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75/218

75 色々とヤバいんだが


「じゃあそろそろ行ってくるね」


あれから時間は経ち、すでにお昼時となっている。


七海(ななみ)は午前の最後の種目の玉入れに出場するため、入場門に向かう。


その姿を見送り、(ゆう)は七海の出番を待つ。


15分ほど経って、いよいよ1年生の玉入れが始まる。


全員で入場し、すぐ近くに待機する。


笛の合図で一斉に玉を取って籠に投げつける。


七海も玉を沢山持って頑張って投げている。


その時に揺れる胸が、男子の視線をかき集めているとも知らずに。


「うわぁ…」

「やっばぁ…」


とても女子高生とは思えない揺れに、驚愕する生徒が多数。


その中には優も含まれていて。


(やっば…いっつも俺の気も知らないで押し付けてきやがって…)


七海のいつもの行動に心の中で苦言を呈すが、優は変な妄想をしてしまう。


(いやダメだヤバい思考になってしまう)


制御が効かなくなった脳を思いっきり横に振ってなんとか抑える。


そして優は競技に目をやる。


が、そこには七海がいた。


七海がいるなら当然顔の少し下を見てしまって。


(あ゛ぁぁぁ!なんだそれは⁉︎けしからん!)


優の思考はよく回らなくなってしまった。


そんな事をしていると、1回目の玉入れが終了した。

結果は2位で、あと少しだったようだ。

玉を回収し、2回目が始まる。


2回目も同様、七海は楽しそうに玉を投げている。


さっきよりもハイテンションになっていて、さらに縦に揺れているわけだが。


優は見ないようにすることが最適だと感じ、空を見て心を整える。


(あ、鳥さんだぁ)


空を見て癒され優は視線を戻すのだが、ここでは七海を見ないようにする。


他のクラスの状況を観戦してみる。


(これで完璧ッ)


優は勝ち誇った表情をし、いつもよりキリッとした姿勢になる。


そのまま時は流れて2回目の玉入れも終了した。


結局総合では3位で、心から喜べるような順位ではなかった。


だが、七海個人だけなら多分優勝なので、あとでそこは褒めておこう。


玉入れが終了すると、昼休みに入る。


生徒や保護者達が一斉にそれぞれの場所に移動するが、優はとりあえず七海が席に帰ってくるのを待つ。


「あ、優くんまだいたんだ」

「おお、お疲れ。よく頑張ったな」

「ありがとう。3位だったけどね」

「それでも頑張ってたならいいさ」

「ふふふ、ありがとう」


小さく笑い、七海は隣の席に腰掛ける。


「優くんはお昼家族と食べる?」

「ああ。七海は?」

「私は…」


七海は下を向いて表情を曇らせる。


ほとんどの人が家族などと食事をする中、自分だけは1人なのだ。


孤独を感じていてもおかしくない。


優はそんな七海の心境を察し、少し慰めるようにしながら七海を食事に誘う。


「あー、一緒に食うか?多分親も喜ぶよ」


そう言うと七海は顔をあげて驚いた表情を浮かべる。


「いいの?邪魔になったりしない?」

「邪魔なわけないさ。長い付き合いだろ?大丈夫さ」


そこで七海の表情は明るくなり、笑いながら軽く頷く。


「うん。じゃあ、お邪魔しちゃおっかな。義理の親に挨拶もしたいし」


最後の方がおかしかった気がするが、そこはスルー。


そこで七海は立ち上がり、手を差し出す。


「ではエスコートをお願いします、紳士様」


どこぞの令嬢みたいな格好をし、エスコートを頼まれる。


優は一瞬呆れた目をした後、七海の手をとる。


「はいはい、行きますよお嬢様」

「はい!旦那様!」


何か言われた気がしたが、気にしないようにする。


優は七海と手を繋いで親の居るところまで連れて行く。


そこにいるはずの、優の親と()()()親のもとへ。


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