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91 レベルが高いんだが


とうとう待ちに待った文化祭が始まった。


生徒達はお祭り気分で出し物をしたり店を回ったりと、まるで本当のお祭りかのような騒ぎである。


そんな中、本格的な喫茶店が話題を呼んでいて、開店して数時間で行列が出来ている。


「いらっしゃいませご主人様。こちらにどうぞ〜」

「あ、今お伺いしますー!」

「お待たせしました。愛情満点オムライスです」


このように、店内のメイドさんたちが忙しく駆け回っている。


メイドさんが忙しいのなら、当然厨房も忙しいので、厨房にいる(ゆう)は圧倒的なスピードで料理を作っている。


「はいこれ4卓の。次は…」

「すごいな如月(きさらぎ)…。俺も見習わないと」


手早い優の動きを見て触発され、周りの料理人たちの動きも早くなっていく。


その甲斐あって、行列は何とか捌き切ることができ、昼過ぎの優の休憩の頃にはほとんど行列もなくなっていた。


「じゃ、休憩行くなー」

「オッケー。ごゆっくりー」


リーダーの柊太(しゅうた)にそう告げた後、エプロンを脱いで教室から出ていく。


扉を開けて少し歩いたところに、長い白髪をなびかせる美少女がいた。


「あ、優くん。一緒に回らない?」


まるで今来るのが分かっていたかのように出待ちされていて、ようやく柊太の言葉の意味がわかった。


(柊太…謀ったなッ⁉︎)


七海(ななみ)と休憩時間が被るようにして文化祭デートでもさそうとしているのか?


優はそのような考えに至り、七海の誘いを断ろうと__


「回るよ…ね…?」

「…うん…」


七海の少し悲しそうな表情を見て断れなくなり、しっかり承諾してしまう。


(ま、まぁデートではないし?多分大丈夫だろ)


考え方の問題だと考え、優は七海に付き合う事にした。


七海はご機嫌になりながら優を連れてある場所を目指している。


そこは1年4組の出し物がある教室だ。


そこでは有咲(ありさ)がお化けになって出てくるらしい。


そう、1年4組はお化け屋敷をしているのだ。


見た目は割と本格的で、本当に手作りなのか分からないぐらいだ。


2人は列に並び、順番を待つ。


20分ほど待つと、列が消え、とうとう順番が回ってきた。


教室の扉が開けられ、2人は中に入っていく。


そこには真っ暗な墓場のような場所があり、周りを見渡しながら歩いて行く。


数歩歩いたところで七海が腕にしがみついてきゃーとわざとらしく声を出している。


「優くん、怖いよぉ」

「いや君ホラー得意だよね?」

「え?なんで?」

「昔ホラー映画見た時全然ビビってなかったし」

「…」


七海は口を閉じたままで、くっついた身体を離してくれる気配もない。


優は諦め、そのまま進んでいく。


2人は入ってから最初の曲がり角を曲がり、拍子抜けだなとか考えていた時にそれは姿を現した。


「ばぁ!」

「「…」」


2人とも全くビビる様子がなく、有咲は少し残念そうな顔をする。


「2人とも、もう少しリアクションしてくれませんか?」

「うーん…そうだな…」

「これだけ可愛いと…ね…」


正直言って今の有咲は怖いというより可愛いの方が強い。


お化け屋敷の世界にのめり込んでいたら怖いかもしれないが、2人にとってこのおばけはただの有咲なのである。


2人は悔しそうな顔をしている有咲の衣服をじーっと見て感心する。


「これは結構凝ってるな…俺じゃなきゃ有咲だって気づかなかったかもな」

「そうだね。これだけのクオリティ、相当の手練れがいるね。ま、私の目は誤魔化せないんだけどね」

「…2人とも何を言っているのですか?」


少し茶番のような事をしている2人に乾いた目を向ける。


と、そこで次の客が来ていることに気づき、2人は有咲のもとを去る。


「じゃ、頑張れよ」

「頑張ってね」

「はい。2人とも楽しんでいってくださいね」


2人は有咲に手を振って歩いて行く。


「結構凄かったな。文化祭にしては」

「そうだね。昔見たホラー映画並みだったね」


教室を出た頃に2人はそう言う感想を浮かべ、文化祭とは思えないクオリティの高さに感服した。


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