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99 準備は整ったんだが


本日は11月20日。


如月(きさらぎ)家の4人は早起きして()()()()を進めていた。


「Happyはもう少し上の方がいいかしら?」

「いや、Birthdayをもう少し下にしよう」

「お父さん、そろそろお2人がいらっしゃる時間ではないでしょうか」

「あ、そうだな。迎えに行ってくる」


なぜここまで慌ただしい朝を過ごしているのか。


理由は単純。


今日は七海(ななみ)の誕生日で、現在はサプライズの準備をしている。


優希(ゆうき)が迎えに行こうとしているのは七海の両親で、こちらもサプライズでの登場となる。


優希が家を出て行った後も、3人で準備を進める。


30分が経った頃に優希が七海の両親の(さとし)翔子(しょうこ)を連れて帰宅し、いよいよ1番大切な料理が始まろうとしていた。


「じゃあ、私達はケーキ作りに励むわね〜」

「お、任せたぞ料理人!」

「まかせてください」


女性3人はドヤ顔をした後、早速調理に取り掛かっている。


残された男性3人は飾り付けを進めながら話をする。


「そういえば優くん、七海とはどこまで?」

「どこまでって何ですか?」

「ほら、キスぐらいしたのかい?」

「ンぐッ⁉︎な、何ですか急に⁉︎」

「いや、少し気になってね。七海は是非君に貰ってもらいたいからさ」


嬉しそうに話している智にジト目を向けてこの話を何とか早く終わらせたかったのだが、実は敵がまだ1人いた。


「俺も気になるなぁ…。ぶっちゃけ、キスした?」

「いやノリが高校生じゃん。あんた40代のオッサンだろ?」

「あははは。優、反抗期か?」

「ちげーよ」

「まぁそんなのどうでもいいさ。で、七海とはどこまで__」

「いやだから七海とは付き合ってもないしキスもしてねぇー!!!」


ウザいノリでこられて少し大きな声を出してしまった。


さっきまでボソボソと話していたのでバレていなかったが、この発言だけは女性陣に聞き取られてしまい、しっかりリアクションをしてくる。


「まぁ…七海ちゃんとはまだ付き合ってなかったのね〜」

「七海ったら…今度好きな人の落とし方を教えないと…」

「そんなの教えなくていいです!お兄さんは誰とも付き合わないしキスもしませんー!」


そのような事を言っていて、内心ミスったなと考えながら下を向いて落ち込む。


すると両肩の方から軽い衝撃を感じ、振り返ってみるとそこでは父親2人が共感の表情をして慰めてくれていた。


「人はこうやって大人になるんだぞ」

「これを乗り越えないと結婚なんてできないよ」


(え⁉︎この2人過去に何があったんだ⁉︎)


気づけば2人は遠い目をして過去を振り返っていた。


この表情を見るからに、多分過去に同様の出来事があったのだろう。


血には抗えないとはこういうことか(?)。


謎の解釈をした後、少し休憩するためにソファに座った。


ずっと作業しっぱなしだったので疲れてきており、15分程度睡眠を取ろうと目を瞑った。


そして体感15分後に目を覚ました。


ここで1つ違和感を覚える。


(あれ?俺座ったまま寝てたような…)


さっきまでソファに座ったまま眠っていたはずなのに、今は天井が見える。


そして何より、頭に温かくて柔らかい感触が伝わってきている。


この時点で何が起こっているのか察しがつき、身体を起こしてその人の顔を見る。


「あ、おはようございます」

「おはよう…って、ケーキ作りはどうしたんだ?」

「ん?ああ…無事完成しましたよ?」

「そっかぁ…ってあれ?さっき作り始めたばっかじゃ…」

「いえ、作り始めたのは2時間30分前ですが…」

「…ふぇ…?」


何を言っているのか理解できず、とりあえず時計を確認してみる。


(あれ、桁が1つ違うような…)


寝始めた時から丁度150分が経っていた。


それだけ時間が経っていれば、当然様々な準備も終わっていて、今はみんなで外食に行こうという話になっているようだ。


どうやって話に入っていけばいいものか。


準備をサボってしまったのに混ざっていいのだろうか。


そんなことを考えながら遠い目をし、バレないようにそーっと目を瞑る。


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