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磨いた成果を試すとき ー男子寮、クロノス学園で恋に落ちたらー  作者: うみたたん
1 クロノスの章

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アマンドと夢の続き 4

アマンドの語りです。図書館でさぼっていて大丈夫かな?

声が大きいよって、ニコに注意された。

ステファンとエリオが付き合ってる? でもそれはだめじゃないか。規則違反だよ。


「バディってこと?」


この学校は、バディーシステムがあって、親友とか仲のいい子を先生に報告している。そのほうが何かと学校側もわかりやすいからだ。つまりクロノス学園ではバディは親友のことだ。


「いや、それ以上なんじゃない? 内緒だけど、どちらかが告白したみたいだ」


「えー、知らなかった」


「ははっ。みんな噂してるじゃないか。てか、周りに流されないから好きだよ、アマンドって」


「いや……そんなことないよ」


ニコは僕のほうに向き直って、突然、僕の黒縁眼鏡を外した。


「えっ? なになに?」


ニコは僕の眼鏡を、自分の顔にかけてみた。


「うわっ、なかなか度が強い」

「そうだよ返して。ニコの目が悪くなっちゃうよ」


ニコは黒縁眼鏡を頭の上に引っ掛けた。それは伊達眼鏡を頭に乗せた彼女……みたいでとても可愛らしかった。ニコは僕の顔を頬をギュッと両手で包み込んだ。


「アマンドの素顔、しっかりと見たかったんだ」


「え……」


「ステファンと戦ってるとき、かっこいいなぁって思ったんだぜ」


「あ、ありがとう」


 ニコはふっと手を離して、下を向いた。


「ねぇ、恋愛体質……って、なにかアレルギー体質みたいなものかい?」


僕がとぼけてそう言うと、ニコはプッと吹き出した。


「違うよ。ちょっと優しくされると、すぐ好きになっちゃうような奴のこと。エリオさぁ、レイモンドにも惚れかかってたんだぜ」


レイモンド? レイモンドなんて生徒いたっけ? 同じ学年にも先輩にもいない……あ、先生とか?

え?! 事務員さん?!


まじか。まぁ、確かにかっこいいかもだけど。なにがあって好きになったのだろう?


「心配だね、エリオって」とボク。


「まぁな。でも俺はステファンとかジャンミンのほうが心配かな」


「……え? あの二人はしっかりしてるじゃないか」


「だから心配なの。無理してるってこと。まだ俺たちは子どもなんだから……あっ、そんなことより、小説に出てきた岬! ロザンカーナの小説じゃないか?」


「ロザンカーナ……そうだっけ?」


なんだかその名前は好きじゃないと思った。なぜかはわからない。でもなんか嫌だと思ったんだ。

勘……とでも言うのかな。


ニコが小説の棚にさっさと移動した。ボクも立ち上がって追いかけた。


本の背に顔くっつけて、ニコが題名を読んでる。こんなに大量の小説がある。これは探すの大変そうだ。僕も眼鏡を押さえながらじっと見ていた。僕も小説は結構読むけど、ちょっと好きなジャンルではなかった。


「これだ……流行ったな。この物語」


「もう見つかったの? あ、この表紙……」


あんまり見ないシンプルな表紙。題名がちっちゃい字で書いてある。それがかっこよくて、人気に火がついたんだ。


ニコが作者の名前を知ってたなんて。こんなすぐ見つかるとは思ってなかった。これでやっとクロノス祭の作業に戻れる。

そう、このときは気楽に思ってたんだ。


(でも、そう簡単じゃないってことは、ボクはこのときはまだ知らない)


「この話の主人公、この三日月の岬に行くんだ。片思いしてる子と一緒に」


ニコがパラパラページめくってる。

「へえ、そうなんだ。実はボク、読んだことなくて」


「なんであんな流行ったのか、わからないって」

 読んだことないボクは、そうだねって言うしかなかった。

「あった、ほらここ」


 クレセント岬。


その言葉を見た瞬間、心臓がギュッと掴まれた気がした。いや、本当に心臓が締め付けられ、潰れかけた。良くないことが起こる。

僕はすぐその小説閉じた。


「アマンド……どうした?」


「ニコ、早く制作に戻ろう。もう、ここにいたくない」


「待って。アマンド、この観光名所の本にクレセント岬って、載ってると思う」


(うっ。心臓が痛い……ニコ……)


「えっと、あった! ほら目次に写真がある」


肺を撃ち抜かれたーー


ように感じた。写真を見たとたん、息ができなくなって、ヒューって細く息吸ったんだ。


ボクはその場所をよく知ってた。それどころか、行ったことある場所だった。夢の場所は僕が以前に行った場所。予知夢ではなかった。


ニコが開いた本には、三日月の岬がバッチリ載ってた。


 思い出した。ボクは膝をついた。


「アマンド、大丈夫? ……何かあった?」


あぁ……どうして今まで忘れてたんだろう? ボクはそこに行ったんだ。


クレセント岬に行けばやり直せるって、船に乗れるって。助けてくれる人が待ってるって……。これで最後だから絶対に信じろ!って……あいつは言った。


父親は事業に失敗した。莫大な借金だけが残った。もともと考えなしの奴だった。母さんはとっくに、僕を置いて一人で逃げてしまった。


父親は返すあてもないのに金を借りまくって、夜逃げした。クレセント岬にボクを無理に連れて行った。あいつは外道だ。畜生だ……。


「クレセント岬から船に乗るはずだった。借金取りから逃げるために、父は新しい女に大金を払って……段取りはその女がするって言ってた。そのためにみんなを騙してお金集めたんだ。肥沃の大地って呼ばれる新天地で事業やるって……ああ、岬にいたあの人……」


「ア、アマンダ、わかったよ。医務室行こう」


「背が高くて……」


現実に三日月の岬……クレセント岬にいたのは、細くて、蛇みたいな目をした女だった。父親はその女に大金を渡したんだ。女はすぐに船を用意するって言ったけど、戻ってこなかった。 破産してたボクのお父さんは、さらに罠にハマった。バカだから仕方ない。


よくある話で、今思い出すとおかしいよな。狡猾な詐欺師は、借金で首が回らない人をさらに狙う。もう後がないから、判断ができなくて騙されやすいそうだ。


船で渡るはずの肥沃の大地って場所もね、数年前にゴーストタウンになってるって。岬に住む人たちが教えてくれた。船もずっと出航してない。


クレセント岬は、今はゴースト岬って呼ばれてるんだ。


あはははは! あはははは!


図書館だと言うのに、ボクは大きな声で笑ってしまいました。あははは! とんだ悲劇ですね!

こんなことってある? 


それにしてもボク、どうしてここにいるの?


だんだん……意識が遠のいていく。

クロノス祭の制作も、合唱も……格闘大会の応援も……もう参加できないや。


これは僕の予知。


「水の都ベネチア」クラスのステンドグラス制作、もっとやりたかった。

格闘大会はステファンを応援したかったな……。

混沌とした意識の中で、またボクは夢をみた。


霧で覆われた森を抜けた。

三日月のように弧を描いた岬の先端には、いつも通り、若い女の人がいる。彼女周りには朝の光が--


放たれてない。初めてだった。

海から顔を出した朝日は、厚い雨雲に覆われて隠れていた。いつも太陽が輝いていて眩しかったけど、雨が降り出した。初めて、振り返った女の顔が見えた。

 

蛇のような目つきの、痩せた女の顔がはっきりと-


ありがとうございます。アマンドー(´༎ຶོρ༎ຶོ`)


次は同じ時間軸で、ステファンとエリオの話です。どこに行ったのかな?

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