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60 子供みたいなんだが


(ゆう)有咲(ありさ)で協力して家事を少し済ませ、これから昼食を作る。


有咲曰く、お腹を冷やしてはならないらしい。

食べやすければ尚良いため、今回はスープを作ることにした。


ただのスープではなく、柔らかくて()()食材も入れるらしい。


何に効くのかは訊かないでおこう。


優は有咲の言う通りに手を動かす。


今回も優は手伝い役に回ってサポートをする。

ここでも無力さを感じ、優は日頃から家事を手伝ってみることを決意する。


30分ほど調理すると完成したのでベッドで眠っている七海(ななみ)を呼びに行く。


「七海、ご飯できたぞ」

「ん?…あ、おはよ」

「はいおはよう。で、ご飯食べられそうか?一応食べやすそうな物を作ったんだけど」

「うん、食べられると思う。ありがとね」


七海は何とかベッドから降りて立ち上がる。


だが、やはりフラフラしてしまっていたので優は七海の腕を肩にかけて支える。


「あ、七海さん、おはようございます。調子はどうですか?」

「おはよう有咲ちゃん。まだちょっとしんどいかな」

「そうですか…ご飯は食べられそうですか?」

「うん。これなら食べられると思う」


七海は机の上にあるご飯を見て少し目の色を変える。


なにせ幼馴染の兄妹が好きな食べ物を全て把握しているのだから。


早速七海は席に着いてスープを食べていく。


「ん、美味しいねこれ。あったかくてありがたいよ」

「喜んでもらえたなら何よりです。やっぱりこういう時はあったかい食べ物に限りますよね」

「そうだよねー。しかも食べやすくて美味しかったらもう最高だよね」

「分かりますー」

「……」


女子2人の会話についていけない。

優は初めて知る知識を脳に刻みながら食べ進める。


ちょっとずつ会話をしながらゆっくり昼食を食べ、七海はソファでゴロゴロする。


率先して有咲が片付けをし出したので優はする事がない。


有咲の手伝いをしても良いのだが、邪魔になる自信しかない。


なので七海のために何かしてあげようと思い、優は買い物で買ってきたココアを淹れて七海のもとに持って行く。


「ココア飲むか?昔大好きだっただろ」

「あ、うん。ありがとう……これ、私が昔好きだった…」

「ああ、あの時はこればっか飲んでたよな」


(そんな事まで覚えてくれてるんだ…)


七海は心の中で喜びながらココアを飲む。


(美味しい…優くんの温もりを感じる気がする…)


ただ淹れただけなので気のせいだろうが、七海は本気でそう思い、心が暖かくなる。


すると不意に眠気が襲ってきて、七海は優の肩にもたれかかってしまう。


「ん…あ、ごめんね」

「いいよ別に。今日は好きなだけ甘えていいんだぞ?ほら、やりたい事していいんだぞ」


優に子供を見る目で見られて少し不服な気持ちになるが、それよりも嬉しさが勝ち、七海は優の膝に頭を乗せる。


「じゃあ…このまま寝てもいい…?」


優はなぜそこで寝るのか少し疑問に思うが、折角の要望なのでしっかり応える。


「ああ、好きなだけ眠りな」

「ありがとう。じゃあおやすみ…」

「おやすみ」


七海は重い瞼を閉じて夢の世界へと入っていった。


「ったく…まるで子供だな」

「そうですね。こんなに幸せそうな顔をして…こういうところは昔と全然変わってないですね」

「だな。で、こうやって頭を撫でると…」


七海の頭を撫でると、露骨に表情が良くなる。


「ふふふ…これも前とは変わってませんね」

「ったく…まだまだ子供だな」


七海の幸せそうな顔を見てニマニマと笑う如月(きさらぎ)兄妹だった。


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