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49 ただ塗っているだけなんだが


海デート当日。


2人は駅に集合し、目的地の海へ向かう。


電車に30分ほど乗り、そこから少し歩いたところにあるビーチへ向かう。


「おーたくさん人いるね」


そのビーチは割と有名な所なので、人が大勢居る。


「んじゃ、先に場所取っとくから着替えてきな」

「あ…うん、行ってくるね」


到着するなり(ゆう)は場所取りをしに行き、七海(ななみ)を更衣室に向かわせる。


(どっか空いてるかね…)


想像より人が多いので場所があまりなさそうだが、とにかく探してみる。

じーっと見渡すと、端の方に少しスペースがあったのでそこに向かう。


簡易的なテントを組み立てて軽く着替えてから更衣室付近に七海を迎えに行く。


「あ、優くん」

「お、おお…」


丁度着替えが終わったらしく、七海は優を呼んだのだが…


「…どうしたの?」


優の反応が鈍い。


顔を赤くして硬直してしまっている。


七海が近くまで行って顔を覗くと、優は慌てて離れていった。


そんな優に疑問を抱きつつ、七海は少し恥ずかしげに水着を見せつける。


「この水着…どう…かな…?」

「あ…うん…とてもよく似合ってる…けど…」

「けど?」

「その…とりあえずこれ羽織っててくれ…」


優の上着を渡され、七海はキョトンとしてしまう。


「えっと…どうして?」

「いや…まぁ…他の男に見せたくないから…」

「そう…なんだ…」


(ゆ、優くんが嫉妬してる…♡)


優の妬ましそうな顔を見て七海は驚きながらも嬉しく思う。


嬉しそうに頬を押さえていると、優に肩を掴まれて少し強引に連れて行かれる。


(えぇぇぇ⁉︎ももももしかして…そういうことしたくなっちゃったのかな⁉︎)


何をかはわからないが、七海は身体中が熱くなるのを感じる。

そんな七海に気づくことなく優は七海をテントに連れて行く。


「ったく…周りの目も気にしろよな」

「あ…うん…ごめんなさい」

「謝るほどの事じゃないけど。まぁ自分の容姿が人より綺麗ってことも考えておいてくれよ」

「うん…わかった…」


優は真剣に注意しているのだが…七海はそれどころでは無かった。


(綺麗って…そう思ってくれてたんだ…)


シンプルに嬉しくて心の中で滅茶苦茶喜んでいた。


優は嬉しくて黙り込んでしまった七海の肩を軽く叩き、手を差し出す。


「ほら、泳ぎに行こうぜ?端っこで泳ぐなら多分問題ないし」


七海は少し笑いながら優の手を取り、そのまま立ち上がる。

そしてそのまま手を離さず2人で海に向かう。


「そういえば七海泳げたっけ?」

「うーん、あんまり自信ないかな…」

「そうか。なら浅瀬で遊ぶか」

「うん、ごめんね」

「いや気にするなよ。俺も泳ぐのはあんまり得意じゃないし」


2人は少しづつ足を水につけていく。

と、そこで七海がある事を思い出したようで、海から少し離れて行く。


「どした?」

「いや…日焼け止め塗るの忘れてて…」

「あーそっか。なら塗ってきな。これはこの辺にいるから」

「その…優くんに塗って欲しいなぁ…って…」

「…はい?」

「背中とか届かないし…ね…?お願いします…」

「ゔ…うん…背中だけな?」


2人はテントに戻り、早速優は日焼け止めを手に取る。

七海は素早くうつ伏せになり、準備万端のようだ。

優はその上にまたがり、手を背中に持っていく。


「じゃあ…塗るな?」

「うん…お願い…あ」

「なに?」

「水着…邪魔でしょ?紐…解いて良いよ…?」

「え…は⁉︎」


確かに邪魔といえば邪魔だが、別に紐を解かなくてもギリ何とかできそうだ。


なので優はその誘いを断り、精神を統一しながら背中に日焼け止めを塗っていく。


「あッ…♡ん…」


(なんでそんな声出るの⁉︎)


普通に背中に日焼け止め塗ってるだけなのに…。


くすぐったくてももうちょい別の声の出し方あるよね?


というわけで七海に声を抑えるように頼むのだが…


「そんなの…できないよぉ…♡」


(うーんこれは詰んでる)


優は何とか精神を保ちながら七海への日焼け止め塗りをやり遂げた。


「はぁ…はぁ…ありがとう…」

「あ…ああ…別に良いけど…」


なんだか身体が熱くなってきたような気がするので頭を冷やすべく、海に突進しに行く。


「え…優くん⁉︎」


ちょっと勢いが強すぎて一瞬意識を失ってぷかぷかと浮かんでいたのはまた別のでもない


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