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磨いた成果を試すとき  作者: うみたたん
エリオの章

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34/40

ジャンミンのお手伝い

エリオの語りです。

新しい登場人物がいます。

放課後、ジャンミンに副副代表の仕事を頼まれた。それは彼と図書室に行き、クラスメイトのための小説を借りることだった。いつもなら数名は生徒がいるけど、今日は誰もいない。


クラスメイトたちは、何を読んでいいかわからなくて、週末の感想文の宿題に困っていたんだ。全くもう……。

うちの学級代表はなんて優しいんだろう。

係が決められなかった僕に、副代表をしてほしいなんて声もかけてくれた。しかもみんなの前で。とても嬉しかったな。


(だからジャンミンをがっかりさせたくない)


ジャンミンと雑談も終えて、僕らはバラバラに本を探すことにした。僕は今まで行ったことのない、本棚を目指した。


指先で本の背表紙をつーっとなぞりながら、奥に進んだ。ふと、奥の棚に光るものを見つけた。その棚に本はなく、荷物置きになっていた。道具箱のような黒い箱が目についた。


箱の上に布が無造作に置かれていた。だけど図書室にも高窓があって、ちょうど光がそこへ差し込んでいた。まるで見つけてほしいみたいに……。


箱の表面が輝いていた。僕は布をどかして箱を開けた。その中には古い本が入っていた。

万緑の山々が表紙になっている本を手にした。ページをめくると、色鮮やかな民族衣装が目に飛び込んできた。緻密な刺繍の衣装。深紅や藍色の花。チェリー・ブロッサム……桜、東洋の花だ。色鮮やかな魚や鳥、馬車……じゃなく牛車。花火の柄もある。


胸の奥に温かな懐かしさが広がった。なぜか遠い記憶が風と一緒にやってくる気がした。


なぜこの本を隠すように置いてあるのだろう。さらにページをめくると、民族衣装の詳しい名称が書いてあった。服が大きく広がって描かれている。

振袖と呼ばれる長い袖が、特徴的な衣装だ。


(和服……というのか)


あっ!

頭の片隅で何か閃いた。あのときの影――

この学園にやってきた夜……追いかけてきた子供の影。この衣装のシルエットそのものだ。長い裾がゆらゆら揺れていた。手が長いのではなく、長い袖だったのかもしれない。


本を握る手が震えた。どうしてこの本は隠されているのかな? 残酷な本でもない。ちょっといやらしい本……なんてこともないし。


箱の中には他の本もあった。それに木を組み合わせて作る小物入れなどもあった。僕は素早く本を箱に戻した。

なぜか棚の向こうに視線を感じて、目を凝らした。まるでそこに、あの夜の和服の影が潜んでいるように感じて――


ヒッ。


棚の間から、二つの目がこちらを見ていた。

いつから? いつから見ていた?

落ち着け。きっとジャンミンだ。


「ジャンミン? 早くこっちに来て。聞きたいことがあるんだ」



棚の後ろを人影がゆっくりと移動してくる。よかった、ジャンミン…………ではなかった。


現れたのは赤い着物を着た少女だった。長い黒髪はまっすぐ伸びており、帯のちょうど真ん中まである。

女の子は満面の笑みで-


「びっくりした?」


無邪気に話しかけてきて、ニヤリと笑う。僕は恐怖で気を失いそうになった。

着物の女の子がさらに近づいてきた。


初めて女の子が出てきました。


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