ、俺は自分もドサッと横たわった。
「え?!」
「腕枕してやる」
エリオの頭の下に、俺の腕をもぐりこませた。エリオが真っ赤になって慌てふためいた。かわいいな。
エリオやシドフをからかうのは本当に面白い。本当のことを言うと、俺はこれをするためにシドフも一緒に連れてきたんだ。
最近調子に乗ってるシドフを懲らしめようと思って。俺はエリオを見つめた。
シドフはベッドに横になった俺をずっと睨んでいた。そのせいでエリオはめちゃくちゃ怯えていた。
「もう大丈夫! 教室に二人とも戻って。シドフ、ステファンありがとう」
エリオは目で俺に訴えてきた。でもまだ教室に戻るには早い。これからじゃないか、面白いことが起こるのは。
「まだいいだろ。気持ちいいよ。シドフ、お前も横になれ」
俺はシドフを引っ張った。細いシドフ簡単に転がった。こいつの気を鎮めないといけない。
俺はシドフの方に向き直って、頬を優しく触った。それはエリオからは見えていない。エリオはシドフを怖がって、反対側を凝視していたから。
だから俺は細いシドフを、自分の方に引き寄せ、そっと抱きしめてみた。シドフの体が震えた。どこでエリオが気づくかな?
バレそうでバレない……。エリオは反対側の柵に捕まって、身体をぴったりとくっつけているから何も知らない。俺とシドフは更に興奮した。
「髪型が崩れるだろ」
そう言ってシドフは口角をあげ、俺の腰に手を回す。俺もシドフの肩や背中をつぅっと撫でながら見つめる。
シドフは元から細い目をさらに細め、なんとも言えない気だるそうな表情をした。その顔は……なんだかとてもイラついた。
俺はシドフの性格も顔も好きじゃない。だけど彼の細くて白い体は女の子みたいで好きだった。シャツの上から薄い胸にそっと触れ、指の腹で胸の中央を押した。
「あっ」
シドフが小さく声を出す。エリオが転入してくる前は、シドフの体をよく触っていたな。
エリオに聞こえそうだったので、俺は唇でシドフの唇をふさいだ。ビクッとしたシドフだが、すぐに舌が入り込んできた。俺の舌を絡みとる。
そこで俺はシドフを急に拒絶し、舌を押し返して口を閉じた。シドフはハッとした。調子に乗ってしまったと思ったのだろう。
俺は眠くなったと適当なことを言って、シドフを突き離す。いちゃついてるところをエリオが見たら、ショックだろうし。
そして狸寝入りをしたつもりが、俺はなんと本当に寝入ってしまった。ほんの少しの間……。
「ステファン? 起きないの? ……まじか」
ここまでは聞こえていた。そのあと意識が遠のいた。ボソボソと話している二人の声……。
寝ながら脳のどこかで音を拾った。意味は全くわからないが、二人の囁き声は逆に心地よく、眠気を誘っていた気もする。
次に聞こえた声は大きめで、俺は意識がクリアになった。
「ステファンはエリオのこと嫌いって言ってるぜ」
なんだって!
シドフのやつ。なんてことを言うんだ!
あとで問い詰めないといけない。
それは……絶対言うなと言ったじゃないか!
最後の台詞に驚きましたか?
同じ内容でエリオ語りもあります。そちらではわからないステファンの心理です。




