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磨いた成果を試すとき  作者: うみたたん
エリオの章

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ジャンミンの証言

学級代表のジャンミンの証言です。薔薇のステンドグラスが割れたとき、近くの食堂にいたようです。

《ジャンミンの証言》



はい、僕は2年B組のジャンミンです。座っていいですか?



はい。あのときは……僕は学級代表なので、薔薇のステンドグラスの散らばった玄関ホールから、みんなをすぐ避難させました。


一階の北の食堂で、ランチを食べていた生徒が多くて。僕もそうでしたけど、すぐ玄関ホールに集まってしまって。ものすごい音がしたので。


「なんで割れたの?」

「うわー! ヤバい。壮絶」

「危ないよ! 近づかないで」


なんて具合で。みんなとても驚いていたけど、不思議と薔薇のステンドグラスが割れたことに悲しんでいるような生徒は見当たらなかったんです。


僕? ……実は僕もです。学級代表がこんなこと言ったらまずいですかね? 


大きい声では言えないけど、あの真っ赤なステンドグラスは好きではなくて。割れてなんだか、清々しい気持ちもありました。


クロノス学園は規律が厳しいから、ストレスが溜まっていたのかもしれないです。 


それで、ええと……その中でステファンだけが反応なく、ただ立っていたのは不思議でした。


皆がわーわーと騒ぐ中、背も高くて余計に目立っていました。 それで彼に声をかけました。でも反応がありません。


先生たちが早く教室に戻りなさいと叫んで、みんなすぐ戻りました。  


「ステファン! 一緒にクラスへ戻ろう」


僕が声をかけたと同時に、彼は割れたステンドグラスの欠片を、ズボンのポケットに入れたんです。


「ステファン、ガラスに触らないで! 危ない!」


「…………」


「見たよ。ポケットから出して」


ステファンはハッとして、僕の顔を見ると、破片をポケットから出しました。


床に置いてくれるのだろうと見ていると、急にそれを刃物みたいにして僕に振り下ろしてきたんです。


ショックでした。二回ほど振り下ろしてきて。僕も叫びました。


「やめて! ステファン!」


それを避けて逃げたら、割れたガラスの破片で滑ってしまいました。僕は床に散らばっているステンドグラスの一部に倒れ込んでしまったんです。


先生が起こしてくれた後、肘をガラスで切っていることに気づきました。そのうちにステファンは逃げてしまって……。 


先生たちにステファンの様子がおかしいことを伝えました。僕も追いかけたかったけれど出血が止まらず、医務室に行って包帯を巻いてもらいました。


そこで医務室の先生から聞いたのです。ステファンは休み時間など、医務室のベッドに横になっていることが多いらしくて。具合が悪くないのにそうしているそうです。


「ルシアンの具合はどう? 持っていくものはある?」と、医務室の先生に聞くみたいです。


先生も、病棟が別棟のため詳しくはわからなくて、毎回聞かれるのは困っているみたいでした。


ステファンは保健係だから、ルシアンとマリオンのところに届け物を持って行きます。でもマリオンの名前は一回も出さないって、先生が不思議がっていて。


それで僕は、ステファンが向かったところは、ルシアンのところだと……それはもう確信というか、それしか考えられないと思いました。


ステファンとルシアンが仲良くしているところは、あまり見たことがないですけどね。ステファンはエリオと仲がよかったので。


医務室の先生にお礼を言って、3棟の病棟に行くことにしました。  僕たちは病棟には入れないけど、入り口まで行ってみようと思ったんです。


◇ ◇ ◇


そこはパニックになっていました。少し前に病棟の入口にステファンがやってきて、激しく扉を叩いてきたと。

 

病棟の先生が対応すると、ステファンは怪我をしたと窓越しに腕を見せてきて……確かに血が出ていたので扉を開けたそうです。


そうしたらステファンはそのまま許可なく、病棟の奥に勝手に進んでしまったんです。扉を開けた先生?

それが……ステファンに首を絞められて意識を失ってしまって。


そして、ステファンは眠っているルシアンを見つけ、ルシアンと一緒に病棟を脱走したんです!


病棟の先生たちは驚いたそうです。信じられなかったみたい。絶対、そんなわけないと。

ステファンが病棟に入り込んだこと? いいえ、そうではなくて。ルシアンが逃げだしたことです。


だって、ルシアンは教室で具合が悪くなって倒れて以来、ずっと眠り続けているんですよ!僕も知りませんでしたけど、一度も起きたことがなかったんです。


ルシアンは起き上がることなんてできないはずなのに、あんな高い場所に二人でどうやって行ったのかって。  


二人とすれ違った病棟の先生が、ステファンとルシアン……二人とも普通に歩いていたので、寝たきりのルシアンとは思わなかったそうです。


まさかあんな悲劇が……その後に起こるなんて。本当に今でも信じられないです。


あぁ……不甲斐ないです。もっと僕に……できることはなかったかなって。


はい。僕は学級代表だから……。

次も証言が続きます。

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