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95 思ったより辛いんだが


文化祭2日目が開幕し、校内は早くもお祭り騒ぎとなっていた。


特に2日目は店側の宣伝の気合の入り方がが桁違いになる。


それはなぜかって?


実は麗英(れいえい)高校の文化祭は謎に2日目だけ売上で競わさせられるのだ。


ちなみに優勝するとトロフィーやら何やらが色々貰えるので、全クラスが死力をつくして優勝を狙っている。


当然(ゆう)の所属するクラスを優勝を目指しており、現在は文化祭であまり貢献していない男子達が宣伝に駆り出されている。


教室の外には行列が出来ていて、これをどれだけ早く捌くかが大切になってくる。


なのでとにかく早く料理を提供し、回転率を上げなければならない。


そうするべく、優は全神経を集中させて料理を作っている。


誰よりも早く調理する優の姿を見たクラスメイトにドン引きの目を向けられるが、そんな暇も与えないぐらいのスピードで料理を出す。


集中したまま調理していると、あっという間に2時間が経ち、そろそろ休憩の時間となりそうだ。


だが昼過ぎだというのに客足は全然衰えておらず、今抜けても大丈夫なのか不安となり、最悪休憩なしの覚悟で手を動かしていると後ろから肩を叩かれ、少しビクッとした後にそちらを向く。


「優くん、交代だよ。お疲れ様」


そう言いながら七海(ななみ)が水を渡してきて、優はそれを受け取ってから集中を解く。


「ありがとう。あとは任せるわ」

「うん、まかせて」


えっへんと自分の筋肉をアピールしながらドヤ顔をする七海を見て少しクスッと笑った後に手を振ってからその場を去っていく。


更衣室で着替えて少し休憩した後、有咲(ありさ)との約束の場所に向かう。


「あ、お兄さん。こっちです」


人混みでよく見えなかった有咲が少し離れた所から声をかけてきて、優はそちらに向かった。


「お待たせ。いや〜今日は忙しいな。そっちはどうだ?」

「私たちもかなり忙しかったです…。もう腰が痛いです…」


座った状態から立ち上がって人を驚かせるのが仕事なので腰が痛くなっても仕方ない。


そんな有咲に苦笑いを向けた後、優は手を差し出す。


「じゃあどっかでご飯買ってさっさと席に着いちゃうか。何なら俺が1人で買ってこようか?列に並んでるのは大変だろうし」

「いえ、そこまでさせるわけにはいきません」

「いや別にいいんだけど」

「いえ、私はお兄さんとの時間を過ごしたいので。1人で待つなんて意味がありません」

「あ、そうですか」


有咲の譲れない部分に若干呆れつつも、優は手を繋いでいい店を探して回る。


校内で生徒からの視線を浴びつつも、優は平静を保ちながら売店を回って行く。


良さそうな店はあるが、有咲の足が止まる気配はない。


もしかしたら主導権は自分にあるのかと思い、すぐそこにあるカレーの店を提案しようとした時だった。


「お兄さん、あれにしませんか?」


有咲の足が止まり、優が提案しようとしていたカレーの店を指差している。


優はちょうどいいと思い、すぐに承諾して列に並ぶ。


昼過ぎということもあり、列はすぐに消え、素早く注文することができた。


2人は番号札を持って近くの席に着いた。


ちょっとした雑談をしていると、すぐにカレーが机に届き、2人は手を合わせてからスプーンを手に取ってカレーを頬張る。


一口食べたところで、優は1つ思い出した。


「有咲…これ、結構辛いと思うけど…大丈夫か?」


いつも甘口を食べている有咲を心配するが、それにぷくっと頬を膨らませて口を尖らせる。


「お兄さん、私ももう大人です。これぐらい食べれゴホッゴホッ…」

「…大丈夫か?ほら、水」

「ありがとうございます…」

「…食べるの手伝うよ」


結局優が有咲のカレーもほとんど食べて、そこからしばらく動けなくなったとさ。


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