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磨いた成果を試すとき  作者: うみたたん
エリオの章

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地下室と◾️◾️◾️ 2

まりかの語りです。

理科準備室に入る、ほんの少し前――


私とエリオは走りながら、次にやるべきことを話し合った。


「ステファンから、できるだけ遠くに逃げるのよ」


着物姿の私は、すぅーっと床の数センチ上を滑るように移動する。振袖がゆらゆら揺れている。


「お化けって便利だね」


「ふふっ、悪くないわ。エリオ、ステファンから離れられてよかった。ステンドグラスを割った甲斐があったわ。みんな大騒ぎだもん。今のうちに、私の()()を助けに行こう


「友達?」


「この学園で殺されたの。仲良くなったんだよ。地下室から出してあげるのよ! それには扉を開けてくれる人間が必要なんだ」


「地下室? どこにあるの? 聞いたことないよ。その前に誰なの? 殺された人って」


「あぁ、本当に教えないでよかった。それは見てのお楽しみ。エリオって顔に出るタイプだから」


エリオが唾を飲み込むのがわかった。


「わざと教えなかった。取り乱すと犯人に殺されちゃう。地下室は二階の理科室の奥だよ」


幽霊の私は、着物の長い袖の中から、黒いファイルをすっと出した。


「この学校の機密事項ファイル。昨日話したよね。みんな人を殺してるって。これは犯罪記録も書いてある。その中で、乱暴する兄を溺死させたって。ほらここを見て」


エリオの心に激しい痛みが走ったようだった。心臓を刺されたような顔をして、放火の文字に顔を背けた。


「エリオ、そこじゃない。その下よ」


エリオ

放火。妹は焼死 精神科に通っていた母親は今も重体……


ステファン

兄から虐待を受け、兄を溺死させる……


マリオン

長い間、酷いいじめにあって……


エリオは思い出したみたいだった。


「ステファン……お風呂が好きじゃないってよく言うんだ。出るのもいつも早いし」


エリオはハッとした顔をした。


「ステファンとシドフと医務室に行った日。シドフを見た最後の日だ」


「何か思い出した?」


「薄暗い部屋の中、濡れたステファンが呆然と立ってて……髪も長いまつ毛も濡れてて、ズボンも濡れてたと思う。部屋に勝手に入れないからよくわからなかったけど……」


「そう」


「ステファン濡れてるよ、お風呂にでも落ちたの? ……なんてからかったけど、返事もなくて……あの日って」


「エリオ、私もあのときはまだ影の存在でしかなかったけど、先生たちが右往左往してて、忙しそうだったのは覚えている。私はいろんなところをふわふわしていたわ」


「そうだ。シドフは具合が悪いって……部屋に戻れと先生に言われたんだ。変だよな……だってシドフはその一時間前、腹痛の僕に意地悪をたくさん言えるほど元気だったのに」


「シドフと最後にいたのは、誰かわかってるわよね?」


エリオは私の顔をじっと見つめた。信じられない、信じたくないのだろう。


「殺されたのがシドフで、殺したのはステファン?」


私はうなずいた。嘘だと言ってほしかっただろうけど。


私とエリオは二階の理科室の奥に急いだ。


「待って、エリオ」


足音が聞こえて、私たちは古い荷物の影に隠れる。誰かがやって来た。


ステファン? まずいわ……どうしよう。


そこに小学生みたいな見た目のニコが現れた。一人でこんな場所にいると本当に小さくて、誘拐されそう。


私はエリオの耳元で囁く。


「ニコが鍵で開けたら、一緒に後ろから入るよ。一瞬だけ透明にしてあげるね。効果はほんの数秒だから」


ニコと一緒に、透明な私とエリオは理科室の奥の準備室に入った。



◇ ◇ ◇


私とエリオは、理科準備室に入る前の出来事をニコに教えた。


「……なんてことがあったの。ニコ、あなたがここに来る前にね」


ニコは目を丸くして固まっている。

目の前に幽霊が二人と、エリオがいたらそうなるわね。


ブロンド髪のシドフが持っている黒いファイルを凝視している。

このファイルを彼は探しに来たのかしら? 言葉が詰まるニコ。


「そ、それは……そのファイルは……」


ファイルを広げ、興奮して喋り出す幽霊のシドフ。


「いやいやいや。なんだよ、これ! びっくりだぜ、ニコ。こんな秘密がこの学園にあったなんてねぇ。全部死んでから知るなんてな。ここはエリートしか通えない学園だと思ったら……隔離された病院じゃねえかよ。がっかりだな」


エリオがニコ向かってゆっくりと話し出す。


「ニコ……ここは普通の学校で普通に過ごせない子供たちが集まっているんだね。生徒は全員人を殺している。特別なテストって、難問のテストってことじゃないんだ。心の問題のほう。それで、この学園に特別に選ばれたんだ」


エリオは一気に捲し立てた。そして息を吸い込んだ。


「催眠療法がかかりやすい子供たち、だからだろ?」


「……ああ…………そうだ」


ニコは力なく頷いた。


「ねぇ、取り込み中悪いけど、一旦私はここを出る。止めたい子がいるから」


「まりか、どこに?」


「なにか起こりそうな気がするから」

私はそう言って三人を残して理科準備室をすうっと出た。

まりかはどこかへ行くよう。

理科準備室にはエリオ、ニコ。死んだシドフが残りました。

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