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45 まだ始まったばかりなんだが


朝食を食べ終え、(ゆう)有咲(ありさ)はリビングでゴロゴロしながらテレビを見ている。


そこで仕事に行く支度を終えた優希(ゆうき)が荷物を持ってリビングから出て行く。


「じゃ、行ってきます」

「「「行ってらっしゃーい」」」


優希を全員で送り出し、優はソファから腰を上げる。

そこで隣にいた有咲に声をかけられる。


「お兄さん、今日は何か予定がありますか?」

「いや、何もないけど」

「そうですか…」

「?」


なんか頬を赤くしてもじもじしている。

そんな有咲を数秒間見ていると、何かを決心したようにこちらを見てきた。


そして有咲は大きく口を開いた。


「お兄さん!本日私と…お…おうちデート…してくれませんか!」

「…えっ゛⁉︎」

「あら…」


その場にいた優と奈々(なな)は驚き、有咲は恥ずかしそうに下を向いている。


そしてそのまま有咲は続ける。


「その…この前の約束…今日したいです…」


(そういえばそんな約束したな…)


夏祭りの時の約束を出され、流石に断る訳にもいかず承諾する。


その光景を見ていた奈々は両手で顔を押さえて今にもキャーと言い出しそうな感じである。

結局奈々は何もせず、ただ2人を見守っていた。


さて、こうして有咲におうちデートに誘われたわけだが、何をすればいいか分からない。


なのでここは言い出しっぺの有咲に訊いてみる。


「えーっと、じゃあ何する?」

「あの…映画…見たいです…」

「映画?…あーこの前母さんが借りてきてた恋愛のやつ?」

「はい、それです」

「じゃあ母さん__」

「はいどうぞ。じゃあ私は出かけてくるわね〜」

「え…あ…うん、いってらっしゃい」


音速でDVDを渡し、光速で家を出て行った。


有咲は目で追うことも出来ずポカンとしている。


その間に優はDVDを入れてテレビを起動させ、映画を再生させた。


その映画は教師と生徒の禁断の恋を描いたもので、最初は女子生徒が男性教師に一目惚れするところから始まる。


有咲はそのシーンを目を輝かせながら見ている。

元々恋愛映画が好きなのでこの作品も楽しみにしていたようだ。


声を出しながら楽しんでいる有咲を見ながら、おやつのポテチを貪る。


こうしてボーッと映画を見ているといつしかに良い感じのシーンになっていた。


学校の屋上で女子生徒が告白し、恥ずかしがりながらも男性教師が承諾するシーン。


それを見ながら有咲は優の腕にしがみつき、顔を赤くしていた。


そんな有咲を少し呆れた目で見ていると、テレビではキスシーンが流れ始めた。

男性教師が女子生徒を引き寄せ、ゆっくりと唇を近づけていく。


そして2人の唇は合わさった。


その瞬間、腕にしがみついている有咲が優の肩に顔を埋めて足を少しバタバタさせながら悶えている。


(恋愛映画好きなのに耐性なさすぎじゃない?よくそれでいつも見てるな)


毎回こうなってたら恋愛映画なんか見れないだろうに。


でも仮にそうなったとしてもとにかく好きなんだろう。


(というか恋愛映画好きなら現実の恋愛にも興味があると思うんだけどなぁ…)


有咲は学校で滅茶苦茶モテているのに、一向に彼氏が出来ない。


それはなぜかというと、全部断ってあるからである。

有咲は優以外の男に興味が無いのだ。


これは恋愛好きと言っていいのでは………?


いやよくない。


(そろそろ兄離れしてくれないかね…)


有咲は重度のブラコンであるが、優も大概であるので多分妹離れできない。


そんな事も知らずに妹に呆れていると、テレビではもうエンドロールが始まっていた。


「どうだった?」

「…よかったです…」


埋めていた顔を上げるが、まだ恥ずかしがって下を向いている。


そんな恥ずかしがりの有咲とのデートは、まだ始まったばかりである。


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