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42 バレなかったんだが


「ただいま〜」

「お帰りなさい、お兄さん」


家の扉を開くと、目の前には心配そうな表情をしている有咲(ありさ)が居た。


「かなり時間がかかっていたようですが、何かありましたか?」


純粋に兄を心配しているようだが、(ゆう)にとってその質問はかなり心に刺さった。


(ゔ…何と言うべきか…)


心配している有咲の事に気づかず七海(ななみ)とお茶してたなんて言えるわけもなく、とりあえず適当に言い訳しておく。


「その〜ちょっと疲れたから公園で休憩しながらゆっくり帰ってきたんだよ…」


これ自体は嘘ではないが、流石にこれだけの理由ではここまで遅くなってしまった理由には物足りないだろう。


と、考えていたのだが…


「そうですか…なら仕方ありませんね」


案外バレることなくすんなり受け入れてくれた。


(ウチの妹ちょっとアホになっちゃった?)


などと優は失礼極まりないことを考えるが、有咲はそれに気づく事なく少し口を尖らせる。


「次からはそうならそうと連絡してくださいね?本当に心配したんですから」

「ああ、分かったよ」


そう言って優は反射的に有咲の頭を撫でると、嬉しそうに笑ってくれた。


「へへへ…お兄さんの…硬くて大きいです…」


(いやそれって…流石に有咲に限ってそんなこと考えないか…)


一瞬変な事を考えてしまった。


変な方って何だろう?


分からないからいいや。


純粋な妹の発言に変な解釈をしてしまい、少し申し訳なくなったのでとりあえずここから逃げる。


「んじゃ、俺は風呂入ってくるな」

「あっ…はい…いってらっしゃい…」


手を離した途端悲しそうな表情をされてしまう。


許せ、妹よ。


全部兄が悪い。


優は足早に浴室へ向かった。



ゆっくり風呂に浸かり、一瞬で寝る支度を済ませた。


結構疲れたから、今日は早めに寝たい。


そう思いながら優は部屋の扉を開いた。


「……何してんの?」


当然のように有咲がベッドの上で待機していた。


それには流石に優も疑問を抱かずにはいられなかった。


だが、そんな優の疑問を振り払うような言葉を有咲にかけられる。


「お兄さん、今日はお疲れでしょう?この前みたいになるかもしれないので一緒に寝ませんか?」


この前みたく嫌な夢を見てしまう可能性があるので、共に寝ようという物だった。

この前は有咲がいてくれて助かったので、今回もお願いしてみる。


「そう…だな…じゃあ…お願いしようかな」

「はい!では、どうぞ」


有咲に手を差し出され、優はその手を取ってベッドに入る。


「えへへ…新婚さんみたいですね」


急に有咲にとんでもないことを言われたが、とりあえず無視しておく。


「今日は疲れたな。ま、その分楽しかったけど」

「そうですね、本当に楽しかったです。また来年も一緒に行きましょうね?」

「ああ、また3()()()行こうな」

「…そう…ですね…」


大事な所を強めに主張しておき、有咲と約束を交わす。


「じゃ、そろそろ寝るか」

「はい、そうですね」


そう言って目を瞑って寝ようとした時だった。

急に有咲が手を握ってきた。


「えっと…なぜ手を?」


柔らかくて暖かい手に握られ、優は疑問を抱く。

そして隣にいる有咲は頬を赤くしながら答える。


「ただ握りたいだけです」


ただの妹のわがままだったようで、優はそれを受け入れる。


そして今度こそ目を瞑り、2人は眠りに着く。


「おやすみ」

「はい、おやすみなさい」


2人の意識は次第に夢という名の楽園に消えていった。


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