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04 絶対に誤解されてるんだが

入学初日の一限目が終わり、ザワザワする休み時間が来た。


ある人は隣の女子と仲良くなろうと頑張っていたり、ある人は中学の友達と話したり、ある人は先程の七海(ななみ)の発言について考察してみたり。

そしてある人は…


桜庭(さくらば)さんってテニス上手なんだねー」

「ねぇ連絡先教えてよー」

「今度遊びに行かない?」


といった感じで七海に5、6人ほどの男女が話しかけている。

流石に全員の質問を聞き取れる訳もなく、苦笑いを浮かべる。

すると前の席の少女が割って入ってくる。


「もぅ、桜庭さん困ってるよ?みんな」


彼女は七海の中学からの顔見知りの紗倉璃々(さくらりり)

中学の頃はテニスで七海にボコボコにされていたらしい。

そんな璃々が七海を助けようとしている。


「確かに、さすがにやりすぎか」

「ごめんね〜桜庭さん」


周りの生徒は反省した様子で席に帰って行く。

その璃々の行動に感謝すると、どういたしましてとニコニコしながら返してきた。


これだけ見た目も良くて陽気な人ならかなりモテるんだろうなとか考えていると横からクラスメイトが話しかけてくる。


如月(きさらぎ)君、だよね?」

「そうだけど、どうかしたか?」

「いや、特に用がある訳では無いんだけど、仲良くなりたいなって」

「ヘー…俺と仲良くなってもいい事ないぞ?」

「仲良くなるのに良いも悪いも無いよ」


眩しい、その笑顔、眩しすぎるッ!?


彼は一条柊太(いちじょうしゅうた)


見た感じ、多分良い奴だ。


そんな良い奴の柊太に話しかけられて、若干戸惑うが、そんな素振りは見せず話を続ける。


「てか、なんで俺と仲良くなろうと思ったんだ?」

「なんと言うか、面白そうだったからね」

「そうか?なんな風に見えたか?」

「まぁ…あの自己紹介の雰囲気を見ていたら…ね?」


なんか思い出したくないことを掘り返されてしまった。

これには(ゆう)も戸惑う。

それを見て控えめに柊太が笑う。


その風景を見ていた七海は、


(え?優くん浮気?なんで?)


と考えていた。

まさかのBのLOVEなのかと考えてしまっている。

これに七海は頭を混乱させてしまう。


(え?え?えぇぇ????)


完全に頭がパンクしてしまった七海は暴走してしまった。


「優くん!?また浮気しようとしてるの!?なんで何回もそんな事するの!?君には私がいればいいでしょ!?」

「えぇぇぇぇ!?」


妹と話しても浮気、男と話しても浮気、これは最早人と話してはいけないということになるのでは?


もう無理じゃん。不可能だって。


とにかくこの状況を打破しなくては。


また変な誤解をされてしまう。

優はじっくり考える。

そして答えを導き出す。


「俺、BLには興味無いんだ。どちらかと言えばGLの方が興味ある」


突然の告白に、その場にいた七海と柊太の脳は氷結する。

そんな2人の顔を見て優は気付く。


(あ、これ誤解を加速させちゃうヤツ…)


これはマズイ。別の意味で。


「そ、そうなんだ…」


マズイ。柊太に誤解されてる。

かなり苦笑いしてるよ、この人。

七海は完全に理解することを諦めてしまっていて、


「昔の人はどうやって言語を生み出したんだろうなー」


とか言っちゃってる。


(クソッ!?このままでは俺が特殊性癖童帝ハゲメガネになるじゃねぇか!?)


誰もそこまでは言っていない。


この問題を解決させる一手。今はそれだけが欲しい。

ここで気遣いの出来る少女が視界の端に入る。


その少女に助けを求める。


「さ、紗倉…さん?ちょっとタスケテホシイナーと思ってるんですが…」


七海の前の席で存在感を消して話を聞いていた璃々に救援要請をするも、


「い、いやー……別に私はいいと思うよ…?」


完全に勘違いされてしまっている。


と、丁度そのタイミングで休み時間を終えるチャイムが鳴り、先生が教室に入ってくる。


全員席につき、次の授業が始まる。

そこで優は心の中で頭を抱え、現実逃避をしていた。


(あーもうダメだこれは完全に詰んでる転校して茶道部に入って太陽光発電しよ)


優は完全に諦めてしまったのだった。


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