ジャンミンのお手伝い
エリオの語りです。
新しい登場人物がいます。
放課後、ジャンミンに副副代表の仕事を頼まれた。それは彼と図書室に行き、クラスメイトのための小説を借りることだった。いつもなら数名は生徒がいるけど、今日は誰もいない。
クラスメイトたちは、何を読んでいいかわからなくて、週末の感想文の宿題に困っていたんだ。全くもう……。
うちの学級代表はなんて優しいんだろう。
係が決められなかった僕に、副代表をしてほしいなんて声もかけてくれた。しかもみんなの前で。とても嬉しかったな。
(だからジャンミンをがっかりさせたくない)
ジャンミンと雑談も終えて、僕らはバラバラに本を探すことにした。僕は今まで行ったことのない、本棚を目指した。
指先で本の背表紙をつーっとなぞりながら、奥に進んだ。ふと、奥の棚に光るものを見つけた。その棚に本はなく、荷物置きになっていた。道具箱のような黒い箱が目についた。
箱の上に布が無造作に置かれていた。だけど図書室にも高窓があって、ちょうど光がそこへ差し込んでいた。まるで見つけてほしいみたいに……。
箱の表面が輝いていた。僕は布をどかして箱を開けた。その中には古い本が入っていた。
万緑の山々が表紙になっている本を手にした。ページをめくると、色鮮やかな民族衣装が目に飛び込んできた。緻密な刺繍の衣装。深紅や藍色の花。チェリー・ブロッサム……桜、東洋の花だ。色鮮やかな魚や鳥、馬車……じゃなく牛車。花火の柄もある。
胸の奥に温かな懐かしさが広がった。なぜか遠い記憶が風と一緒にやってくる気がした。
なぜこの本を隠すように置いてあるのだろう。さらにページをめくると、民族衣装の詳しい名称が書いてあった。服が大きく広がって描かれている。
振袖と呼ばれる長い袖が、特徴的な衣装だ。
(和服……というのか)
あっ!
頭の片隅で何か閃いた。あのときの影――
この学園にやってきた夜……追いかけてきた子供の影。この衣装のシルエットそのものだ。長い裾がゆらゆら揺れていた。手が長いのではなく、長い袖だったのかもしれない。
本を握る手が震えた。どうしてこの本は隠されているのかな? 残酷な本でもない。ちょっといやらしい本……なんてこともないし。
箱の中には他の本もあった。それに木を組み合わせて作る小物入れなどもあった。僕は素早く本を箱に戻した。
なぜか棚の向こうに視線を感じて、目を凝らした。まるでそこに、あの夜の和服の影が潜んでいるように感じて――
ヒッ。
棚の間から、二つの目がこちらを見ていた。
いつから? いつから見ていた?
落ち着け。きっとジャンミンだ。
「ジャンミン? 早くこっちに来て。聞きたいことがあるんだ」
棚の後ろを人影がゆっくりと移動してくる。よかった、ジャンミン…………ではなかった。
現れたのは赤い着物を着た少女だった。長い黒髪はまっすぐ伸びており、帯のちょうど真ん中まである。
女の子は満面の笑みで-
「びっくりした?」
無邪気に話しかけてきて、ニヤリと笑う。僕は恐怖で気を失いそうになった。
着物の女の子がさらに近づいてきた。
初めて女の子が出てきました。




