53 柔らかすぎるんだが
(えぇぇぇ⁉︎どうして急にお…お姫様抱っこ⁉︎)
突然優にお姫様抱っこをされて七海は困惑している。
抱っこしている本人は涼しい顔だが、されている方は顔を真っ赤にしている…ように見えるが、実際はそんな事はない。
抱っこしている本人は涼しい顔をしているが、心の中では滅茶苦茶恥ずかしがっている。
(うぉぉぉ何だこれ⁉︎これはこれでヤバい⁉︎)
七海の柔らかい肌が腕に伝わってくる。
今は優も七海も水着で肌が露出しているので、肌と肌がかなり密着している。
別に変な所を触っている訳でも無いのに、何だか変な気持ちになってしまう。
優はそんな自分を抑えるのに必死で、顔に出している暇など無いのだ。
(とにかく!早く運んでしまおう!)
このままでは色々マズイので早歩きで七海をテントまで運ぶ。
テントに着くと速攻で七海を降ろし、隣に座る。
そしてまだ理解が追いついていない七海から質問が飛ぶ。
「えっと…どうして…」
「あ…ああ…えーっと…まぁ…気分?というか?疲れてそうだったから…」
「そっか…ありがとう…」
ぎこちない会話が続く中、七海は優の肌の感触を思い出して顔を赤くする。
(優くんの肌…とっても硬くておっきくて…)
考えれば考える程身体が熱くなり、結局頭から湯気が出そうになる程までになってしまう。
(力持ちで…男の子って感じで…そして…)
近くまで来た優の顔を思い出して、更に恥ずかしさが増してしまう。
そんな風に1人で滅茶苦茶恥ずかしがっている七海だが、その横には同じぐらい恥ずかしがっている人がいる。
(あ゛〜何で俺はあんな事を…)
何も言わずに七海を抱え上げてテントまでお姫様抱っこして行った事を後悔している。
(すごく柔らかくて良い匂いがして…じゃなくて!…何で俺はあんな事を…)
こちらも恥ずかしくて脳がパンクしそうになっている。
そんな2人は下を向いたまま心の中で数分間悶える。
そしていち早く心の整理が出来た優が七海に声をかける。
「あの…七海…?さっきはその…急に悪かったな…」
「え…?あ…うん…いいよ…嬉しかったし…」
「…」
これにはノーコメント。
そんな気はしていたが、まぁ触れないでおこう。
優は顔を上げて明後日の方向を見ながら七海に提案をする。
「あの…そろそろ疲れたし…帰るか?」
気づけば時間は結構経っていて、もう4時間はビーチに居ることになる。
流石に七海も疲れただろうと思い、帰ることを提案してみたのだが…
「いや、もうちょっとだけ…ここにいたい…かな…」
速攻否定された。
別にまだここに居る事はいいのだが、そろそろやる事が思いつかない。
なのでここは七海に尋ねてみる。
「何かやりたい事があるのか?」
そう言うと七海は身体を近づけてきて手を握ってきた。
「もう少し…ゆっくり…していきたいな…」
七海は身体を優の腕に密着させる。
水着で身体をくっつけられると、当然色々な柔らかい所が当たる訳で…
(うぉぉぉ⁉︎なんか柔らかい⁉︎スライムなのか⁉︎スライムなのかぁぁぁ⁉︎)
当然滅茶苦茶動揺している。
七海の心臓の鼓動が腕を通して聞こえてくる。
という事はつまり?
七海の2つの大きな山で腕が挟まれている。
(あ…これはヤバい…)
優の本能は目覚めそうになっていた。




