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61 ただの友達なんだが


「ん…ん〜…ふぁ〜…ん?」


目を開くと毎朝見る天井があった。

気づけばベッドに運ばれていたようで、七海(ななみ)は少し困惑する。


時計を見ると既に5時を過ぎていて、流石に寝過ぎたと思いながらリビングに向かう。


昼間よりは楽になったのでフラフラせずに真っ直ぐ歩きながらリビングの扉を開く。


「お、おはよ」

「おはようございます」

「お…おはよう…」


流石にもう帰ったと思っていたので驚いてしまう。

何をしていたのか疑問に思うが、それは部屋を見渡せばすぐに分かった。


部屋中ピカピカで、まるで新居のようになっていた。


そんなピカピカになったリビングを見て七海は感謝の気持ちでいっぱいになる。


「ありがとう。掃除してくれたんだね」


頭を下げて例を言う七海に(ゆう)有咲(ありさ)は何気ない表情で話す。


「別に良いんだよ。俺たちがやりたくてやっただけだし」

「そうですよ。今日は七海さんの力になりたくて来ているのですから」


2人の当たり前の事をしたかのような表情も見て、更に感謝の気持ちが増すが、また頭を下げれば困らせてしまうので今度は笑顔で感謝を伝える。


「本当にありがとね。すごく助かってるよ。また今度お礼させてね」

「いや、礼とかは良いんだよ。俺たち友達だろ?なら助けるのは当然だし見返りなんかいらないんだよ」

「そうだね…()()だからね…」


そこは恋人とか言って欲しかったようだが、流石に無理だった。


「でも…まあ有咲が困ってる時は助けてやってくれ」

「ふふ…優くんはシスコンだね」

「……別にシスコンじゃねぇし…」

「いーや、優くんは極度のシスコンだよ」

「……」

「ごめんごめん、そんなに拗ねないで?ね?」

「ふふふ…お兄さん、顔が赤くなっていますよ」


顔を赤くしてそっぽ向いている優に女性陣がダメージを与えている。


この光景、結構シュールな気がする。


まぁそんな事はどうでも良いとして、シスコン疑惑を晴らしたい。

そう思っていたのだが、よくよく考えてみれば結構シスコンな気がしてきた。


なので弁明する手段が無いのだ。


というわけで…頑張って話を逸らしてみる。


「ば、晩飯どうする?何か作ろうか?」

「んー流石にもう迷惑はかけられないから今日はもういいよ?」


七海がそう言うと、有咲が不服そうな顔で七海に迫る。


「そんなこと言わないでください。私たち、友達じゃないですか」

「うん…そうだね。でも流石に作ってもらうのは申し訳ないから…食べに行かない?」

「お、ありだな。でも外に出て大丈夫なのか?まだしんどいんじゃ…」

「ううん、さっき寝て結構楽になったから大丈夫」


優の本気の心配に、七海は全力の笑みで返す。

その笑顔を見て優も安心したらしく、さっきまで曇っていた表情は明るいものとなっている。


「では、どこに行きましょうか。できれば温かいものを食べるべきですが…」

「うーん、そうだね…」


七海と優は有咲の質問に本気で悩む。


数秒悩んだ挙句、1番最初に優が口を開く。


「まーシンプルにファミレスでいいんじゃね?」


割と普通の答えだが、今はこれが最適だと2人も認識し、優の意見に賛成する。


その後七海は軽くシャワーを浴びてから支度を進める。


七海の支度が終わる頃には夕食に丁度いいぐらいの時間となっており、夕日がとても綺麗に映えている。


「おおー綺麗ですねー」

「たまにはこういうのもいいな」

「お兄さん、そこは有咲の方が綺麗だと言って__」

「言わねぇぞ⁉︎」

「じゃあ私の方が__」

「だから言わないって⁉︎」


こんな風に3人仲良く夕食を食べに行ったのだった。


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