ジャンミンの連絡日記
クロノス祭は無事に?終わったようです。
感想文の本を探すため、ジャンミンとエリオが図書室に行ったときの話です。なにか不思議なことが起こった様子。
10月18日
クロノス祭は滞りなく行われました。
初めて参加したエリオもリラックスして楽しんでおり、安心しました。クラス創作の展示は、どのクラスも見事です。
ステンドグラス風の大きな絵。2年B組のクラス制作は『水の都ヴェネツィア』です。
今回は賞は取れませんでしたが、本当に緻密でダイナミックです。個人的には優勝だと思っています。絵の上手いマリオンが途中からいなかったけど、本当にみんなよく頑張りました。
直前に規則を破ってしまったクラスがあり、今年はクロノス祭は中止になる話も出ました。噂があっという間に広がって、本当に不安でした。僕たちも必死で抗議し説得にあたりました。
無事、クロノス祭は催され本当によかったです!
マリオンとルシアンがまだ病棟で入院中なのは残念です。二人とも急に体調を崩しました。本当は二人にもクロノス祭に参加してもらいたかったです。
先に入院していたアマンドはクロノス祭当日、少しだけ参加できました。これは本当に嬉しかったです!
でも彼は転校することが決まっていました。海の見える学園だそうで、少し羨ましくなりました。僕も海が見たくなってきました。あ、もちろんクロノス学園の森も素敵ですよ。
クロノス祭の二日目は、アマンドのお別れ会も開かれました。久しぶりに見たアマンドは大人っぽくなって、と言うかほとんど大人に見えました。元気そうで嬉しかったのですが、本音は寂しかったです。置いていかれると思ったのかもしれません。
そんなこともあって、クロノス祭は楽しさ半分、寂しさ半分でした。でも怪我もなく無事に盛り上がって終わったので、ほっとしたところです。格闘大会はステファンは準優勝でした。
10月23日
行事が終わり、学園は通常に戻りました。こんなに静かだったのかと疑問に思うくらいです。
理由の一つは、クラスメイトが減ってしまったからです。特にルシアンがいないのは寂しいです。ちょっと問題もありましたけど、彼の存在は大きかったと思い知りました。
クロノス祭の後、クラスの係変更があり、2年B組は立候補やくじ引きをして決めました。ステファンは保健係になりました。病棟のマリオンとルシアンに本や生活必需品を届けに行ってくれます。
もちろん二人には会えないけど、看護師さんから二人の容体を聞くことができます。
ステファンといつも一緒にいたエリオは、一人行動も増えました。とてもいいことです。エリオはステファンにかなり依存していたからです。
ステファンが係を決めてしまうと、エリオは自分は何をしていいかわからない感じでした。
僕は副代表にならないかと、エリオを誘いました。副代表のニコが、忙しくなっていたからです。ニコが最近疲れているようでとても心配です。
「副代表って、お手伝いさんさ。簡単だよ」
なんてニコが言って、みんな笑いました。皆が僕の案に賛同し、エリオは副代表(お手伝い係)になってくれました。
ニコも引き続き副代表なので二人体制です。
これでニコが楽になってくれたら嬉しいし、エリオがもう少し積極的になってくれたらいいなと思います。
10月29日
エリオが一人でいたので、僕は仕事を頼みました。
二人で図書室に行きました。週末の宿題、感想文のための本をクラスメイトのために五、六冊探すつもりでした。
整理されている背の高い本棚や、図書室の薄暗い雰囲気が僕は好きです。紙の香りはなぜかとても落ち着きます。
「地元の小さな図書館よりも大きい!」
エリオが言いました。
「そりゃそうだよ。この学園の図書室は歴史があるんだ。珍しい本もたくさんあるんだよ」
なんて誇らしげに僕はいいました。みんなどんな本読むのかなと僕が考えていると……。
「選ぶの難しいな。アマンドがいてくれたらなぁ」
なんてエリオは言いました。アマンドは古い文学を読んでいたから参考になりません。もっと簡単な本じゃないとクラスメイトたちは読めません。
「ジャンミンのお手伝い、僕はできるかな? 君をがっかりさせちゃうよ」なんて彼は言いました。
「いてくれるだけで頼もしいよ」
そんなことを言いながら、僕たちはバラバラになり、小説を探しました。その後です。パプニングがあったんです!
本当に驚きました。図書室が閉まってしまったんです。中にはエリオ一人になってしまいました。
図書室の入口から「ジャンミン……ジャンミン」と呼ばれたんです。正確には呼ばれたような気がしました。なにか音楽のような音も聞こえて……音楽室かな? と思いました。
それで図書室から一度出たのです。そのとき入口の扉が勢いよく閉まって、その拍子なのか、ガチャンと鍵が落ちてしまったんです……。
クロノス学園の図書室はなにかありますね。




